非流通在庫(II)

森平さんでははさみとカタログの他、60匁のダルマ玄翁を買込んでいる。この品も森平さんが鍛冶から直接入手しているみたいなので、非流通在庫だ。
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玄翁本体に銘はないのだけれど、持ち手の端にゴム印で「重族」と押してある。Web上も重族のダルマ玄翁としてあがっている。
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重族は、今は存在していない東京鍛冶みたいなのだけれど、Web上には情報が殆どない。古道具やで品切品として出ている小刀の頁には昭和40年頃の東京鍛冶との紹介があるだけ。重族の鉋を研いだ人のWebでは、地金部分が一部鋼化している面白い組織で、研ぎにくかったとの感想はあるけれども、重族の銘に関する情報はない。

そんな中、森平のWebで重族の玄翁を見つけて、さらに不思議に思ったのだ。というのも、玄翁は小刀や鉋なんかとは随分と違う分野で、一つの銘で両方出ているなんていうのは、あんまり見た記憶がなかったからだ。森平さんで聞けば、そのあたりの事情が分るのではないかと思案した次第。

残念ながら、古い銘だという話で、どこで、いつ頃まで仕事をされていたのか分らなかったのだけれど、話の印象からすると、1人の鍛冶屋さんではなく、鍛冶グループの銘であったのかもしれないようだ。

森平さんのカタログでは、重族銘で釿が出てくる。釿は柄に付ける部分が袋状に穴があいた構造で、何となくだけれども、玄翁につながる要素もあるような気もする。

ところで、なんで重族にこだわっているのかというと、手元に重族銘の小刀があるからだ。渋谷のハンズで買込んだ品だと思う。
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渋谷のハンズが開店したときには、武蔵国水心子藤原良明の小刀がごろごろ転がっていたし、左久作の小刀や槍鉋もおいてあった。手の届く値段ではなかったけれど、今から思えば、借金しても買占めておきたかった品々だ。

重族の小刀は、それらみたいに特別展示はされていなかったけれど、他の刃物と一緒に和式刃物のショーケースにずっと入っていたように思う。それをだいぶ立ってから(その頃には、もう、良明も、久作もなくなっていた)気に入って買込んだ。

ただ、その謂れが分らなかったから、アイヌ神謡集のホテナオに出てくる炉縁魚のように由来を求めている次第。


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by ZAM20F2 | 2017-11-16 08:12 | 物系 | Comments(0)
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