鉈 竹垣用 碑文谷

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 辻まことの「山で一泊」はすてきな本だ。アルプ系山の画文の一冊だけれども、独特の画と文の織りなす世界は、他の人にないものだ。山で一泊の中に奥武蔵非推奨コースという人を食ったタイトルの話がある。
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その中に、幼なじみの鍛冶屋さんが出てくる。環七の内側にあったその鍛冶屋さんは、代が変わって小淵沢に移ってしったけれど、まだ碑文谷にあった頃には何度か伺ったことがある。刀鍛冶だけれど、今のご時世、刀だけでは商売にならないので、小刀や包丁やら移植ごても作っていた。問屋はあんまり通していなかったようで、作った包丁を風呂敷に包んで、奥さんと息子さんのお嫁さんとで日本橋の刃物屋に届けたりしていたらしい。
 仕事場の表には店があって自分のところの刃物の他に、花鋏なんかもおいてあったれど、何しろ自分のところで作るのがメインだから、店先は品数の少ない鄙びた刃物屋さんという感じだった。最初は辻まことの本の記述をもとに、地図と電話帳を頼りに探しにいったのだけれど、あまりに普通の店構えに、拍子抜けしたものだ。
 あるとき店にいったら、おいてあったのがこれ。
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なんでも、仕事場の片隅から出てきた昔に作った品だそうで「今ではもう作れない」とのお話。使うあてはないにもかかわらず、思わず買い込んでしまった。
 この鉈、全長が1尺5寸になるように柄をつけるのだそうだ。それは、竹垣の横に渡す竹の間隔で、これ一本あれば竹垣を作るのに困らなかったらしい。
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by ZAM20F2 | 2014-09-11 20:56 | 物系 | Comments(0)
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