液体水晶ってなんですか?

Wikipediaの日本語版の液晶を眺めると、現在液晶と呼ばれているものが1960年代には液体水晶と呼ばれていたとの記述がある。
しかし、1968年のRCAの液晶ディスプレイの発表以前には、「液晶」なんて言葉は出回っていなかったけれど、国会図書館の簡易検索で「液晶」を入れると出て来る数少ない例である1963年の日本化粧品技術者連合会会報にのった論文や、1967年発行のデューイの化学の教科書、同年の「原子の世界の秩序と無秩序」というタイトルの東京図書から出ていた普及新書では「液晶」という言葉が使われていて、「液体水晶」なんて言葉は出て来ない。そして、1968年以降に雨後の竹の子のように出て来る文献も液晶という言葉をつかっていて、液体水晶の用例を見つけることが出来なかった。そもそも、国会図書館の簡易検索で「液体水晶」を引いてもヒットしないので、見つけ出せないのは、私の目がザルなためではなく、国会図書館に「液体水晶」をキーワードにする文献が存在しないためなのである。ちなみに、普通に「液体水晶」で検索をかけるとWikipedia由来の記事の外に、水晶の成分を水に溶かした謎の物体が出て来る。
Wikipediaの液体水晶には参考文献が引用されていない。引用がないからといってガセとは断言できないけれども、Wikipediaの液晶はかなり適当な記述なので、ガセの可能性がかなり高いなぁと個人的には考えていた。ところが、「イカと液晶」の関係についても触れられているという話を聞きつけて眺めてみた「液晶がわかる本:苗村省平 工業調査会」には、1986年にRCAの発表があったときには、「液体水晶」として報道されてと理解できる記述が見つかってしまった…………。
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えっと、著者の苗村さんと言えば、長らくメルク社におつとめの液晶業界の重鎮。そのご本尊が仰るなら、歴史が口を開いたようなものだから、御本に出典が記されていなくても、信頼度は一気に向上する……。
そこで、そのあたりで検索可能だった新聞検索を使ってみたのだけれど、朝日新聞では「液体水晶」はヒットせず、液晶の発ヒットは1972年の電総研の亀井さんの記事。こうなると、全報道機関ではなく、一部報道機関が、ろくすっぽ調べずにcrystalを水晶と理解して、「液体水晶」という言葉を作ってしまった可能性が高いのだけれど、やっちまったのは一体誰なんだろうか。
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by ZAM20F2 | 2016-03-20 18:05 | 液晶系 | Comments(0)
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