よくあるプリズムによる分光の図のいい加減さについて

巷に流布しているプリズムによる分光の図をみると
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のような感じで、入射した光がプリズムの出口ではすでに七色に分離し始めていて、出射後は、さらに大きく分離していく感じのものが多い。
のだけれども、実際に実験してみると
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という具合に、なんか、まっすぐ入れた光が屈折するけれども、スペクトル分離することなく、まっすぐ出てくるという状況が出現してしまう。まあ、確かに、屈折率分散はそんなに大きなものではないので、絵のようにならなくても、驚かないのだけれど、じゃあ、どれくらい分散するのかと、実際の屈折率値を使って作図してみた。プリズムの1辺は5cmとしている。
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この図を見るとプリズムから数cm離れればスペクトルに分離しているのが見られそうだけれども、値として400nmと700nmの屈折率を使っているので、もう少し見やすい光の波長範囲では分散は小さいはずだし、また入射光の幅がmm程度あるので、実際にはもっと離さないとスペクトルの分離している様子が見えない。

実は、巷に流布している図の印象から、プリズムを出た瞬間には色が分離するのが分かるような写真を撮ろうとしていたわけなのだけれど、実際にやってみて、あっさりまけた次第だ。
でも、完敗なのかというと、そうでもなく、入射角度さえ選べば
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な写真が撮れる。実際、海外のWebでもこんな写真を見つけることができた。この写真では、短波長側の出射光線が全反射に近くなるような入射角を選んでいる。正弦関数は90度付近での微分係数が0に近いので、僅かな入射角や屈折率の変化が出射角を大きく変化させるのである。実際に、計算してみると
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と400nmをほぼ全反射にすると、700nの赤色光は15度程度も異なる角度に出射する。

というわけで、プリズムから光が出るなりスペクトルに分離している写真は撮影可能である。ただし、通常のプリズムの使い方では、それは不可能だと思う。
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by zam20f2 | 2011-04-06 07:15 | 科学系 | Comments(0)
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