3月11日以降の科学番組

実は、大科学実験の再放送はビデオには収録してある。それぞれの回について、実験場の不備を解析しようかと計画していたのだけれど、3月11日以降はそんな気分になれずに、ほったらかしのままになっている。
3月11日以前に、茨城から岩手沖の日本海溝でM9の地震が起きると主張していた地震学者はほとんどいない。最近のGPSを使った陸地の変動のデータなどは、地震学者が信じていたように、日本海溝の潜りこみが弱い固着ではないことを示唆していたけれど、見過ごされていた。「やってみなくちゃわからない」と言った寝言を言わずに、原理をきちんと理解し、謙虚に起こっていることが意味することを考えることが求められている。
そして、福島の右往左往ぶりをみていると、「やってみなくちゃわからない」なんて寝言を言うやつは叩き殺されるべきだと心から思う。「水を入れたけれど溜まらないのでそこが抜けていることが分かりました。やってみなくちゃわからない、大科学実験で。」。まったく、東電のエンジニアは大科学実験の熱心なファンだったとしえも、まったく驚かないというか、納得してしまう。
もはや、批判の価値すらない番組という印象なのである。
とはいえ、録画には溜まっていたので、先ほど、象の重さを量る回を、早送りでながめた。時間1分ほど。音声はまったく聞いていないのだけれど、一応の理解としては、象の重さを量るのに、船に乗せ、その後、吃水が同じ高さになるように人が乗り、個々の人の重さを合計して象の重さを求めるという流れ。
これ、やることが間違っているでしょ。個々の重さに分離するなら、お得意の大実験で大きな天秤を使えばよい。船を使うからには、排除された水の量で重さが分かる流れにするのが筋だ。ディレクター、分かってなさが炸裂していないか。
前々から、感じているのだけれど、この番組は高等学校の文化祭のノリで作られている。仲間内で自腹でやるなら良いけれども、受信料で作る番組ではない。カタールの王妃のポケットマネーだけでできているなら文句は言わないけれど、もし、日本側もお金を出しているのなら、次のシリーズなどはさっさと打ち切って、ETV特集 ネットワークで作る放射能汚染地図のような番組に資金と資材を投入すべきであろう。


少し追記しておこうと思う。劇団風の子の「2+3」か「トランク劇場」の出し物の一つに、「やってみなくちゃわからない」というのがあった。出来るか出来ないか微妙なことを、役者さんが「できる」チームと「できない」チームに分かれて言い合って、そしてやってみるという流れである(と記して2+3の気がしてきた)。これは悪くなかった。なんで悪くないのかというと、まず「科学」なんてものは振り回していない。前にも記したけれど「科学の法則」は、ものすごく多くの先人の試みの上に成立している。それを「ほんとうだろうか、やってみなくちゃ分からない」というのは、科学を冒涜する行為で、子どもに、科学に対する不信を植え付ける危険性さえあると思う。そして、2番目の理由は風の子の出し物は観客対象を幼稚園程度にきちんと定めていることである(2+3はそのために幼稚園に体験入園すらしている)。それに対して大科学実験は回によって、対象年齢のぶれが大きい。音速をはかるやつやテコなどは小学校高学年対象という感じだが、クジラ風船は遙かに低年齢向き。それらを同じ枠でやるということは、やっている側に、誰に何を使えるかがはっきりしていないことを示している。このあたりも、自己満足の高校文化祭と感じる理由。(6月6日)
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by zam20f2 | 2011-06-05 16:14 | 文系 | Comments(0)
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