難しくない?

久し振りの電車の中の学習教室の広告。
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ここのところ、この学習塾の広告を取り上げていなかったのは、眺めていて割と真っ当と感じるものが続いていたからで、今回のものも、問題としては悪くないと思うのだけれど、第一印象として、中学受験で子どもに尋ねるには難しすぎるのではないかという気がしたので、何でそう感じるのかを含めて取り上げてみることにした。

出題元の模範解答は存在しないけれど、この問題を掲載した学習教室がどう考えているかというと、解答例としては、1,日本近海から産卵場所へ向かう海流にそって親鰻の捕獲を試みる。2,河口付近で捕まえた親鰻に標識をつけて放流して海洋上で捕獲してルートを確認する。という2つがあり、その背景として、親鰻が日本の河川で成長すること。孵化した稚魚は海流にのって日本に到達すること、などから推論すると記してある。

でも、私が採点者だったら、この答2つには低い点しか出さないだろうと思う。何故なら、問題文に書いてある情報で、一番大事なところが、この解答では考慮されていないからである。

そもそも、稚魚がどうやって日本に来るかは分かっているけれども、親がどうやって産卵場所に向かっているかは分かっていないから、この設問がなされている。このことから分かることは、親鰻の捕獲は稚魚の捕獲に比べてはるかに困難であるということだ。

 稚魚と親鰻では、当たり前のことではあるが、親鰻の方がはるかに大きい。それにもかかわらず、親鰻が産卵場所へ向かうルートが分かっていないのは、産卵場に向かう親が途中で捕獲されていないからのはずなので、その理由を考えずに、親鰻を捕獲するという回答は低い点しか与えられなくて当然だろうと思う。

 また、東日本大震災で海に流出した物の一部が後に米国に漂着したという事実から分かるように、日本に向けて流れてきた黒潮は決して鰻の産卵場所には直接は向かっていないので、産卵場所に向かう海流沿いに調べるという回答にも高い点を与える必要はないだろう。
(Web情報によっては、小笠原海流と称するものによって向かうという説もあるようだ。でも小笠原海流にのるためには黒潮を突っ切らなければならないし、日本海側や台湾や中国の日本鰻がこのルートとは考えにくいので、やはり答としては妥当ではないだろう)

 親鰻が捕獲されていない理由としてざっくり思いつくのは、産卵場に向かう親鰻の絶対数が少ないか、ある程度の深度の海中を進むために捕獲困難であるか、予想外の場所を通って向かっているかだろうと思う。

 こうなると、鰻に発信器をつけて追跡したくなるし、そういう回答も存在すると思うのだけれど、残念ながら海中は電波が通らないので、通常の発信器ではだめだ。また、鰻の行動を邪魔しないサイズを考えると、大きな出力で音波を発するような装置も取り付け困難だろうと思う。


 個人的に難しいなと思ったのは、学習塾の回答は予想以上に低レベルで論外として、中学受験ぐらいの子供は知識として電波が海中を伝播しないことを知らないので、発信器をつけるぐらいで満足するのではないかと思ったためだ。


 ではどうするかと言われたら、鰻の活動を妨げないサイズで、鰻の泳いでいる水深と水温を一定時間間隔で記録し、ある時間経過後に鰻本体から分かれて海面に浮上し、浮上した場所の緯度と経度をGPSにより記録し、その後は、一定間隔で信号を発振して回収されるのを待つようなデバイスを開発して、沢山の鰻につけて海に放すというところかと思っている。

 私が採点者だったら、こんな感じの答にはよい点をつけるだろうと思うけれど、それを中学受験者に要求するのは、ちょっと困難で、出題校がどの程度の答を期待したのか知りたいところなんだけれど、残念ながら出題校のインタビューが出ていない。。




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by ZAM20F2 | 2015-10-19 21:18 | 文系 | Comments(0)
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