液晶試料をながめてみる(自宅で出来る液晶観察33)


・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

まず、MBBAの様子を見てみることにしましょう。MBBAは融点が20℃程度ですので、それ以下の気温になると、かたまった固体になっていることがあります。このような時は体温で暖めれば液晶状態になります。未開封の試料でしたら、ポケットにでも入れて暖めてもかまいませんが、一度開封した試料では、瓶の外側に試薬が付着していないとは限りませんので、体温で暖めるにしても、瓶をポリ袋に入れるなどして不用意に試薬が皮膚や衣服についてしまわないように気をつけて下さい。
液晶状態や液体の試料は、ピペットなどで取り出すのですが、その後の洗浄(ピペットの内側の洗浄は廃液等の問題もありますので、家ではあまり行わない方がよいかもしれません)の問題などがありますので、ガラス棒やスパチュラを浸して、周りに付着した液体を使えばよいと思います。何しろ、実験に使う量は、一度にはわずかですので。棒やスパチュラなら、その後はティッシュやキムワイプで拭って、ポリ袋にいれて捨てれば大丈夫だと思います。また、固体のままの試料をスパチュラで取り出すのでもかまいません。

取り出した液晶をスライドガラスの真ん中に置き、両側に比較のために、水とレモン果汁を垂らしてみました。水は普通の液体の代表として使っています。レモン果汁は濁った液体の代表として使っています。最初は牛乳を使おうと思ったのですが、見た目の感じがよりMBBAに近いレモン果汁があったので、それを使ってみました。
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3種類とも液体ですから、表面張力により丸く盛り上がっています。水だけは透明ですので、この状態で仲間はずれが何かを考えたら、水という答えが一番多くなるのではないかと思います。

では、これら3つの液体を偏光顕微鏡で見ることにしましょう。偏光顕微鏡は、普通の顕微鏡の光源側に偏光子、接眼レンズ側に偏光子が入っていて、両方の透過容易軸が直交状態になっている顕微鏡です。2枚の偏光子の軸を直角に配置すると、1枚目の偏光子でつくられた直線偏光は2枚目の偏光子を通過できないので、この状態で視野は暗くなります。

まず水を見てみましょう。画面はほぼ暗いままです。
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この状態では、何が何だかわかりにくいので、鋭敏色板と呼ばれる板を対物レンズの上、検光子の下に入れます。この板を入れると画面は赤紫になります。鋭敏色板を入れた画面では、水滴の境界線が明確に確認できますが、水滴のある部分とない部分での色の違いは見られません。
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続いて、レモン果汁を見てみます。結果は水と同じで、鋭敏色板がないと、ほぼ暗視野です。
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鋭敏色板を入れても液適の境界は見えるようになりますが、色調に変化は生じません。
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最後にMBBAです。水やレモン果汁と違い、偏光子と検光子の軸が直交した状態でも、液晶部分は明るくなっています。
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これは、この状態が液体であるにも係わらず、複屈折(屈折率が光の進む方向や偏光状態によって異なる)を持っていることを示しています。MBBAは見た目は単なる濁った液体で、コレステリック液晶のような色調を示していませんが、この複屈折性こそ、普通の液体と液晶を区別する大きな違いなのです。ちなみに鋭敏色板を入れると、MBBAの有る部分とない部分では色調が変化します。
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これは、鋭敏色板による偏光の変化が、液晶によりさらに変わるためです。

液晶は、そもそも、偏光顕微鏡によって複屈折を持つ流体であることが確認されて液体や結晶とは異なる状態として認識されました。そう言う意味でも、複屈折性の確認は液晶が何であるかを理解するためにも、見た目の着色より遙かに重要なことです。偏光顕微鏡がなくても、2枚の偏光子の間で液晶を見れば光の透過が確認できますし、普通の顕微鏡に偏光子を加えた簡易的なものでも、光の透過は確認できると思います。是非確かめてみて下さい。
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by zam20f2 | 2011-03-07 21:20 | 液晶系 | Comments(0)
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