子供の作れる器械と模型

家庭用実用品の作り方の後ろにはもう一つ広告があった。
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で、日本の古本屋を探すと、まあ手頃な値段で出している本屋があった。
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これが箱表。本体は
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となかなか洒落た装幀だ。
前書きには
「書物のうちには、読む本と、観る本と、歌う本と、作る本とがあります。世間には、読む本は沢山ありますが、観る本歌う本作る本は甚だ少ないと思います。なかにも作ってみる本、即ち技能の創作を助ける書物は、誠に類が乏しいと思います。これは技術や動作を文字や絵画によって伝えることが困難であるからでもありましょうが、世の人たちは学問と云えば、書物を読むことばかりだと思う誤りから、こうした技術の本がおろそかにされるではないかと思います。
中略
先ず物を作るには、自分の生活圏内の興味から出発して、その物の知識内容をある程度まで極め、創作的興味へと導いて、考案工夫の体験から手の仕事に没頭させるといったやり方に仕組みました。
中略
それにはグラハム・ベル、モールス、カーチス、ゼェームス・ワットなどの子供時代の考案生活をよく味読諒解して、それから工夫考案の態度で発明的創作心をいろいろにめぐらして制作の仕事を完成して下さい。
後略」
と記してある。前書きにあるとおり、本文は
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とグラハム・ベルの子供時代の話から始まるのだけれど、電話につながる電気がらみの話ではなく石臼に関する工夫の話という意表をついたところから始まる。
ベル以外にも、上に記した人々の他、ジョーヂ君の話もある。
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彼が作り出したのはイーストマン式写真乾板である。ところで、今だとジョージと表記すると思うし、英語表記はGeorge っぽいので、最初のジと最後のヂに別のカタカナを当てる理由もなさそうなのだけれど、何故なのだろう。ついでに記すとゼェームス・ワットは本文中ではジェームスと表記しているところもあり、カタカナ表記が揺れている感じだ。
歴史的な発明をした人の子供時代などの話の他に、子供が主人公の工作物語りもある。その中で意表をついていたのは太郎君が、研ぎが出来ないために、だんだんと切れ味の悪くなってきたのを薄暗いところで使っていて、鋸でケガをするという話。そのため、一週間ほど工作ができずに、刃物がさびてしまったのをみてため息をついて終わっているという、よく分からないストーリーなのだけれど、刃物の切れ味などの話をあえて入れているところが面白く感じた。
工作ものというと、男の子が主人公になりがちだし、実際に男の子的な工作が多いのだけれど、きちんとバランスをとって、
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なものもある。丁度、米国から青い目の人形がやってきた時代。これ以外にひな人形を作る話もあるのだけれど、その背景は「震災でひな人形といわず、ひな壇といわずすっかり焼かれてしまいました」ということで、初版が出た昭和3年には関東大震災の記憶は非常に生々しいものであったようだ。

この本を読んで最大の謎だったのは「日本の三猫」。著者によると、日光の眠り猫、大阪天王寺の勇み猫、伯耆大山の正午(ひる)の猫の彫り物を日本三猫とよび、いずれも左甚五郎が彫ったものだという。眠り猫は今でも有名だけれど、残りの二つは今まで聞いた事もなかったし、ググった範囲では見つけ出せなかった。大阪四天王寺には左甚五郎の猫がいるらしいが、勇み猫ではなく眠り猫になっているし…大山に至っては影すらない。当時は、どの程度有名なものだったのだろう?
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by ZAM20F2 | 2013-08-18 13:10 | 科学系 | Comments(0)
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