海流の話

海流の話の著者は日高孝次。日本海洋学会の設立に係わり、自身も第2代の会長を1947年から1966年の長きにわたって務めている。日高の著書を見ていると、共著だけれども「見合いのエチケット」などという本がある。これは、名前だけは聞いたことがあった記憶のある「日高パーティー」を開催する中から生まれたものであるようだ。

さて、卒塔婆から始まる海流の話、卒塔婆に続いては、浜木綿の分布と海流の関係、
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そして日本人の海外進出の先駆者のことから
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漂流者の記録に関することと話が続いていく。
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このあたりは、海流が聞いたことのある話などとどのように関係するかを解き明かして読者の興味を引こうという作戦のようだ。


その上で、第2部になって、ようやく海流を起こす原因の話が始まる。
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それは、まず吹送流という風に吹かれて起こる流れから始まる。もっとも、単なる説明ではなくナンゼンによる北極探検の話と合わせて語られ、

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そして、何故かその後は地動説の話が入ってくる。地動説の話が入ってくるのは、非常に唐突感があるのだけれども、実にこれは自転による風やさらにはコリオリの力へと続く伏線で、その先に傾斜流といった話へと続いていく。
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この列車はコリオリの力の説明だけれども、なかなか画期的に分かり安い気がする。


海流の原因の話が一通り終わったあとで、どの様にして海流の調査・研究が行われてきたかに話が移っていく。その中には明治期に日本人の和田博士が行った海流瓶の話などもあり、
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先人の苦労の上に海流の流れ図が作られていったことが実感できるようになっている。また、測定に用いる機器も類似構造の風力計などと合わせて示されていて機械好きにはたまならい部分になっている。
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深海の水の動きを軽く触れたあとで、最後の第5部では日本近海や世界の海流の話をまとめている。
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ここで本文は終わっているけれども、その後に「一番あとに」という後書きのようなものが付いている。そこでは、海流の事が、平家物語や漂流記といった歴史的な事と、さらに言ってしまえば人類の歴史にもかんけいすることが指摘されている。その一方で、海流の研究が単独で進むものではなく、他の学問が必要であり「学問は、もつれ合い、助け合って進む」ことが強調されている。そして、最後の最後には「海底の泥を研究することが人類の生活に何の関係があるのか、などという考え方をする人があるとすれば、その人は学問というものを知らぬ人だ。目の前で、いますぐに役に立つとは思えぬような勉強。それをじっと続けている人々を尊敬することを忘れぬようにしたい。」
と結んでいる。


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by ZAM20F2 | 2015-01-25 20:40 | 科学系 | Comments(0)
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