液晶となる薬品(自宅でできる液晶観察29)

随分と御無沙汰になっている「自宅でできる液晶観察」ですが、再会すべく液晶物質を入手しました。本当は、洗剤のように、その辺のお店で売っているようなものを使いたいのですけれども、適当なものが思い当たらなかったので、試薬屋さんから化学薬品を購入しました。
で、先に進む前に

・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

研究用の試薬の多くは、人体に対する影響は、きちんと調べられていません。これは、身の回りの商品に非密封で使われている物質とは大きな違いです。薬品の中で、特に強い毒性があるものは「毒物」として、また、人体に対して影響の大きい物は「劇物」に指定されており、これらの物質の購入には制限があります。今回用いる試薬は毒物にも劇物にも指定されていません。毒物に指定されていないということは、これらの物質には強い毒性がないと思ってまず間違いはありません。ただし、劇物に指定されていないからといって、人体に安全なわけではありません。実際、今回使用する薬品の片方は、使用注意マークがついていて、皮膚につくとアレルギー皮膚炎を起こす可能性があること、目に入ると危険でありうることが記してあります。また、この薬品が水を吸って分解した時に出来る物質は弱い発がん性があると言われていると記憶しています。そういう意味では、劇物に指定されているいくつかの物質程度の危険性は持っている可能性があります。それにもかかわらず、劇物に指定されていないのは、使用量が少なく、そのような薬品もすべて調べて劇物指定をするのには、コストがかかりすぎるためだと思います。なお、薬品の廃棄をどうするのかについては、項をあらためて説明します。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回購入した2つの薬品は
N-(4-Methoxybenzylidene)-4-butylaniline
(N-(4-メトキシベンジリデン)-4-ブチルアニリン)

Myristic Acid Cholesterol Ester(ミリスチン酸コレステロール)
です。
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以下、最初のものをMBBA、2番目のものをChMyと略記することにします。
MBBAは室温近傍でネマチック液晶相をとる物質で、初めての室温液晶として知られています。ChMはコレステロールの誘導体で、加熱するとコレステリック液晶相になる物質です。

MBBAの方は冷蔵保存と記してあり、試薬屋さんから来たときにも、発泡スチロールの箱の中で保冷剤と一緒にやってきました。でも、自宅には薬品用の冷蔵庫はありませんので、普通に保存します。何故、MBBAが冷蔵保存指定になっているかというと、おそらくは、この物質は水を吸って劣化しやすいので、それを防ぐためだと思います。温度が低いと化学反応の速度は遅くなります。また、固体と液体を比べると、固体では、内部に水が入れませんので、湿気があっても表面のみで劣化が進行しますが、液体だと内部まで水分が浸透しますので、全体で劣化が進行してしまいます。このため、固体状態での保存が望ましいのですが、MBBAは融点が25℃ですので、夏に融点以上の気温になることを考えると、冷蔵保存が指定されているのだと思います。
それぞれの詳細も改めて記載します。
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by zam20f2 | 2011-02-19 20:30 | 液晶系 | Comments(0)
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