デジタルカメラを用いた分光測定

少し前に、画像ファイルを用いて作った、色素溶液の吸収スペクトルのようなものをアップしたけれど、その後、少し試した限りで、一応、どうすれば、分光スペクトルが取れるかは分かった気になっているので、まとめておきたい。
先ず、縦軸。
データは必ずRAWファイルを用いる。画像ファイルはJPEGもTIFFでも何でも不可。というのは、画像ファイルは、元のデータから非線型で変換されており、また、元の画素と1対1対応でない可能性もあるので、分光データとしては不向き。
市販ソフトを使えば、RAWファイルから、直接にグラフに出来る数値データを書き出し出来るかもしれないけれど、フリーソフトで間に合わせるなら
1,まずIRISでRAWデータを読みこんでそれをFITS形式でセーブする。
2,FITS形式のファイルをImageJもしくはマカリで読み込んで、プロファイルを作製して、適当な形式で出力する
3,出力されたファイルををもとに、ダーク補正や吸光度の計算を行い、出来たスペクトルをグラフ化する
という手順をとればよい。
2番目のFITSからの変換で、これまで出てこなかったマカリというソフトが出ているけれど、これは、国立天文台とアストロアーツが作った天文解析用のソフト。登録が必要だけれど、現状でフリーで使える(Web上にはライセンスの数に制限があると記されている。多分、国立天文台とアストロアーツの契約で、出せるライセンス数に限りがあるのだろうと思う。個人用途で申請したけれど、発行して貰えた。まあ、天文用途かと言われると、微妙だけれど、高等学校でも使える分光測定手法を提案しているという意味では教育的には十分に意味があると思う。
一方、横軸に関しては、殺菌灯の4Wクラスのを買ってきて、蛍光灯懐中電灯のランプと取り替えたものを校正光源として使う。のでよいと思う。
405
408
435
436
491
546
577
579
623 nm
程度のラインは観測可能な気がする。690が見えていないのは、測定波長範囲からずれているのか、赤外カットフィルターに引っ掛かったのかは不明。
横軸は、分光器とカメラの取り付けをよほどきちんとしない限りは、毎回、本測定の前後で校正用ランプを測定しておく方が無難。
さて、では、どの程度の精度での測定が可能かというと、それを確かめるために、色素溶液を半分に薄めながら測定を繰り返す事をやってみた。ただし、横軸は波長に直さず、ポイント数のまま。右が赤で左が青

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これが色素原液、赤と緑と青の線はそれぞれR画素、G画素、B画素を使って計算したもの。本当は、波長毎にどの画素を使うかを(オーバーラップをどうするかを含めて)検討しなければならないのだけれど、それは今後の課題。Rは論外として、GとBもスペクトルが歪んでいて真っ当に測定出来ていない。
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半分に薄めた。赤は論外だけれど、GとBはだいぶ一致している。吸光度の最大が2.1程度だけれど、等倍の時が2.5なので、ここからも等倍がまともに測れていないのが明確に分かる。
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1/4濃度。吸光度は1.4程度、青と緑の一致がよく、これなら、正しそうな気にもなる。逆に、半分に薄めたものが、正しく取れていれば吸光度が2.8程度にはなっているべきなので、どうも吸光度2は満足に取れていなそうなことが判明。
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1/8濃度。吸光度が0.7~0.8で、一つ前のほぼ半分になっている。ということで、吸光度1.5程度までなら、
まともに測れそうな雰囲気。それにしても、赤画素が長波長側もなんか駄目な理由が不明。逆に、赤に吸収のあるもののスペクトルを測定してみた方がよさそう。
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1/16。透明領域で明示的に負の値が出るようになってきた。どうも、ダーク補正に問題がありそう。スペクトルになんか振動構造が見られるけれど、吸光度が高いものでは出ていないので、サンプル由来ではなく、どこかで紛れ込んだものだろうと思われる。
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1/32スペクトルが歪んできている。薄い方もどうも限界があるのかしら?
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1/64。見た目はかなり無色。一応、B画素ではスペクトルがとれているような感じがあるけれども、G画素は少し前から値が小さめに出る傾向…。ざっくりとした感じで、吸光度が0.05~0.1程度の誤差で、1.5程度までは測れるかなという感じか。十分に使える用途もあり得ると思う。
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by zam20f2 | 2010-10-11 12:26 | 科学系 | Comments(0)
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