オリンパスPOS ベレック型コンペンセータ

箱がある。
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止め金具の犬マークがなかなか格好いい。
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蓋を開けると出てくるのはベレックコンペンセータ。
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z軸が回転軸に平行になっているので、方解石を使った品と思われる。このコンペンセータ
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とオリンパスのPOSに適合している。ベレックコンペンセータは板に垂直がある1軸性物質を回転させリタデーションを発生させ、試料のリタデーションを打ち消し、打ち消した時のコンペンセータのリタデーション量から試料のリタデーションを求める道具である。

コンペンセータを回転した時のリタデーションは、回転角とリタデーションの厚みに依存する。回転角依存性は一般式があるのだけれど、厚みは個々のコンペンセータで異なるため、そのコンペンセータの補正値が必要となる。

もちろん、写真で示したコンペンセータの補正値を記した資料は方向不明だ。このままではコンペンセータがあっても使えないので、自分で補正値を決めなければならない。補正値の決め方だけれど、粟屋 裕さんの「高分子素材の偏光顕微鏡入門」には、波長λの単色光源を用いて、消光位置を見れば、その位置のリタデーションはλ、2λ、3λ…なので、それに合うように補正値を計算するという手法が載っている。本には単色光源がなければ偏光顕微鏡の緑の整色フィルターを使うことも可能である記載があるけれども、普通の緑の整色フィルターは透過スペクトルの幅が結構広いので、消光位置の決定が少しばかり微妙になるのではないかという気もする。また、単色光源がないからといって、レーザーを光源代わりにするのは止めた方がよい。

単色光源のあてがない場合には既知のリタデーションを持った位相差板を用意して、その消光位置を確認すればよい。偏光顕微鏡には1/4波長板とリタデーション530nmの鋭敏色板が附属しているので、これを既知のリタデーションを持った位相差板として使う事が出来る。ただし、後で記すように1/4波長板は読み取り誤差が出そうなので、530nm板を使う方が結果が良いだろう。複数の鋭敏職板があるなら、重ねて1060や1590nmの位相差板として使うのもよいアイデアだと思う。
さて、コンペンセータに依存しない回転角依存性については、オリンパスのWebに式が掲載されている。この式からすると、用いる物質の屈折率に依存する部分がある。また、坪井誠太郎さんの本に1軸性結晶の光路差に関する近似式がある。

オリンパスのWebの式に方解石とフッ化マグネシウムの値を入れると、値の違いはずれるのだけれども、最大値で規格化した曲線の形は測定誤差よりも小さな差しか生じない印象がある。また、坪井さんの本の近似式もカーブの形は重なる。さらに
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という適当な近似式から出てくる値もカーブ形状としては重なるので、いずれの式を使っても、コンペンセータ側の補正係数が変わるだけで問題は生じないだろう。ただし、θはベレックのプラス側とマイナス側の読みの差を2で割った値だ。


さて、1/4波長板より530nm板の方がよい点だけれども、それは、ベレックコンペンセータによる消光を計算してみると納得がいく。50nm、137nm、530nmの位相差板をベレックで消光する場合の回転角と明るさの関係を図示する。
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これが50nm試料の打ち消し

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これが137nm(λ/4板)

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そして、これが530nm板(鋭敏色板)の打ち消しだ。

打ち消す位相差が小さい領域ではベレックの位相差変化の回転角依存性が小さいために、誤差が入りやすくなる。さらに、極小部分の非対称性が強くなるために、ベレックを回して同じ明るさになる点の中心を消光位置とするような測定をすると、傾きが緩い方の影響を大きく受けて系統的に小さな値を読むことになってしまう。
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by ZAM20F2 | 2014-09-14 20:46 | 顕微系 | Comments(0)
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