雑談メモ

最近のスマートフォンやタブレット向けの液晶ディスプレイの中にはRGBに加えてW(白)の画素を持つものがあるという話を聞いた。省エネが求められるようになっているけれども、白を出すのにRGBを光らせて白にすると、それぞれの画素で、それぞれに2/3程度の光をロスしてしまうけれども、フィルターのないWの画素を入れておくとRGBだけの画素の場合に比べて、同じ明るさの白を出すのに2/3割程度のエネルギーですむ。もちろん、白画素が点灯していると色純度は落ちるから、一面緑の森林などの映像では、白画素を入れることによる効果はネガティブに働いてしまうのだけれど、森林写真家をのぞいては、緑一色の画面を好む人はいないので、平均として何割かのエネルギー節約になるという。

へえ-と思って聞いていたのだけれど、白画素を入れるのは大昔に、液晶ディスプレイの性能が悪くて輝度が足りなかった頃にTIなどがやっていた話で、その後の技術の進歩により、輝度が足りるようになり忘れられていたのが、スマートフォンなどの高精細かにともない復活したという流れらしい。同じような話にシャープさんの黄色画素もあるけれど、あちらは、輝度に加えて色域も増やしているので、その点は新しい話であるということだった。

そのついでに、目の色彩認識の話も出たのだけれど、白画素が大昔にあったことを教えてくれた方は、目というか人の視角におけるノイズ処理が不思議でしょうがないという話をしていた。人の目でL錐体とM錐体は非常に重なりの大きな感度分布を持っている。同じような感度分布の撮像素子を作ると、色再現能は向上するけれども、ノイズによる色の変動が大きくなってしまうのだという。もちろん、複数の画素を併せて平均化する操作をすれば、ノイズレベルは下げられるけれど、空間分解能は低下する。そして、ある時間にわたって入射光を積分してもノイズは減らせるけれども今度は時間分解能が低下する。しかし、人間の視覚は、それなりの時間分解能を持っている上に、空間分解能も保っているように見えるのが不思議だというわけだ。

確かに、人は見えるものを当たり前のように考えているけれども、普通の物理デバイスと比較すると、当たり前でない部分が浮き上がってくるものだ。ノイズは光子数の揺らぎや熱により必ず生じるものだから、目の入力段階でも生じているはずである。それを時間・空間分解能を落とさないように見せるためには、かなり複雑な芸をおこなう必要がある。たとえば、L錐体とM錐体の信号を併せて輝度信号として使って輪郭抽出を行った上で、その輪郭内部の色調を輪郭内部の3つの錐体からの平均信号強度比を使って求めて、そのにより求めた色調で輪郭内部の塗り絵をするというような。

今の技術を使えば、こんな感じの画像処理を行うことも可能だろうとは思う。でも、そうやって作った画像は普通に見る分には文句がなくても、PC画面上で等倍拡大をして画像を見る人たちにとっては、「塗り絵」と呼ばれるような画像になりそうな気もする。人の画像処理にとって幸せなのは、人の見え方をストップモーションで等倍で観察出来る人のいないことかも知れない。

雑談メモ追記:
前に、人の中には4種類の錐体を持っているという話をしてくれた人に行き合ったので、何%くらいの人なのかを聞いたら、女性の1%程度だったと思うという答えに加えて、最近になって、光に瞬時に応答する物質の他に、少しの遅れをもって出てくる物質があるらしいことが分かったという話が出てきた。そんな話を聞くとすぐに思い出すのは色順応のことで、環境光測定的な働きをする物質になるのかなぁと感じてしまった。錐体からの信号がS、L、Mの3種類でそれも瞬時の応答だとしたら、色順応は脳で行っている作業になる。一方で、新しく見つかった応答が色順応にも関与しているなら、視角系のハードウェアレベルでの色順応という話になる。ゆっくりと放出される物質がどのような感光特性を持っているかを聞きそびれてしまったし、ゆっくりとした応答をするものが色調補正に使われているのなら、一面に赤い壁をみていると、ある時間後にあまり赤く見えなくなるなんていうことが生じてもよいのかという気がするが、現実にはそんなことはない。一瞬、色順応につながる話かと思ったけれど、それほど単純ではなさそうだ。ついでに、聞きそびれたと思ったのは、ゆっくりと感じる細胞がどこに分布をしているかだ。勝手に黄斑部を避けた周囲にあるのではないかと予想しているのだが、どうだろうか。黄斑部を避けた分布なら、見ている直接のいろではなく環境光に近い物を(無意識のうちに)測定することになるのではないかと思う。
それにしても、ゆっくりした応答(遅延応答)をどのように作り出しているのかは非常に興味のあるところだ。光化学応答は瞬時だから、その後の化学反応に時間のかかるプロセスがあるのか(それなら、たんなる遅延回路としてしか働かない気もする)、それとも、何らかの機構により閾値的なものを作り出しているのか。たとえば、光化学反応でできたものを消費する物質があり、その消費物質が全部使われた時点で応答が起こるように見えるというような機構を考えると(消費物質はゆっくりと補充されるとする)、閾値をもったゆっくりした応答を線形の光化学反応でも起こせるかと思う。デジカメでやるなら、積分回路を入れればいいわけだけれども、でも、そこの画像をどのように使うかは非常に難しいだろうと思う。何しろ、目の場合には黄斑で見ている所以外は周辺として扱って良いけれども、写真の場合は、主題となるところが画像の中心とは限っていない。高度な情報判断が求められるだろうと思う。
そういえば、大昔のことだけれども、透過で赤色のフィルムの顕微鏡写真をネガカラーフィルムで作って、プリントアウトしたら、緑色の画像が出てきたことがある。写真屋さんに持って行って、ネガで緑の画像がプリントで緑になるわけがないだろうと言ったのだけれども、その写真屋さんの使っているプリンターでは自動補正を切ることが出来ず、赤色の画像を得るには値がフィルムからポジフィルムを起こしてダイレクトプリントをするという謎の過程を経る必要があった。それから、随分と自動補正の技術も進んでいると思うけれども、決して完全には到達していないだろうとは思う。

さて、遅い応答を示す細胞があるとう雑談の方は、どういう流れだったか思い出せないのだけれど、、最終的に「三原色が近似的な話でしかないことをもっと普通の人にきちんと伝えるべきだ」というあたりに到達してお開きになった。というわけで、こんなところにも、その情報を挙げておくことにする。
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by ZAM20F2 | 2013-12-11 21:05 | 科学系 | Comments(0)
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