反射対物

赤外の顕微分光装置には反射対物レンズがついている。ガラスを使った透過型の対物レンズでは赤外線は通らないし、通ったとしても可視領域とピント位置がずれているので分光したい赤外ではピントが合わない状況になる。反射対物なら、色収差はないので、すべての波長領域でピントが揃っている。
一方、反射対物は通常の透過型に比べると鏡筒が巨大になるし、また、基本はミラー2枚で集光するので、一般に種々のガラスを組み合わせた透過型ほどの見え方が期待できない。
その反射対物がしばらく前にオークションに出ていて、そんな物をほしがる人は他にいないみたいで、うちにやってきた。
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表示からすると90倍で、NA0.65、カバーガラス厚は0.16である。
のだけれど、このレンズ、まっとうに見えなかった。像がぼけてしまうのだけれど、何が悪いのかわからなかった。ご近所さんにも見てもらったけれど、原因の特定が出来ずに戻ってきた。
そのままお蔵入りになっていたレンズなのだけれど、ご近所さんは、その後も理由を考えてくれていて、アメリカのサイトからオリンパスのこの世代の対物レンズのカタログを見つけ出してくれた。それによると…倍率90倍は正しいのだけれど、NAは0.65,01.6となっている。反射対物は、光路折り返しの鏡が中心にあるので、NA0付近の光は後ろには到達しない。0.16は実にカバーガラス厚み指定ではなく、0.16未満の光路は折り返しミラーではねられるという意味だったのである。
で、カバーガラス指定はというと、石英硝子0.7mmという非常に意表をついたものだった。流石に、0.7mmの石英硝子の持ち合わせはないので、普通のカバーガラスのままでの撮影と、その上に0.5mmのガラスを重ねたもので差を見てみることにした。試料はもちろんMWSさんの珪藻プレパラートである。
先ずは、普通のカバーガラスのみ
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ご覧のように、像が甘くて、なんか使い物にならない感が満ちている。続いて、0.5mmのガラスを重ねた物
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上の写真に比べて、珪藻が中央にあるけれど、それを差し引いても像のレベルがよくなっている。これなら、本当に0.7mmの石英硝子を用意すれば、随分とよく見せそうだ。

それにしても、なんで、石英硝子0.7mmなんて普通ではないカバーガラス指定なのだろう。カタログを見ると、このレンズは紫外線も透過することになっているので、どうも、本来は紫外顕微鏡観察を意識した対物だったのだろうと思う。では、0.7mmはというと、これは正直よくわからない。1/32インチだと四捨五入で0.8mmになってしまう。当時の事情として、0.7mmの石英硝子が一般だった理由があるのだろうか。
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by ZAM20F2 | 2012-07-15 12:01 | 顕微系 | Comments(0)
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