Olympus POS

オリンパスのPOSが予定外にやってきた。
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ネットオークションに出いていた品で、応札したからこそやってきた物なのだけれども、この前にPOSが出た時の落札価格に比べると、随分と低い価格で上限をかけていたので落札出来ないだろうと信じていたのだ。
落札できてしまったのは、オークション期間が短かったことや、偏光顕微鏡としてではなく、オリンパスの単眼顕微鏡としてしか出ていなかったことや、出ていた写真からは対物レンズが欠品であるように見えたことなどが関係していると思うけど、オークションで掘り出し物を入手しようとおもったらこまめなチェックが欠かせないと改めて感じた。

さて、やってきたPOSだけれども、認識出来る範囲で部品に欠品はないようだった。
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といった感じの写真上がっていたので、ないと思っていた対物レンズも4倍と40倍もそろっているし、位相差板も両方あり、そして、非常になくなりやすい対物レンズの芯だし治具もついていた。
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ただし、状態には問題があった。まず、反射鏡がかなり曇っている。それから、顕微鏡に装着されていた10倍対物レンズの先端が腐食している。そして、検光子が固着していて回転しない。それ以外にも、偏光子表面が少し汚れているといった問題はあるけれども、それは普通のメンテナンスの範囲だ。

3つの問題のうち、反射鏡と対物レンズはあまり気にならなかった。というのは反射鏡に関しては、MWSさんのWebで紹介されている小型のLEDライトを使った照明を活用すれば、反射鏡自体が不要だからだ。
対物レンズは、液晶観察を考えると、本来の附属のものでなく長作動のものに変える必要があるので、元の物に問題があっても、交換するので問題がない。また、このクラスの顕微鏡についているものよりは、オリンパスならBH2、ニコンならOPTIPHOTについていたクラスの対物と接眼に取り替えた方が見え方も使い勝手もよくなると思う。単眼の偏光顕微鏡で重要なのは偏光子、回転ステージ、位相差板、検光子の部分で、それ以外は鏡筒長の適合する新しい対物や接眼に変えるのを躊躇する理由はない。経験的に、この世代の対物レンズは偏光顕微鏡用と謳っていなくても、実用的な観察には問題のない程度の偏光の乱れしかない。

残る検光子の固着は解消しない事には顕微鏡の使い勝手が著しく低下する問題である。OlymusのPOSは
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のように、偏光子も検光子も±45度の範囲で回転可能で、これは、ある種の液晶状態で旋光性的な挙動をするものを観察する時に、上と下の偏光板を逆方向に同程度回転するのに非常に便利な機構だ(もっとも、今の時代にそんなことをする人はほとんどいないかもしれないけれど)。上が45度で固着していてもクロスニコル観察は出来るのだけれども、やはり検光子はスムーズに回転して欲しい。

固着しているものは、動くようになって初めて、どの程度固着していたかが分かる。固着している状態では、そもそも強い固着かどうかが分からないので、対処は楽ではない。まず、目視の範囲で固着の原因を探す。場合によると後から人為的に接着剤で固定しているなんて場合もある。固着の元が目視で見つかったら、それを取り除くところから始まるのだけれども、今回は原因となるような部分は見当たらなかった。
固着が強い場合に、無理に動かそうとしてアームが曲がったりすると取り返し不可能な状況に陥る。分解した方が話が楽な場合もあるので、分解することを考えてアナライザー部分を裏返してみると、ねじが片方すでに潰れている。どうやら、前の所有者も固着したのを解消しようとして分解を試みたらしい。
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フィリップス(プラス)ねじは潰れやすい。もともと、非熟練工がねじを締めすぎてねじ部分を切ってしまうのを防ぐために、ねじが切れる前に頭の部分が潰れてそれ以上の力で締められなくする目的で作られた構造だから、回す力より押しつける力を強くして気をつけて回さないと、あっという間に頭が潰れてしまう。

さて、一方が潰れたアナライザー部分だけれども、大丈夫な方のねじを外せれば、板と上のブロックを相対的に回転できて、それで、潰れている方のねじが緩む可能性があるので、それにかけることにして、潰れていない方のねじを回そうとしたのだけれど、真っ当なドライバーを使って気をつけてやったつもりなのに、あっさりとそちらのねじもつぶしてしまった。

こうなると、ほとんど最終手段しか残されていない。ドリルをつかって皿ねじの頭の注進に穴をあけて落としてしまうのだ。ねじの頭が取れると、板とブロックは外れるし、そこが外れるとねじには張力がかからなくなるので、残っているところを巧くつまんだり、タガネで溝を付けると、中に残っている部分を回して取れる場合がある。それでもだめだと、残っているねじの中心に、ネジ径より一回り小さなドリルをたてて穴をあけ、残っているねじ部分を崩していくしかなくなるのだけれども、それをやるにはきちんとしたボール盤などの設備が欲しくなる。

というわけで、取り敢えず、分解せずに固着を外す方向で進まなければならなくなった。油をさして様子を見るのは一つの方法なのだけれども、下手に油を差すと、あとあと染みだしてきて光学素子を汚したりすることになる危険性があるので、どうしたものかと思案しながらアームをいじっていたら固着が外れた。ただし、動きはスムーズではない。
こうなれば、ねじをつぶしたことはなかったことにして、後は動きがスムーズになるようにすればよい。というわけで持ち出したのは杉浦研究の光学用グリース。
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スパチュラをつかって、グリースを検光子の回りの回転部分において、検光子を回転させて馴染ませていく。これで、動きはスムーズになった。
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それ以外も何カ所かにグリースを塗って調整して、それから、偏光子などの光学部品のクリーニングに移る。機械系の調整はどうしても手に油がついたりするので、光学系のクリーニングとは一緒にはやれない。もちろん、光学部品のクリーニングに移る前に、手を洗うのを忘れてはいけない。

POSにはアッベコンデンサーがついている。4倍と10倍の観察の時には上玉を外して使った方がよい気がする。まあ、このあたりは下の光源を何を使うかも含めての話なので、やってみて最適な状況を探すのが確かな方法であるけれども。
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アッベコンデンサの上玉も、下玉もねじで外れるので、必要なら外して清掃する。液晶観察がメインだと、汚れは油性のものなので、最初からEE3310(HCLレンズクリーナー)のような有機溶媒を使ってしまうのだけれども、世間一般的には水溶性の汚れの方が多いので、精製水あたりからはじめる方が幸せだろうと思う。偏光子と検光子に関しては、どうしてもカビの痕跡が取れないなら、取り替えることを考えて見よいかもしれない。そのためには、カニ目レンチのような工具が必要になるけれども、最近は中古カメラのメンテナンス用品としてカメラ屋等で売っているので入手には問題がないと思う。取り外して、径をはかって、エドモンドあたりで同じ径のがあれば万歳なのだけれども、POSの偏光板は実測で、下が24mm、上が18mmで両方とも適合サイズがない。上の方はユニットを引き抜いた後に上側からそのまま外せるし、下の方も、コンデンサレンズをはずして絞りをめいっぱい拡げれば上側からはずすことができる。

偏光子の方は、まあ、プラスチックベースの偏光フィルムをそのまま使っても、細かいことを云わなければなんとかなると思うけれども、検光子の方は平面がちゃんと出ていないと、像が悪化する。カメラ用で適合するのを探し出すか、18mmφのカバーガラスの間にプラスチックベースの偏光子を挟んで、UV硬化型の光学用接着剤で貼り合わせるといったことを考える必要がありそうだ。こうなると、多分、カビを落として取り敢えず使う方が幸せだろう。
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by ZAM20F2 | 2014-06-08 13:01 | 顕微系 | Comments(0)
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