20世紀における網点写真の作り方について

コンピュータ上の写真がそのままプリンターから出てくる世の中では、アマチュアレベルでも、印刷物に写真を入れるのに特段の苦労はないのだけれども、20世紀には素人さんの印刷物に写真を載せるのは白黒でも手間のかかる作業だった。印刷物の写真は、ドットパターンなので、普通の写真をドットパターンの写真に変換して印刷所に渡さないと、まともな写真として仕上がってこなかったのである。印刷所に変換を頼む場合には、コストがかかる作業なので、異なるページで使う写真をまとめて処理して、出来上がったものを切り分けて使っていた。 プロがどうやってドットパターンの写真を作っていたかというと、コンタクトスクリーンとリスフィルムの組みあわせが中心だったようだ。コンタクトスクリーンは2次元的に三角関数の濃淡があるスクリーンで、これをリスフィルムに密着させ、上から普通のフィルムで露光する。リスフィルムは白と黒しか出ないようなコントラストの強いフィルムでもとの光強度が強いところはコンタクトスクリーン通過後も感光する閾値以上の面積が大きく、大きなドットになる。逆に光の弱い部分はコンタクトスクリーンの透明な部分程度しか閾値をこえられずに小さなドットとなる。こうして、濃淡をドットの面積に変換した。コンタクトスクリーンは、そこいらで売っているものでなく、また、リスフィルムも素人さんの扱うものでなく、アマチュアがドットに変換するのはほぼ不可能なことだった。 先日、ネットオークションでたまたま見かけてついでがあったのと手頃な値段だったので、発作的に落札してしまったのが、このガラス板。
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印刷用のスクリーン板なのは見えたので、コンタクトスクリーンだったら良いなぁと思っていたのだけれど、来たのをみると、2枚のガラスの間にしっかりした線が入っているスクリーンだった。
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調べてみると、「写真製版用彫刻交線スクリーン」というもので、用途は同じなのだけれどガラス板分だけ下のフィルムから浮いているので、ピントのずれにより三角関数的な濃度変化を作り出すようなものであるらしい。というわけで、顕微鏡で拡大してみると
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と、三角関数のかけらも見られないはっきりした番組が見える。 そういえば、大昔に高校の文化祭のパンフレットに写真を入れたくて、最硬調の印画紙に、ガラス板の上においた編み目のスクリーントーンを通して引き伸しをした話を聞いた事があるのだけれど、実は彫刻交線スクリーンの原理だったわけだ。 というわけで、やってきた交線スクリーン、なるほどなぁと思いながら、考えていた使用目的からずれてしまって使うあてなくしまい込まれることになりそうだ。コンタクトスクリーンが入手できたら、実は、レーザーを入れて回折スポットを見てみようと思っていたのだ。本当に三角関数的な編み目になっていたら、1次の回折だけで、2次以上の回折は生じないはずなので、それを確かめたかったのだ。この交線スクリーンでは、あたりまえだけれど、2次以上の回折も生じてしまう。
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by ZAM20F2 | 2013-11-25 20:54 | 物系 | Comments(0)
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