イカと液晶(その2)

少し前に、イカのスミは液晶ではないのを確認した記憶があると記した。その後、少し気になってWebをあさっていたら、2つのac.jpサイトでイカスミは天然の液晶物質という記述にあたってしまった。どちらも、引用文献が示されていないし、イカスミが液晶性を示している写真も掲載されているわけではないので、真偽の確証は得られていない。
Webを見ていたら、スミだけでなくイカの体表の変色が液晶であるというサイトまで存在していることが分かった。イカの体表変化は、色素部分の面積変化によっていると思っていた。つまり、液晶というよりはeインク系と思っていたのだけれど(そして、そう記してあるサイトが多いけれど)、液晶と言われると真偽を確かめたくなる。
というわけで、昨日鯣烏賊を買ってきて、表皮とスミをクロスニコルで観察してみた。撮影は、家にあったもっtも短焦点マクロレンズ。ロッコールの12.5mmF2。
まず、体表
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上の黒っぽいところは色素粒子じゃないかと思う(自信なし)。で驚いたことに、複屈折性のある部分が点在している。では、液晶かというと、あんまりそういう気がしない。脂質2分子膜は広い意味で液晶とも言えるので、生体内部に液晶的なものはあるのだけれど、色調変化で問題になるのは、コレステリック液晶。複屈折部分がコレステリックかと言われると、ピッチが見えないくらい短いなら、扇状組織みたいな構造になっていて欲しい気がする。もっと高倍率で見ないといけないのだけれど、まあ、違うだろうなという気がしている。
さて、続いてイカスミ
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周辺の青く見えている部分は、物がなくてクロスニコルから光が抜けてくるところ。真中の黒い部分がイカスミ。もちろん、イカスミは黒くて光を吸収するけれども、液晶性があれば、周辺の青い部分から黒くなる領域のどこかで複屈折で明るくなる部分が見られると思う。ので、かなりの自信をもって、「昨日買ってきた鯣烏賊のスミは液晶ではない」と言える。
細かいことを言えば、ライオトロピック系の液晶は、複屈折が小さくなりうるので、それで見えないんじゃないかとか、濃度によって等方相にもなるから、これだけでは否定出来ないはずだとか、キュービック相やブルー相IIIの可能性を否定できないとか、いろいろ文句もあると思うけれど、濃度に関しては、作業中に水が蒸発して濃度が上がった可能性はあるけれども、そうだとしても、複屈折性のある状態は残ると思うので、違うと思う。また、一応は、コレステリックがらみの話なので、キュービック相やブルー相は無視して良いと思う。というか、イカスミがキュービックや、ブルーだったら、あまりの意表性に、米国の科学誌や英国の自然誌あたりに掲載されて、話題になりかねないけれど、そんな話は聞いたことはない。
もちろん、この結果が、全てのイカのスミが液晶でないことを示すことではないけれども、まあ、イカスミ非液晶に対する一つの補強ぐらいにはなると思う。
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by zam20f2 | 2009-11-08 11:54 | 液晶系 | Comments(0)
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