本番で100kg以下の84kgで本が外れた理由を考える

昨日の「大科学実験」、科学実験では行ってはいけないことをやっていた。どうして、こうも反科学的なことを垂れ流すのだろうか。これじゃ、NHKの科学教育番組の実験に対する信頼性を全体的に失わせるだけだと思うのだけれど、エグゼクティブプロデューサー氏は平気なのだろうか。

番組では、まず111頁の本で、100kgの錘のつり上げを試み成功する。つぎに体重120kgの力士の格好に扮した人のつり上げを行い失敗するのだけれど、この時には84kgでずり落ちてしまうのである。
もちろん、実験にはばらつきがつきものであるから、同じ条件でやったにもかかわらず、本は100kg以上耐えて、力士の時にはたまたま、84kgとなることはあるかもしれない。しかし、番組でやるからには84kgでずり落ちた映像はお蔵入りにして、やり直して100kg以上、120kg未満でずり落ちる映像を流すのが筋という物だ。

でも、それは出来なかったと思う。何故なら、100kgつり上げたときと、84kgでずり落ちた時で、本の重ね合わせ長さが違っていたからだ。力士をつり上げる時には、本の重ね合わせは3cmとアナウンスが入った。その時の本の一辺と重なり部分の比率はだいたい1:3である。100kgの錘をつり上げる時も、最初にセットしたときには、ほぼこの比率になっている。のだけれど、100kgをつり上げた後に、その比を読み取ると1:2程度になっている。つまり重なりは5cm程度になっている。単純に摩擦の耐力が接触面積に比例するとすると、この時には84×5/3=140kg程度には耐えるはずで、100kg持ち上げられたのも納得いくところだ。

科学実験は、条件をきちんと揃えてやることが重要だ。予備実験と本実験で条件が違うなんてあり得ない。それも、予備実験で最初と成功した映像で条件が違っているなんて、あってはいけないことだ。この制作者は、視聴者を完全にバカにしている。視聴者が科学的な正確さを番組から得ることなどはまったく考えていないのだろう。

なんでこんな事になってしまったのだろう。番組上は力士もどきを持ち上げる時に、一度は失敗して見せたかったのだろうと思う。で、勝手な想像では、本番の映像の方を先に撮影しているのではないかと思う。もちろん、本番に先立って予備実験をやっているだろうけれど、それは、あくまで、巧くいかない頁数とうまくいく頁数を見る物であったはずだ。で、その後で、予備実験の映像を流そうということになったときに、そもそも、予備実験である重量で失敗してしまったら、本番でその本でやれなくなる。一方、120kgで成功してしまったら、本番をやる意味がなくなる。で、毎度おなじみの頭の単純さで100kg持ち上がればいいやという話になって、本番の本の条件でやったけれど、本番と同様に100kg行かずに落ちてしまい、しょうがなく、重なり部分を多くして100kgを持ち上げる映像を撮影下のだろうと思う。
こうなると、完全にやらせだろうと思うのだけれど、さて、実体はどうだったのだろうか(あんまり違わないだろうと思う)。


それにしても、力士を何かで釣るのは、この番組の中で前にも見たことがある。それに、民放の放送で、本で車(きっと、力士よりは重いと思う)を釣るのもやっているというのに、まあ、中途半端な二番煎じなことをやるものだ。これでは、科学的な偽りを差し引いて、フィクションとしてすら楽しめない。
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by zam20f2 | 2011-07-10 17:37 | 文系 | Comments(0)
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