旅行の研究:少國民理科の研究叢書(1)

しばらく前の「天文古玩」さんに「街頭の理科研究」という本が紹介されていた。天文古玩さんは天文に重心のある理科学アンティーク趣味のWeb。たまに本の紹介もあり、だいぶ前に出ていた「レモンと実験」も天文古玩さんを見て古本を探したのだけれど、「街頭の理科研究」も速攻で日本の古本屋のWebを検索して発注した。
そうしてやってきた「街頭の理科研究」は期待通りにおもしろかったのだけれど、本が手元に来て、この本が少国民理科の研究叢書の一冊で、全32巻もあることが判明してしまった。ただし、昭和16年末の時点で、すべてが発刊されているわけではなく、戦時下のことだから、どこまで発刊されたのかは分からないところだけれども、それでも、かなりの巻数が世に出ているようだ。
というわけで、日本の古本屋で「少国民理科の研究叢書」で検索をかけて、興味を感じたものを取り寄せてみた。
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「旅行の理科研究」はその中の一冊。旅行と理科というと、このWebでだいぶ前に「科学より見たる 趣味の旅行」という、岩村田の光蘚などを紹介する本を出したことがあることもあり、旅行の理科研究も同様な本だろうと思っていたのだけれど、表紙をめくってみるとこの予想ははずれていて、旅行の理科研究は鉄道本であった。出てくるのは東京に住んでいるサラリーマンの5人家族。子ども3人は中学生男子と小学校男子、女子だ。もっとも、サラリーマンといっても父親の勤務先は鉄道省。その立場を利用して普通の人が入れないようなところまで入り込んでいるのはなかなかずるいところだ。
この本の時代で、最新鋭の機関車はC53。また、随分と面妖なものが最新式の機関車だったものだ。C53は輸入品のC52を参考に設計された第3気筒を持つ機種だけれど、構造が複雑でまた重量が重いために主要幹線しか走れないので結果的にはその後は発展せずに終わったものだと記憶している。
とはいえ、ある時代のスナップショットとして、色々と面白い事が残っている。たとえば、この時代の東京市電には、非ボギー車の車輪が前後1軸ずつしかついていない小型車も残っていたなど。
それにしても、この本には鉄道全般に関することが網羅されている印象がある。レールに関する知識も得られるし、トンネルのほりかたも書いてある。それどころか、電気機関車の高速時における弱磁界の話まである。もちろん、青函連絡船もぬかりなく書いている。そいういう意味では、理科研究というよりは鉄道知識本なのだけれど、車輪の形状が何故そうなっているかの原理なども含めて、背景の理科的なことまで記してあり、バランスよくまとまっている。
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by ZAM20F2 | 2013-02-01 20:44 | Comments(2)
Commented by 玉青 at 2013-02-01 22:21 x
こんばんは。
こちらでは初コメントになります。どうぞよろしくお願いします。

それにしても、これまた何と愛らしい表紙絵でしょう(しかもよく見たら硬券!)。
「少国民」という語彙にきな臭いものを感じつつも、ほのぼのしたブックデザインにホッとさせられます。
Commented by ZAM20F2 at 2013-02-02 08:35
ようこそおいで下さいました。コメント有難うございます。すてきな本を紹介して下さって有難うございます。戦時下の本のため、確かに、時代の影響を強く受けたところはありますが、それでも、当時の子どもにどのような知識が伝えられていたのかを知るのにも面白い本です。
このシリーズ、箱の絵もすてきなのですが、残念ながら箱無しでやってきました。それはそうと、硬券のデザイン、コメントを拝読するまでは気がついて居らず、改めて見直してしまいました。重ねてお礼もうしあげます。
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