干渉対物レンズ

ニコンの干渉対物レンズは対物レンズの前面に半透過鏡が、そして鏡筒内部の試料面に対応する位置にもう一枚の反射鏡がある特殊対物レンズである。レンズをのぞき込むと内部に黒い点が見えるのだけれど、これはレーザー光の集光に使ったときに生じることのあるレンズの焼け焦げではなく、内部反射鏡なのである。。この対物レンズは落射で使うもので照明光の一部が半透鏡で反射し、レンズ内部の鏡で戻ってくる。そして、半透鏡のところで試料から戻ってきた光と干渉を起こす。試料が光の波長以下のオーダーでフラットなら何も面白いことは起きないけれども、凹凸や傾きが有れば、高低差に対応する縞模様が出現する。縞模様の周期は単純に考えて波長の1/2である。だから500nmの光を使えば、250nmの段差に対応する縞模様が出現する。
この垂直分解能は、かなり驚くべき数字である。顕微鏡観察時の焦点深度として提案されている式ではNA0.5の対物で総合倍率400倍で観察するときの焦点深度は3μm弱ある。それと比較すると焦点深度の1/10以下の凹凸を検知出来ることになる。以下と記したのは、干渉縞の移動やコントラスト変化まで真面目に測定すれば、より高胃垂直分解能も得られるからで、実際にこの対物(正確には後継機種だけれど)をつかった、非常に高い垂直分解能をもつ表面プロファイラーも市販されている。
折角、10倍、20倍、40倍が手元にそろったので、本当にμm以下の垂直分解能が出るのかを試してみることにした。
観察対象は、短軸直径約11.5mmのクロムメッキの回転楕円体の短軸付近である。
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写真を見ればおわかりのように、ボールペンのキャップともいう。。

取り敢えず、落射照明そのままで20DI対物で撮影したのが
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ステージの微調を使って、1目盛り(=1μm)ずつ動かすと
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と随分と縞模様が移動する。縞模様が黒い線の両側に着色線が出ているのは、薄膜の干渉と同じ理由だ。
プロジェクションレンズが2.5倍なので、撮影倍率は50倍である。X50のCCDサイズから、長辺の長さは0.47mm程度になる。実際に1μmずつずらした画像を見ると、向かって左側は3μm程度、右側は5μm強程度の段差があることになる。円筒形を仮定して中心からの距離と段差を計算すると、3μmの段差を作る水平距離は0.18mm、5μm強は0.25mm。あわせて0.43,mmで撮影されている幅と、まあ一致はしていると言ってよいと思う。

ところで、この手の干渉実験をする場合には、単色光を使うのが基本である。とは言え、落射の光源にレーザーを使う根性はないので、富士フイルムのプラスチックベースのバンドパスフィルターBPM53を買ってきた。
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がその写真。白色光のものと違って短辺方向は上から下まで縞が確認できる。縞間隔が7本なので、高低差は1.85μm程度だ。横方向は、残念ながら右端までラインは確認できない。これは、使っているフィルターの透過光帯域が広くてコヒーレンス長さが足りないためだ。大枚をはたいてナローバンドの干渉フィルターを買うか、根性を入れてレーザーを光源にすれば全面縞構造の画像も夢ではないと思うのだけれど、そこまでの気力はない。
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by ZAM20F2 | 2012-12-04 21:21 | 顕微系 | Comments(0)
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