液晶温度計

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前のエントリーで出した温度計の全体像。物差しと温度計のコンビネーションになっているけれど、材質と厚みから剛性はないので、線引きにはあんまり適していない作りだ。
 温度が変わると
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のように、その温度の部分のみ発色する。見ておわかりのように、低温側が青、高温側が茶色っぽい色になる。この品では温度変化の幅は2℃程度だ。
 液晶温度計にはコレステリック液晶が使われている。コレステリック液晶は、局所的にはネマチック液晶と同様に(普通は)棒状の分子が平均して同じ方向(配向ベクトル方向)を向いているけれども、配向ベクトル方向に垂直な一つの軸に対して配向ベクトルが螺旋状に変化していく構造になっている。このような螺旋構造があると、螺旋周期に平均屈折率をかけた程度の波長の光が反射されるようになる。それが可視領域にあたる場合には着色して見えるようになる。
 温度により色調が変わるということは、螺旋周期が温度依存を持ち、特定の温度の時だけ可視領域になっていることを示している。それ故、「コレステリック液晶の螺旋周期は温度によって変化するので」というような説明がされている場合も多いのだけれども、この説明には少しばかり注意が必要だ。確かにコレステリック液晶の螺旋周期は温度依存を持つが、その温度依存性はあまり急激ではなく数度の温度範囲で可視領域を横切るようなことは、ある場合を除いてほとんど無い。
 そのある場合というのは、コレステリック液晶の下に、スメクチックA液晶がある場合で、スメクチックA液晶はらせん構造をもたない液晶であり、転移温度の直上でコレステリック液晶の螺旋周期がそれまでの値から無限大に急激に変化する。液晶温度計では、螺旋周期が短くて紫外領域に反射帯があり、低温側にスメクチックA液晶がある物質を用いて、複数の液晶を割合を変えて混合することにより、転移温度を少しずつ変えた液晶材料を作って、使っている。例えば、30℃で緑色になる部分は28~29℃でスメクチックA液晶に転移する材料を使っている。このため、三十数度では、螺旋周期が紫外にあり着色しない。31℃程度で螺旋周期の急激な伸びが始まって可視領域の短い所に到達するので青になる。30℃でさらに螺旋周期が延びて緑になり、29℃でさらに延びて赤色(写真では茶色で、これは、多分液晶がマイクロカプセルに入っていることが影響しているだろうと思う)になり、そして、28℃では赤外領域になって見えなくなる。

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by ZAM20F2 | 2014-05-01 07:20 | 液晶系 | Comments(0)
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