ezSpectra815Vのスペクトル強度校正について

ezSpectra 815V用のソフトウエアは楢ノ木技研さんのWebからダウンロードできる。ソフトウエアには発光測定モードと、透過率測定モードがあり、発光測定モードでは、スペクトルの他、演色性も、照度も計測できる。偏光依存性のエントリーで演色性や色温度は発光測定モードで行っている。

多くの人にとっては、これらの測定が出来るのは当り前の事なんだろうと思うけれども、普通の分光器を使ったことのある身としては、演色性や照度が計測出来てしまうのは驚きだ。これらの値を出すためには、分光器のそれぞれの波長毎の測定感度補正が行われていないといけないからだ。

大昔に分光測定を習ったときに言われたのは、分光測定は相対強度測定が基本だということ。光源にも、分光器にも、光検出素子にも波長依存性がある。このため、測定で得られた信号値は、そのまま光強度にはならない。透過率測定では、試料を入れない状態を参照基準として、それに対して試料を入れるとどれだけ光量が減っているかを測定する。これなら、光源やら分光器の装置係数は参照と測定で相殺して問題にならない。

透過測定ではなく、蛍光の強度分布を求めたい時などは、標準電球という校正された光源の測定を行い、分光システムの感度分布を測定して校正値を得て、それをもとに強度分布を描き直す。それでも、強度分布が相対的に正しいだけで、縦軸の絶対値を求めるようにするには、さらなる注意が必要になる。

演色性や照度計算が出来ているということは、メーカー側で校正を行った時のデータを内部に持って、生データを演算処理していることになる。浜松ホトニクスのカタログには、波長の絶対値は校正データを出しているが、感度分布のデータは出していないと記されているので、感度分布校正データを作っているのは楢ノ木技研さんだ。

校正用のシステムはかなり高価だ。ezSpectra 815Vを数十台売っても元が取れるとは思えない。開発費や校正のための設備投資をどうやってまかなっているのか不思議だったのだけれど、どうやら、Web販売の他にOEMでの提供をおこなっているようだ。(というか、OEMの方の数が多くて、その予備をWeb販売しているぐらいじゃないと元が取れる気がしない。)
ソフトウエアはOEM先も使っているようで、測定ソフトウエアが親切なのは、OEM先の想定用途が分光素人さんのだからかもしれない。でも……、普通の分光器も使っている身からすると、透過測定モードは、もっと不親切にしてほしい。透過測定モードは、センサーから出てきた生の信号ではなく、強度補正をした後のデータを使って計算をしていると推定出来るのだけれど、そのため、センサーの飽和値が読みにくく、測定全域でS/Nをあげるための光源波長分布を定めにくいのだ。といっても、何を問題にしているのか分りにくいと思うので、次回は測定データを元に、この話題をもう少し展開しようと思っている。
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by ZAM20F2 | 2017-06-19 20:33 | 科学系 | Comments(0)
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