D線分離への遠そうな道(1)

手作り分光器というジャンルがある。Webを検索すると、いくつか作り方が記してあるサイトがある。かつては、透過型の回折格子フィルムを使うのが主流だったけれど、最近はCDを使うのが結構多い。国立科学博物館で売っている簡易キットもかつてはフィルムだったけれど、最近はCDらしい。
さて、そんな手作り回折格子、どこまで分解能を上げられるものだろうか。1000本/mmのフィルムを使うと、太陽スペクトルのD線は淡いけれども暗線として一応は確認できる(直接太陽光をいれるのではなく、適当なもので反射させて見ないとt目を痛める危険性がある)。でも、ナトリウムのD線は本来は2重線なわけで、それを分離できたら格好いいなぁと思い立った次第だ。
で、コリメート用の150mmの単レンズでだいたい平行(気分)にした光を1000本/mmのフィルムにあてて、回折光をカメラレンズでCCD面に結像するシステムを「学校工作用紙」その他で作ってみた。
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のだけれど、今ひとつ出来はよくはい。




ちなみに、これは撮影レンズは70-300mmズームの70mm。D線が分かれるどころか、D線相当の暗線も見えていない。そこで、焦点距離を300mmにして撮影してみた。
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全体が拡大されるので分解能が上がっているはずだけれど、暗線見えず…。
多分、ピントが合っていないのだと思う。それにしてもZD70-300、ピント調整でレンズ先端が回ってしまうので、この手の遊びには使いにくい。ZD50-200がピント調整で先端が回らないなら、この用途のために買い込んでも良いような気分になりつつある。
まあ、現時点で、入射スリットの幅はいい加減なので、もう少しきちんと分解能とスリット幅を計算して(出射スリットは画素ピッチで定まっているので固定だから)、原理的にD線を分けられるかは考えることにしようと思っている。
ところで、上のスペクトル、色再現がとてつもなく悪い。実際の目視観察で緑と赤の間に見られる黄色から橙の色調変化が存在せず、緑から、ぱたっと赤に変わっている感じがある。
日本語だと虹の7色は紫、藍、青、緑、黄、橙、赤だと思うけれど、この写真には青、青緑、緑、黄色、赤しか移っていないような感じがする。
どうしてこんな事になっているのかを明らかにすべく、70mmの写真のスペクトル部分を切り出したものと、そのあとに、BとGを落としてRだけにしたもの、Gだけにしたもの、Bだけにしたものを並べてみると、
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となる。上から、スペクトル、赤、緑、青である。ご覧頂ければおわかりのように、RGBのオーバーラップが少ない。人間の目も、確かに基本は3つの感色細胞で色識別を行っているけれども、長波長側の2つは非常にオーバーラップが多い。それに対してデジタルカメラ、フィルムとも、RGBのオーバーラップは遙かに少ない。このため、スペクトル純色は苦手なわけだ。
それにしても、苦手すぎる気はするけれども。
原理的には、人間の目のように、妙にオーバーラップが多いような色分離で、色座標を計算することは、今なら容易ではないかと思うのだけれども、どうなのだろう…。
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by ZAM20F2 | 2008-08-16 09:05 | 科学系 | Comments(0)
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