ezSpectra 815Vの迷光(I)

分光測定で、きちんと分光されずに検出器に届いてしまう光を迷光と言う。迷光には大きく2種類あって、一つは入射設定が悪くて、内部の光学素子の外側に当たってしまい反射を経て検出器に到達してしまう迷光。もう一つは、きちんと入射されて光学素子に当たっているのだけれど、光学素子の欠陥や汚れなどにより散乱などを起こして検出器に到達してしまう光である。

ezSpectra 815Vにも、この両方の迷光が存在している。

まずは一番目の入射設定が悪い場合を検討しよう。815Vの入射NAは0.22。NAは分光器より顕微鏡対物レンズで出てきそうな言葉だけれども、光軸に対して、どれだけの角度で光束が入るべきかの指定。0.22だと光軸に対して角度θ=asin(0.22)=12.7゜以内の角度で入った光が光学系に到達し、それ以上の角度で入射した光は光学系の外に当たる。なお、NA0.22というのはF2.2程度で、これは分光器としては非常に明るい。

さて、入射設定の悪さによる迷光の実例をお見せしよう。
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蛍光灯のスペクトルを測定しているつもりなので、本来は蛍光が見られるところ以外は光強度は0であってほしい。このスペクトルをどのように測定したかを次にお示しする。
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天井の蛍光灯からの光を受けているのだけれど、斜めの方に妙なものが写っている。これは840nmのLEDで、40度ぐらいで入射するように置いてある。NA0.22より外側の光線(それも、分光器の測定波長範囲外)だ。こうすると、本来は信号強度が0であるべき波長に有限の信号が出ている。これは極端な例なのだけれども、十分に明るい室内で蛍光灯を測定すると、光がないはずの紫外部分が浮くのが容易に見られる。本来の入射角範囲以外からの光は迷光にしかならないので、この手の光は分光器に入らないようにした方がよい。

そこで、黒い発砲ポリエチレン板などを切り刻んで簡易的なフードを作ってみた。使う時は両面テープで正面に貼り付ける。
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効果は一目瞭然。でフードをつけると浮き上がりは消える。
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蛍光灯からの信号も1割程度落ちているのだけれど、これは、上下方向のNAが少し制限されているか、置き方が悪いかのいずれかのためだと思う。どちらにせよ、大勢に影響はない。このスペクトルもLEDは点灯したままで、当たり前の話だけれども、フードに遮られて入射されなくなっているために、迷光が消えている。
ディスプレイ画面などの測定をするときも、本来の入射角以外からの光は悪さをするので、このようなフードをつけて使うようにした方が良いだろうと思う。








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by ZAM20F2 | 2017-07-05 07:24 | 科学系 | Comments(0)
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