10mW

ミクロワールドサービスさんの8月5,6日の画像でレーザーポインターが出てくる。海外からの通販を使うと、700mWなんていうグリーンレーザーも入手できる世の中だ。このクラスのレーザーになると、直接目に入れるのはもちろん、ガラス板での反射光でも、ほぼ目がやられる。可視領域の10mWのレーザーが目に入ると、2人に1人は目に回復できない障碍を受けるとされている。

可視領域の強いレーザーが目に入ると、網膜が焼ける。レーザー光は平行光線で、人間の目はぼーっとしていると無限遠にピントがあうので、あっさりと網膜で集光してしまう。ちなみに、人間の目は黄斑と呼ばれる極限られた領域のみ高精細のカラーカメラで、あとの部分は画素数の少ない白黒カメラだ。そして、常に視野の中心画像を黄斑にもっていくように操作している。このため、レーザー光の光源方向を自動的に注視してしまうので、光が目に入ると黄斑が焼けることが多い。そうなると、残存視力は0.1程度になるけれど、これは、いわゆる弱視のような状態で、メガネでは矯正出来ない。
どのくらいの光が目に入ったら網膜が焼けるかは、レーザー事故から分かってきていて、可視領域だと(波長依存はあるけれど)だいたい10mWの光が入ると、50%程度の確率で網膜が焼けるとされている(ただし、波長や条件によっては、それ以下で目に損傷を受けているケースも報告されるようになっていて、この値は下がる可能性があるらしい)。そして、その1/10の1mWが、レーザー装置の一つの安全基準になっている。1mW以下の可視レーザーなら、目に入っても、まぶたを閉じるなどの待避行動を行えば、目には損傷が生じないとされている。ちなみに、レーザー光による網膜損傷は、熱による生体物質の変化なので、閾特性をもった現象であるので、損傷値の1/10なら、障碍が生じる確率はほぼ0であると考えられている(けれど、事故例の増加により例外が出ているらしい)。
MWSさんは、「それなりの知識と経験がある方が,それなりの準備と覚悟をもって行うことが望ましい」と記しているけれど、個人的な経験からは10mWという値を認識している人が必ずしも多くないので、ここに記す次第。
ちなみに、可視領域のレーザーでも405nmや700nmより長波長のものは、10mWでもかなり暗く感じられると思う。800nmくらいの光になると、目には633nmの1mWくらいの明るさなのに、光路調整のための紙をいれると煙が出たりすることがある。通販をやっているお店によっては、レーザー光を弱める安全ゴーグルも売っているので、10mW程度以上のポインターを買って実験をするなら、安全ゴーグルも一緒に買った方がよいと思う。ただし、これらの店で売っている安全ゴーグルが本当に、目に安全なレベルまで減衰するかは保証されていないので、それは、自ら注意する必要がある。
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by zam20f2 | 2011-08-06 08:36 | 科学系 | Comments(0)
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