英語以前

Y君が園長先生の所にやってきた。 Y君は父親が米国人、母親が日本人のハーフで、普段は米国に住んでいる。夏休みに母親と兄弟と日本に来て、母親が通っていた幼稚園に1ヶ月ほど潜り込んでいる。Y君が園長先生の所にやってきたのは、その幼稚園で皆で外に出たときの話である。
お昼までの時間をフィールドアスレチック風の遊具がある広場で遊んでいたのだけれど、遊具が散らばっていて目が届きにくいのと、遊具以外で遊ばせたいという背景があって、園児達は「今日は遊具で遊ばない」と言われていた。ところがY君は遊具の中で、空中に張ったワイヤーに取り付けられた滑車にぶら下がった縄にしがみついて空中を滑空する遊具をどうしてもやりたかったらしく、何故遊具で遊んではいけないのかを先生のところに聞きに来たらしい。そして、先生はこの面倒な質問を園長先生に回した次第である。

交渉の過程は残念ながら見ていなかったのだけれど、伝え聞くところによると
「何で遊具で遊んじゃいけないの」
「いろいろなところにあってみんなばらばらになっちゃうし、今日は遊具でよりお友だちと遊んで欲しいんだ」
「全部じゃなくて、あれだけでいいんだ」
「あれ、でもあれは空中を滑っている人と下で遊んでいる人がぶつかって危ないしねぇ」
「だったら、やっている間は下を通らないようにルールを作ればよい?」
「うーん、でもお友だちと遊ぶのはどうしよう」
「それからみんなで楽しくできるように、ちゃんと並んでやることにすればよい? それにぶら下がるのは2つあるから一緒にできるし」
「でもあなたはルールが分かっていても、他の子は分かるかな」
「…… そうだ、N先生にスタートの所にいてもらえばいいよ」
というような具合でY君は遊具での遊びを交渉で許可してもらい、おこぼれに預かった他の子ども達も、その遊具を存分に楽しんでいたそうだ。

ちなみに、Y君は英語の方が得意だけれど、交渉は日本語。国際化だの英語教育だのが叫ばれているけれど、それ以前の教育や考え方の違いってもっと重要じゃないのかしらとふと感じてしまった。
[PR]
by zam20f2 | 2010-08-15 09:56 | 文系 | Comments(0)
<< 街角 地上での色つきシャボン玉 >>