割とよく見る横色収差の説明図のいい加減さについて

レンズの集光の写真をアップしていたら、知り合いさんから「色収差の分かる写真」というリクエストがやってきた。前に「よくあるプリズムによる分光の図のいい加減さについて」で記したように、普通の入射角では分散の程度は小さいので、焦点付近を別途拡大しないと色収差は見えないだろうなぁと、レンズをマクロに入れ替えて撮影することにした。
先ずは、縦色収差。これがセットアップ。
c0164709_21285383.jpg


そして、光を入れた図。
c0164709_21285479.jpg


色々な高さの光が混ざっていると、球面収差でのずれが重なって色収差が見えにくくなるので、光は2本にしている。そして集光点付近を別途拡大したのが
c0164709_2129545.jpg


である。確かに、縦方向で色の変化が見られている。これが、色収差である。
続いて、倍率色収差だけれど、これは、レンズの光軸に対して斜めに光を入れて初めて生じる。というわけで、セットアップ
c0164709_2129834.jpg


と、光を入れた状態。
c0164709_21291150.jpg


集光点付近を拡大したのが
c0164709_21291340.jpg


となる。これに近い状況をリンクをしているアストロフォトクラブのOPT98(簡易版は今でもダウンロード可能でWin7でも動くと思います)で計算して描いてみると
c0164709_21291887.gif


となる。全体は
c0164709_21292062.gif


な感じ。両方とも起こっていることは同じで、青い光が手前のレンズに近い側で集光し、その外側のレンズから遠い場所に赤い光が集光している。したがって、平らな象面を考えてそこに集光位置を射影すれば、赤い光の方が外側にあり、結像倍率が大きくなっていることになる。この結果が、自分のイメージにあった倍率色収差の図と違っているので、ネットで画像検索したら、
c0164709_21292419.gif


というような倍率色収差の図が出てきた。この図では、素直に赤い光が外側に結像するようになっているのだけれど、改めて図を見てみると、レンズの下側を通った光は赤い光の方が、大きく屈折している。つまり、このレンズは上半分と下半分で分散の方向が逆になっている。いや、なんとも、画期的なレンズですよね。それにしても、今まで、このような図を見て不審に思わなかったなんて、マヌケだったなぁとつくづく感じた。
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by ZAM20F2 | 2013-06-19 21:31 | 科学系 | Comments(0)
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