紫外用反射対物レンズ

だいぶ前にオリンパスの反射対物レンズとそれで撮影した写真を上げたのだけれど、入手していながら、何に使うレンズなのかは分かっていないままだった。実は、同じシリーズで175倍というものもあり、それもふらふらと落札してしまっていたのだけれど、顕微鏡に詳しい人に見てもらっても用途が不明のままで、国内では用途解明ができないのではないかとさえ思い始めていた。 先日、ネットオークションにオリンパスの高温顕微鏡用と称する反射対物レンズが出ていた。そして、それの参考資料として上がっていた書籍の頁に175倍対物レンズの図があった。早速、頁内の言葉から本を特定して入手したのが
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そして分かったことは、これらの反射対物レンズは紫外線顕微鏡用のものであったこと。それも365nmのいわゆる長波紫外線ではなく、255nmの短波紫外線用。遺伝子がこの波長に吸収をもっているので、その観察を目的として1940年代から70年代頃に、使われていたものであるらしい。これで、90倍のカバーガラス指定が石英であるのも理解出来る。365nmだったら、普通のスライドガラスと同じ材質でもそれなりに透過するけれども、255nmとなると石英硝子か、もっと妙なものを持ってこないと対応できない。175倍の方は、グリセリン浸漬なのだけれど、グリセリンは、この波長領域では透明だろうと思う。 さて、本に掲載されていた試料を写した写真は
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というもの。紫外の光源には水銀灯を使うけれども、255nm以外の光は邪魔になるので、分光器を通して、255nmのみの照明にしていたらしい。このためかなり大がかりな装置で、全体像は
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となる。255nmの紫外線は写真フィルムを感光させるけれども、目には見えない(網膜に到達するまえに吸収されてしまう)ので、撮影時は可視光でピントを合わせてから紫外光源に切り替えて撮影を行っていたらしい。反射対物でピント位置が波長によってずれないからこんな芸当が可能なのだ。でも露出はかなり難しかった模様だ。 175倍の図は
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で、この図を見ると、結構大きそうに見えるのだけれども、試料とのWDがほとんど0なので、実物は結構コンパクトだ。普通の対物と並べても
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とほとんど同じ大きさだ。90倍はこれよりは大きいのだけれど、175倍とならべると
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と並べても、まあ、ありかなというサイズにおさまっている。反射対物が大きくなってしまうのは、作動距離を取りたくなった場合で、特に低倍率だと鏡の曲率が小さいので、作動距離を大きくすると、鏡が一気に大きくなっていく。入手した本には、高温顕微鏡も掲載されていて
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とし概要のに比べると、より大きな形状の対物となっている。ついでに、ホットプレートの部分の図だけれども、これは、自作を考えるひとの参考になるかも知れない。
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ただ、一つ不思議だったのは、オークションに出ていた対物レンズは本にもオリンパスの古いカタログでも該当する品が見つからなかったこと。いったいどういうレンズだったのだろう。 付記:その後、ご近所さんが「工業物理学講座 光学編-6 光学顕微鏡」を貸して下さった。著者は、上の「アサヒカメラ講座9」と同じオリンパスの宮田尚一さん。写真に掲載したオリンパスの紫外用反射対物レンズはは非球面を作るのに、球面鏡に真空蒸着で薄膜を付けて非球面化したとのこと。いろいろな工夫があったのだと感動すらする。
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by ZAM20F2 | 2014-02-20 21:11 | 顕微系 | Comments(3)
Commented by f at 2014-04-10 22:40 x
反射対物の件、大変興味深く拝見しています。「工業物理学講座 光学編-6」も入手しましたが、面白かったです。また、「応用物理」誌に宮川尚一氏の論文が何件かありました。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/oubutsu1932/-char/ja/
Commented by f at 2014-04-10 22:42 x
日本物理学会誌にも論文がありました。
http://ci.nii.ac.jp/els/110002070412.pdf?id=ART0002353113&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1397131760&cp=
Commented by ZAM20F2 at 2014-04-15 08:23
貴重な情報を有難うございます。物理学会誌や応物のバックナンバーがWeb上で拾えるという認識がなかったので、私にとって、とても貴重な情報でした。お教え頂いたものの他、思わず、山本健麿の液晶の解説記事(戦前)をダウンロードしてしまいました。
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