組織観察は降温が基本

しばらく前に出したDOBAMBCは、SmCから温度を下げると、固いSm相になる。これは、この前のと同じセルだけれど、セルが少し回転して場所もずれている。
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この写真は、随分と温度を下げていて、下のSm相になっているはずだけれども、組織上はあんまり区別がつかない。ただ、中央上部で、ラセン周期に乱れが見えるあたりに、下の相になっていることが示唆される。



さらに温度を下げると、
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と、中央上部は、明らかに別の物になっているけれど、他の部分は差が明確ではない。Sm相系で、ヘキサチックなどに転移した場合には、顕微鏡下での判別が結構難しいことが多い。確か、SSFLCレベルの薄いセルでは、転移にともない、傾き方向が離散的になるので、チルト角が不連続になるので、分かるはずだけれど(あと、閾電場なども変わってくる)。
さて、このセルを1日おいておいたら
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と結晶化した。左側の空気部分は、そのままだけれども、液晶領域の組織は完全に失われている。一般に、液晶状態から結晶状態へ転移すると、密度が高くなり収縮が起こるので、セル内に空隙ができ(この写真ではないけれど、あと下のSm相への転移でも空隙が出来ることあり)そして、組織がぐちゃぐちゃになる。今回は転移の瞬間は観察していないけれど、過冷却状態から、結晶が析出するので、一旦転移がはじまると、結晶が(多くの場合針状ぽい)液晶組織を壊しながら成長していく。これは、液晶と、結晶で分子のパッキングが大きく異なるためだと思う。(大きく異なるからこそ、過冷却しやすい)。
さて、このセルを昇温してSmCの温度域に持ち込むと
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と、ドメイン境界は丸くなるので、液晶相に入ったことは分かるけれど、組織が細かくて、縞構造も観察しにくい。さらに温度を上げてSmA相にはいっても
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と、ドメインは小さく、でも、先ほどよりドメインは大きく、なんとなくフォーカルコニックが見えているのでSmA相らしいなとは思うけれども、それほど観察していて楽しい状態にはならない。
もっとも、SmA相も等方相転移点付近では、随分と柔らかくなり、ドメインが合体して欠陥を減らしていき、
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な感じをへて
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と等方相に転移していくので、このあたりで巧くアニールをかけてから、等方相になる前に降温すれば、フォーカルコニックのきれいなテクスチャーになるかもしれない。
ただ、何れにせよ、降温過程にくらべると結晶からの昇温過程は組織が小さく観察しにくいので、液晶の組織観察の基本は降温過程になる。
でも、降温での観察だけでは分からないこともある。それについては改めて。
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by ZAM20F2 | 2008-08-27 06:32 | 液晶系 | Comments(0)
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