分子の形とはたらき:岩波科学の本


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少国民のためにも、科学の本も化学の本が少ないと書いたけれど、科学の本に化学の話が少ないのは、分子の形とはたらきの著者も本の中で主張している。
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その、化学の本の中で著者は分子や結晶の形に関する話を展開している。この本は中高生なら一度は見たことがあるであろう、沃素デンプン反応からはじまり、包摂化合物を使ってその色を消し去る話を紹介して、いろいろな分子や結晶の話を経て、最後に種明かしがなされるというスタイルになっている。
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最初の方は立体化学的な話で、炭素の異性体の数から、四面体構造が正しいことが示され、そのあとで、エタンを例に2面体角など基礎的な概念の説明が続いている。
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シクロヘキサンの椅子型と船型の話は高校で習ったのかその後で知ったのかの記憶は曖昧だけれど、そんな話も丁寧に、分子模型も含めて書いてあって、この辺りに苦手意識を持っている人にとっては、今でも良い読み物であるように思う。立体を平面に書き表す方法もきちんと書いてあるし、丁寧な本だ。
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とはいえ、3次元を2次元の紙の上に投影するのは、どうしても理解しにくいと著者は考えていて、

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視点を少しずらした図を使って立体視する工夫がなされている。
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そして、この立体視ビュアー
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これは、まさにGoogle Cardboard に先行する工夫だ。確かに、Google Cardboard では紙に書いた2枚の図ではなく、スマートフォンの画面を2分割して使うわけだけれども、紙を使った簡易ビュアーは、まさにGoogle Cardboard そのものだ。
これを使って見る図として
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なんて変なのもでてくる。確かに、これは立体的に見ないと、中々理解しにくいかもしれない。そして
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光学異性の話の後は
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3次元結晶も取り上げている。
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そして、最後に包摂化合物で種明かしがなされる。

それにしても今だったら、それこそGoogle Cardboard を使って立体視とか、立体視しながら画像が回転していくなんてことも出来るようになっているし、画像をつくるのもコンピュータを使って簡単になっていると思う。その割には、分かりやすくする努力は十分には行われていないかもしれない。




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by ZAM20F2 | 2015-07-12 18:51 | 文系 | Comments(0)
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