「大地の動きを探る」:少国民のためにから岩波科学の本へ

しばらく前に、戦前から戦後にかけて岩波から出版されていた「少国民のために」のシリーズを取り上げた。このシリーズは1970年頃に終焉を迎え、そして、それに代わるように岩波科学の本のシリーズが発刊された。
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「大地の動きを探る」はこのシリーズの一冊で、このブログで前にお見せしたこともあるのだけれど、その時は中身の紹介をしなかったので、改めて取り上げることにした。

著者は杉村新。「山はどうして出来たか(2)」で、山はどうして出来たのかが小堀杏奴がリライトしたことを伝えられたお弟子さんである。
「山はどうして出来たか」が、地形の変化に関することを全般的に扱った物であるのに対して、「大地の動きを探る」は杉村自身の研究の流れにそって、地形の形成に関する話を紹介していっている。杉村自身の後書きは

あとがき(大地の動き)

この本は、私が自分の研究や友人達の研究について体験した、研究のいきさつを、物語り風にお話ししたものです。その合間に、地殻変動を中心とした地球科学上の初歩的な解説と、自然科学を研究する時にしばしばぶつかる基本的な概念の解説とを、まじえてみました。
 私はこれらの事柄をそれぞれ整理して別々に語るよりも、いっしょくたに語る方を選びました。それは、これらが本当は互いに切り離せない関係にあるからです。
 中略
 研究というものは、迷路を歩くようなものです。始終袋小路につき当たっては引き返しているのです。それをいちいち書いていたら、読む方もうんざりしてくるでしょう。
 
 中略
 最初からずっと共著者といえるほど面倒を見ていただいた編集部の栗原一郎氏と、この本に命を吹き込んだようなすばらしい写真を何枚もとられた岩波映画の関戸勇氏と、最後に通読してもらった高校時代からの友人笠松草一郎氏をしるすにとどめておきます。
 一千九百七十三年六月二十八日 福井地震の二十五周年めに」

というわけで、リライトこそないものの、随分と編集の人が関わって出来上がった一冊のようである。ところで、大塚の本の結びの部分は
「私はこの本で、山について諸君に正しい知識をあたえようとつとめた。中略 また残念ながら現在の学問ではまだはっきりしていないことが非常に多い。この本で話したことは地質学という学問の一部である。地質学は物理学、化学、生物学などの知識を用いて地球にはたらいているいろいろな現象を研究する学問である。中略 わからないところを明らかにしようとして一所懸命に研究を続けている。しかし多くの問題は、諸君に残されるだろう。後略」
と記されているのだけれど、大塚の没後にマントル対流という概念が提唱され、大陸移動説が復活し、プレートテクトニクスへの発展していく。杉村の本は、それらの進展の上にあり、残された問題に新しい視点からの内容を付け加えるものになっていると思う。
本の内容は、エントリーを改めて紹介する。
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by ZAM20F2 | 2015-07-07 21:26 | 文系 | Comments(0)
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