大地の動きを探る(承前)

山がどうして出来たかが、俯瞰的であるのに対して、大地の動きをさぐるは、大地に変化をもたらすもの総てを扱いのではなく、杉村が扱ってきたものを題材に話を進めている。個々のトピックは、ある程度の独立性がある。
最初に出てくるのは活褶曲である。これは、今での褶曲運動が続いている褶曲で、もともとは大塚が指摘したものである。
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杉村は大塚より詳細な調査を独力で行う。そのために使ったのは2台の気圧計。1台の自記機能のあるものを参照圧力にして、もう一台で土地の僅かな上下を圧力を使って測定した。
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今だったら、もっと便利な道具を使いそうだし、それこそ便利な道具がないと、そんな測定は不可能だと思いがちだけれども、素朴な道具で、結構面白いことが出来るのを教えてくれる。
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続いての話は東京の地盤沈下だ。これは地下水のくみ上げにより生じることでかつては、大きな問題となり、その結果として地下水のくみ上げ規制がおこなわれるようになったものだ。
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沈降と地層構造の関係の話から、有楽町層といった海底で堆積して現在は陸上にある地層の話へと進んでいく。
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そして、その先に、日本の各地に有楽町層相当の地層があることから、その成因は陸地の隆起ではなく、海面の変動であろうという話になっていく。どうやら、昭和20年代には、地球規模での海水面の変動があったことは想定されていなかったようなのである。
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大塚は1950年に亡くなるまで、有楽町層が海面変動により作られたというアイデアには賛同しなかったらしい。
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もちろん、海面変動とは別に陸地側の沈降や隆起現象も存在する。関東大震災における房総の隆起などを上げて、地震に伴う土地の変動へと話が移っていく。
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続いて出てくるのは水鳥断層の写真。
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地震直後の有名な写真の他、取り直した写真も出てくる。
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この写真は杉村の後書きからすると、岩波映画の方がわざわざ取りにいったものだろうと思う。水鳥断層は岐阜の結構山奥。コストのかかった写真である。
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は2006年に出かけていった時の物。断層の脇には博物館が出来ていて、地層の断面を見る事も出来るようになっている。

そして、その後に阿寺断層など、地震断層の話が続いていく。
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断層地図もあるけれども、今の断層地図に比べると、載っているのが少ない気がする。
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初動の押しと引きなんて話も出てくるけれど、この時代の人が、今のように地震の直ぐ後にCMT解が出てくるのを見せられたら驚愕するだろうなぁと思う。
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でも、その一方で、人間の記録に残るような時間スケールでは動いていない断層の動きと、地震予知に関する理解は、この時代に比べてあんまりというかほとんど進んでいない気がする。
最後に室戸岬の動きから四国沖の地震の話がある。
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周期を見ると最短で90年ぐらいだからあと20年ぐらいで危険域に入るのは確かだろうけれども、東南海が騒がれるのは、単に地震学者が、かなりの強気で発生を予言できるからであって、それ以外、そこら中に時限爆弾が埋まっていることをわすれてはいけない。地震予知なんかに金をだすよりは防災対策こそきちんとお金を配分すべきことがらのはずだ。



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by ZAM20F2 | 2015-07-08 21:54 | 文系 | Comments(0)
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