謄写版

街角を歩いていたら懐かしい文字が目に飛び込んできた
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かつては、街中にそこここに、謄写版印刷屋さんがあった記憶がある。
謄写版は蝋引きの紙を専用のヤスリ板の上において、鉄筆で文字やら図を書き込む。それをスクリーンにはって、上からインクの付いたローラーを転がすと、鉄筆とヤスリで開いた微細な穴を通ってインクが紙に転写される。孔版印刷の一種である。
看板には和文タイプなんて懐かしい文字もある。ほんの30年前には普通の人が活字のような印刷物を作るのはとても大変な事だった。東芝が最初の日本語ワードプロセッサを売り出したのが1978年だけれど、それは普通の人が買えるようなものではなく、個人がワープロを買えるようになるのには、あと何年かが必要だった。それ以前に活字のようなものを作ろうとすると、和文タイプという道具が必要だった。これは、漢字も含んだ文字盤から一文字ずつ文字を拾っていくものだけれど、そこらあたりの人が持っているものではなく、それこそ、看板を出しているお店にいって頼むものであった。
謄写版に話を戻すと、システムに時代の変遷がある。私の知る限りで最初は上に記したように、ヤスリ板と鉄筆で、蝋引きした薄い紙の原紙に文字を切っていくものだった。鉄筆で文字を書き込むときに音がするので、その音からかガリ版とも呼ばれていた。通常の文字を書くのとは異なったコツが必要で、その点でも街中にガリ版屋さんがある意味があったと思う。その後、ヤスリがなく、普通のボールペンで原紙をつくれるボールペン原紙なども出てきたけれど、文字の綺麗さからは、蝋引き原紙には劣っていた。また、普通の紙に描いた原稿と、原紙を隣り合う円筒に巻きつけて、原稿の内容を原紙に転写する謄写ファックスなどという装置も存在していた。
印刷機の方は、シルクスクリーンのような(というか、プリントゴッコのようなという方がわかりやすいかもしれない)枠に原紙を貼りつけて、上からインクの付いたローラーで1枚1枚印刷していくのが古式豊かな方法であるけれども、その後、回転ドラムの印刷機もあった。
そして、最終的には謄写ファックスと回転ドラム印刷機が合体した簡易印刷機へと変化していった。これは、かつて程のシェアはないが、今でも世の中に存在している。
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by zam20f2 | 2009-12-08 07:59 | 街角系 | Comments(0)
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