工業技術研究員

大科学実験のことばかり書いていると、NHK教育テレビに不満を持っているかのように思われてしまうので、面白かった番組の話を一つ。



工業技術研究員という話で、どうも、青少年向けの13才のハローワーク系(と言っても本を読んだことはないけれど)番組。主人公は熊本の県立工業試験所の新人さんである。
工業試験所の仕事はいろいろあって、JIS試験や、試料の解析など中小企業では所有困難な測定装置を用いる測定の支援、それから、工場等におけるトラブルの解決支援である。主人公は高専から大学・大学院を経て試験所に入所。丁稚修行の日々。

師匠から、マシニングセンターを使って、写真画像を金属板に彫り込むという課題を与えられ、プログラムを組んで、一部にミスもあるものの、一応は完成。カメラに向かって、「まあまあの出来」と言ったあとで師匠に見せると「出来上がりの測定はした?」とのご下問。そのままかたまる新人さん。
新人さんの素直さもあり、後味悪くなることなく、番組は淡々と進行。それにしても、何かやった後で、それをチェックするのは基本だけれど、そんなことも伝わってくる。

その新人さん単独の初仕事は、ある工場におけるドリルの寿命の問題。加工対象の成分を僅かに変えたら、ドリルの耐久性が1/10以下になってしまったことの原因解明を求められる。
起こったことと、破損したドリル、部品等をもらってきて、ドリルを観察するも、手がかりはつかめず…。師匠に相談するとドリルだけでなく、加工された側も見るようにとの指示。見てみると、妙な傷がはいっている。そこで、加工過程を高速度カメラで撮影すると、脇の穴から切り子が排出され、それが、ドリルに巻き付いている可能性を発見する。

その成果をもって、工場に報告に行くことになり、目出度く工場も納得して、加工順を変えたりして終わりになるのかなと思っていたら、工場側は、以前の材料でも同じことは起こっていたはずと納得されず、さらなる原因解明を行うことになったところで、番組は終わり。

うん、良い終わり方ですね。めでたしめでたしでないから、世の中そんなに楽じゃないことも伝わるし、たいていの事は複数の原因のからみにより生じるなんて文言も、グッと来ますよ。そう、やってみたって分からなくて、死ぬほど考えて試さないといけない事が世の中多いのであります。
教育テレビにも良い番組あるね。予算的には大科学実験よりはるかにコンパクトだと思うけれど。
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by zam20f2 | 2011-01-10 08:03 | 科学系 | Comments(0)
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