四角いまま

電車の中で見かけた広告。四角い頭を丸くするというのが売り文句の学習塾の宣伝なのだけれど、この広告を見る度に宣伝主が考えていない別解を考えるのを楽しみにしている。

c0164709_21170165.jpg

さて、今回の問題、意図からすると太陽が十分遠方にあるので、太陽からの光を平行光線として扱えることを指摘すれば良いのだろうと思うし、Web上での塾による解答もそのようになっている。

でも、頌子さんの作図を見てみると、太陽の中心からの光しか考えていない図になっているので、上端と下端からの光も書き込んで、陰の幅が出ていないことが間違いであると指摘してもよいように思う。
このような解答を出すと、問題文中に頌子さんが「影が短足になる」と叫んでいるので、それに対応しない解答は不正解であると言われそうだけれども、問本体の方では頌子さんの作図が正しいかどうかのみを聞いているので、太陽の上端と下端の光を入れていない点が不正確だという解答も間違いとは言えない。

また、太陽を点として扱うのが正しかったとしても太陽が有限の位置にあるとするなら、完全な平行光線とはならないので、腰の線を通った光線の地面との角度が45度より大きくなることは数学的には正しい。定性的に平行光線としてよいという言明は簡単にできるが、どこまでを平行と近似して良いかの定量的な議論ははるかに難しいものであり、それをやろうとすると、モデルとなっている人の高さと腰の位置と測定に用いる器具の精度を仮定した上で、光源が何処まで離れていれば測定器の精度範囲で平行光線と区別がつかないかを計算でもとめ、その距離と太陽までの距離を比較した議論を行わなければならない。

そのような議論を踏まない説明は「取り扱われた問題をすべて理解しつくしたかのように考える」ものでしかなく、それで満足していたら、頭の中身は四角いままだろうと思う。

それにしても、この問題、なんで頌子さんがお父さんに聞く設定にしたのが非常に不思議だ。この学校は、女子校のように思えるのだけれど、お母さんではなく、お父さんが説明するという設定は、母親はこういう科学的なことを説明する能力がないことを暗に主張しているのか、それとも、母子家庭の子供を取るつもりがないことが現れているのかと疑ってしまう。

入試問題が学校の顔の一つであるなら、むしろ科学的なことにも通じている母親像がある問題にするのが女子校としての当然の選択だろうにと思う。そして、この問題を選んで使っている、この学習塾のセンスも前世紀のものであることが露呈している。こんな塾には柔軟性のある思考も有する人間を育てることは出来ないであろう。


[PR]
by ZAM20F2 | 2015-01-08 21:17 | 文系 | Comments(2)
Commented by Ataron at 2015-01-08 22:54
あけましておめでとうございます。

今年も鋭い批判が炸裂しそうですね。 鈍くなっている私のカンを「うわ 難しい事やってるな」と刺激してくれるだけでも、ここは有意義な場所です。 レトロな文献も不思議な気分で見ています。 私もそのうち真似するかもしれません。 今年もどうぞよろしく。
Commented by ZAM20F2 at 2015-01-11 20:40
コメント有難うございます。
批判に限らず、何かを表に出すのは、その時点での自分の到達している地点を曝す行為で、なかなか怖いものがあると思っています。人は錯誤をしやすい物で、ある頻度でマヌケなことを書いているだろうと思います。どうぞ、お気楽にお付き合い頂ければ幸いです。
<< LEDテープライトを使った湾曲... 索引はどう使うか >>