ブレースケーラコンペンセータ Broce-Kohler compensator

オリンパスのWebにはベレックの他に微小複屈折測定用としてブレースケーラコンペンセータという物が上がっている。2種類あり、一方が20nm、もう一方が50nm程度までの測定が可能となっている。オリンパスのWebを見ると(昔に比べると随分と充実している)原理として、観察試料を偏光子/検光子の軸から45度に設定した上で、「レタデーションの小さい雲母のプリズムを光軸を中心に回転させレタデーションを変化させる。」と記されているのだけれども、雲母のプリズムと言われると平行平板でない気がするし、光軸といわれても雲母は2軸性結晶なので、雲母の光軸とすると話が混乱してしまう。しかし、Webの図をみると平行平板のものを顕微鏡の光軸を中心に回転させるようなものとなっている。

現物を調べるあてがなかったので、雲母は平行平板であるとして(なにしろ劈開性がつよくとてもじゃないけれども変な格好のプリズムは作れないだろう)、顕微鏡の光軸に垂直に平板を入れるなら、2軸性物質ではなく光軸が面内にある1軸性物質として扱っても大丈夫なので、その近似下で計算してみることにした。

セロテープの複屈折を計算するくらいなら、一つ一つのプロセスを考えて計算をすればよいのだけれど、少し複雑になると機械的に処理できる方法の方が楽だ。手軽なのはジョーンズマトリックスを使う方法だ。偏光子から45度方向においた位相差δのプレートは
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コンペンセータに相当する偏光子の軸からθだけ回転できる位相差φのプレートは
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となる。入射光と、それに垂直な軸方向の偏光子は
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なので、
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という行列のかけ算で出射電場が計算できる。計算結果は
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なのだけれど、光強度は電場の2乗なので、
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となる。コンペンセータのリタデーションを50nmと30nmの場合に、いくつかのリタデーション試料の場合のθと透過光量のグラフを描いてみた。まずはコンペンセータが30nmの場合
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試料リタデーション0
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試料リタデーション10
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試料リタデーション20。続いてコンペンセータのリタデーションが50nmの場合
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試料リタデーション0
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試料リタデーション10
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試料リタデーション20
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試料リタデーション30
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試料リタデーション40
と、ある角度で最小値をとるようになる。最小値となる角度をsin2θに対してとると、確かに直線に載ることが確認できた。

コンペンセータのリタデーションが小さい方が、微小複屈折の感度はよくなるが測定できる範囲が狭くなる。また、試料のリタデーションがコンペンセータのそれに近付くと、漏れ光が大きくなるとともに、そこが緩くなって測定感度が悪くなりそうである。実際の50nmまで測れるものは、もう少し大きめのリタデーションの板かもしれない。


ベレックとブレースケーラを比べるとブレースケラーは視野全体で均一に補償されるので、ベレックより安心して使える気がする。

ところで、オリンパスのWebによるとブレースケーラは位相差測定の他に、微小複屈折物体のコントラスト増強にも使えるという。コントラスト比が上がるかは偏光顕微鏡自体の消光がどの程度あるかにも依存するのだけれど、明暗差なら確かに上昇はしそうである。ということは、薄く剥いだ雲母板を試料に重ねれば、微小リタデーション試料が見やすくなる可能性があるということだ。雲母はそれなりの大きさなら、薄板を作れるきがするので、これは、ちっと試してみる価値があるかもしれない。


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by ZAM20F2 | 2014-09-16 21:06 | 顕微系 | Comments(0)
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