熱伝導と放熱の影響(1)(自宅でできる液晶観察22)

ホットステージの材料としてアルミを選んだ理由の一つは、アルミは熱伝導率がよいことであった。




業界の常識として材料は熱伝導がよいものが良いとされている。のだけれど、どのくらいの影響があるかを考えたことが無かったので、すごく安直にシミュレーションをすることにした。
道具立てはエクセルとエクセルのベーシックである。
考え方は単純で棒を考える。そして、棒を仮想的に区分してそれぞれの区分した場所の熱の出入りを式で表す。
今区分したn番目のセルでの単位時間あたりの熱の出入りは
入り:となりの高温側のセルからの熱伝導による熱の流入。流入量は温度差と熱伝導係数に比例する。式で表すと、熱伝導係数をTCとしてΔT(n-1→n)×TC
出:となりの低温側のセルへの熱伝導による熱の流出式で表すとΔT(n→n+1)×TC。それに加えて、n番目のセルから周囲の環境へのねつの放出。これは、n番目のセルの温度と室温との差と放熱の係数に比例するとする。式で表すと、(T(n)-T(室温))×放熱係数
従って、全体の熱の出入りを式で表すと
ΔH=ΔT(n-1→n)×TC-ΔT(n→n+1)×TC-(T(n)-T(室温))×放熱係数
となる。このΔHをn番目の領域の熱容量で割った値が単位時間あたりの温度変化になる。
とりあえず、周囲への放熱は0として、熱伝導率のみ違う2つの状況で、時間変化にともない、温度がどのように変化していくかを計算していみた。
まず、とある条件での計算
計算条件は一番左側はヒーターに接続されていて、100℃で固定になっている。区画の数は50こ。
まず、繰り返しが1~10回
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とりあえず、1回計算すると隣のセルの温度があがり、2回計算すると2番目のセルまで温度が上がっていく。なら、50回計算すれば最後のセルまで温度が上がるかというと
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という具合に、温度上昇は真中ぐらいまでになる。値を見てみると、差が小さいので、温度上昇が少なく、まあ、誤差の範囲で一定の温度のままという状況になる。最後まで温度が上昇するのには数百回の繰り返し計算が必要になる。
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計算の繰り返し数を10000くらいまで上げると、棒全体が100℃に上がっていく。
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つづいて、熱伝導係数を上の図の1/2にした場合である。
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温度の伝わりが遅くなっているのが分かる。熱伝導率を下げれば、さらに温度の伝わり方は遅くなる。
よく、科学の実験で、金属棒とガラス棒の先にロウをつけて一方をあぶると、金属棒の方が先に落ちるというやつがあるけれども、今日では、こんな感じのシミュレーションで、温度を目に見える形にすることもできるのである。
こんなことを書くと、「実体験重視」の子どものめがキラキラする科学教育推進の人からは、バーチャルなんてけしからんと言われそうだけれど、でも、科学って、物の考え方のわけで、そういう意味では、ロウがぽとんと落ちるのを見せるよりは、たとえ小学校の子ども相手でも熱の伝わるのを式で見せて(何しろ、上の式は四則演算だけだから、小学校高学年なら着いてこられると思う)それを、最初は手作業で計算して、あとは、それをコンピュータにやらせるのは十分に成立することだと思う。
閑話休題。熱伝導係数を小さくすると、棒の反対側の温度上昇は遅くなるけれども、放熱がないのなら、最終的に棒の温度は左の温度で一定になる。試しに、繰り返し回数を倍に増やしてみると、
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と、熱伝導係数が大きい場合と同じ挙動になる。
というわけで、ここでの結論は、材料の熱伝導係数がよいほど、はやく一定の温度に増加する。
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by zam20f2 | 2010-05-23 08:42 | 科学系 | Comments(0)
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