赤外分光器の分散素子


大昔の分光器の取り外し部品らしい。物差しと合わせると10cm程度の大きさのプリズムが使われている。
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なかなかの迫力だ

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普通の分光器のプリズムは石英や光学硝子で作られているのだけれども、このプリズムの素材はNaCl。塩のプリズムだ。使われていた分光器を見たことはないけれども伝え聞く話では赤外の分光器だったそうだ。

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赤外の分光器は、現在はFT型ばかりだけれど、その昔は分散型素子を使った物も使われていた。もっとも、この品は分散型素子でもかなり昔のものではないかと思う。

プリズムがNaClで出来ているのは、石英やガラスは赤外に吸収をもっている領域があるため。回折格子と異なり、材料が透明な波長範囲でしかプリズムは使えない。

NaClのプリズムは柔らかいので、傷をつけないように注意が必要だ。残念ながら端が少しかけてしまっているけれども、でも、面はなかなかきれいだ。これは、かなりたいしたことだ。何しろNaClには潮解性があるので、極東の島国で湿度対策をせずにおいておくと、表面が不透明に荒れて、流れ落ちてしまうのだ。装置を動かしていない時は、本体から外してデシケータで保管していたようだ。
その後ずっとデシケータで保管されていたわけだけれども、よくまあ、ご無事でという気もする。

半導体検出器のような感度の高い赤外検出器が存在しなかった当時に、こんなプリズムを装着した分光器で赤外の測定をするのは、それだけで一仕事だっただろうと思う。



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by ZAM20F2 | 2017-11-26 13:15 | 科学系 | Comments(0)
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