カテゴリ:文系( 121 )

どっちもあった

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出先で見かけた車内ポスター。
で、両側で立っていたかというと、右があいて左を歩いている場合も、左があいて右を歩いている場合もあるという状況だった。エスカレータが折り返していると、最初のエスカレータの左側に入口があると、左側に人が立って右側を人が歩いて行く、そして折り返すと左側の人が右側に立って左側を人が歩いて行くという状況だった。

ここのところ、エスカレータは手すりにつかまって、歩かずに乗れという運動が起こっているのだけれど、微妙な違和感がある。というのは、駅のホームというのはいろんな意味で危険な所で、ホームドアのない所なんか、誰かにぶつかられて線路に落ちたら、それこそ生命にかかわることになる。で、エスカレータでも階段でも、誰かが落ちた時に巻き添えの被害を少なくするように注意すべきだし、エスカレータを歩く時も、瞬時に手すりをつかめるようにしている。また、荷物が多くて人のあたる可能性のある時は、歩かずに立つようにしている。

鉄道会社のキャンペーンに違和感を感じるのは、人々にきちんとした状況判断を求めているのではなく、危険という理由で一律にルールを押しつけようとしているように感じられるからだ。そのような押しつけは、むしろ人が成熟することを妨げるものなのではないかという気がする。
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by ZAM20F2 | 2015-08-13 20:21 | 文系 | Comments(0)

ハサミだって危険だぜ(会社の研究所でカッターナイフの使用が禁止されているとういう伝聞について:番外)

会社の研究所でカッターナイフの使用が禁止されていることのエントリーは、ぽつぽつとだけれども、継続的に訪問者がいる。少なくはない数の現場でカッターナイフが禁止されていて、それを不満に思う人の数も少なくはないのだろうと思う。
さて、カッターナイフが禁止されると、何かの切断にはハサミを用いることになるわけだけれども、この前、某社で研修を担当している人から、研修生がハサミで指を切ってしまったという話を聞いて、思わず笑ってしまった。束ねた紙をハサミで切る作業をしていたら、力を入れすぎたのか、紙を押さえている指を一緒に切ってしまい、病院で5針縫う羽目になったという。
その人は、こんなんじゃ、研修生にはハサミは使わせられないということで、研修生はハサミを使う作業になると、そこは、慣れた人に依頼するという、状況にしたらしいのだけれど、この状況が進むと研修を終えたはずの人々からも、ハサミで指を切る人が出て来るのではないかと思う。そうなったら、ハサミの使用も禁止して、何かを切りたくなったら、まずCADで図面を書いて、レーザーカッターにでも切る物を入れて、そして事故が起こらないように蓋をして切断作業でもするようになるのだろうかと思ってしまう。

流石にそこまで行けば、やっていることの余りの間抜けさに、事故を起こした物を単純に禁止するのではなくて、安全に使えるようにする工夫をするようになるのではないかと思いたいのだけれども、何しろ油断できない世の中、会社の研究所でハサミの使用も禁止される時代がやってくるかもしれない。




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by ZAM20F2 | 2015-08-11 17:14 | 文系 | Comments(0)

流れる固体(その5)

様々な液体や固体を見せたあとで「バネとピストンの仕掛け」で、これらを解析するためのバネとダッシュポットのモデルを示している。
この辺りになると、中高の範囲は超えて、大学生に読ませた方がよい印象だ。

バネとダッシュポット単体の時間応答から始まって
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直列接続
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並列接続
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より複雑なモデル
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とその挙動と純をおって話が進んでいく。式は使われていない定性的な話だけれども、これらの図をきっちりと理解したうえで、式を眺めるようになれば、式の意味するところがよりはっきりと分かるようになると思う。


その先の章は少し話が変わっていて、絹糸や卵白とレオロジーとの関係が記されている。

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人工的なものだけでなく生物系においてもレオロジー的な性質が巧に使われている。中高生向けの本であるけれども、色々な人にとって参考になる本であるのは確かだと思う。
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by ZAM20F2 | 2015-07-26 11:37 | 文系 | Comments(0)

流れる固体(その4)

本のタイトルは「流れる固体」なのだけれど、「流れなくなる液体」も取り上げられている。
力を入れるとかたまるのだけれど、力がかからなくなると流れてしまう様子を写真と
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原理を示した図で解説している。
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ここまでは非ニュートン液体の話なのだけれど、それに続いて氷河のように時間スケールにより固体にも液体にも見える物質の話に続いていく。

例としてでてくるのはキャラメル。身近な物で簡単にできる実験を見せている。
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さらにアスファルトを破って出てくる植物の話。
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いわゆる「ど根性系植物」がもてはやされる前の本だけれどもこの本を見ると、理由も考えずに植物の根性とやらに感動するのではなく、アスファルトが流れる固体であることの不思議さをきちんと感じるべきなんだろうなと思えてくる。


流れる固体に続いて出てくるのは弾性のある流体。これも納豆の粘液や卵白のような身近なものから例が出てくる。

もっとも、これらの材料では粘性の高い液体と弾性もある液体の区別はつきにくい。そこで、粘性だけの液体として水飴を示し、加熱した亜麻仁油で弾性もある液体を示し、違いを際立たせている。
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這い上がる液体なんていうのは、思わず自分で試したくなる実験だ。
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この先、バネとダッシュポットによるモデルの話へと続いていく
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by ZAM20F2 | 2015-07-25 20:56 | 文系 | Comments(0)

流れる固体(その3)

粘性の話でも粘性の微視的な機構の説明がなされている。最初は割と巨視的な感じから始まり、
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粒子の動きへと移っていくあたり、丁寧な説明だ。
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その後に、粘度が温度により変化することも写真を使って説明されている。
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その上で、妙な粘弾性体の話へと展開していく。
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この本は巨視的な現象を写真で示し、その微視的な機構をイラストで示す形で進行していく。

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それにしても、ペンキにダイラタンシーが関わっているなんて、言われて見ると納得だけれども、全然意識していなかった話だ。
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それ以外にケーキのデコレーションにも絡んでいると言われると、異型ノズルから絞り出されたクリームが丸くならないのを不思議に思わないといけなかったのだとあらためて思うし、歯磨きだって、ブラシのうえで流れていかないのは不思議な話だったわけだ。
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こうした挙動に対して、
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応力歪みの挙動がどのように違うのかといった、科学的にどのように取り扱うのかということもきちんと示されている。
一方、普段は流れているけれども、急な力に対しては固体になる物なんかもある。それは次ぎに。

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by ZAM20F2 | 2015-07-23 07:08 | 文系 | Comments(0)

流れる固体(その2)

本の目次をめくってみるとはじめにとおわりにに挟まれた第1章から第9章まで順を追って、当たり前な固体や液体から、当たり前ではないようなものへと話が進んでいく。それぞれに副題が付いているので、何となくだけれども、内容は想像出来るようになっている。

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はじめに -ものの流れと変形-
1,曲げた棒はなぜもどるか -弾性の話-
2,ゴムはなぜあんなに伸びるのか -ゴムの弾性は気体の圧力に似ている-
3,かきまわした水はなぜとまるか -粘性の話-
4,おかしな流れのいろいろ -振ると「とける」液体、「成型」できる液体、ひび割れする液体-
5,流れる固体 -氷河は流れる、「岩」も流れる-
6,弾性のある液体の話 -はねもどる液体、糸をひく液体、はい上がる液体-
7バネとピストンの仕掛け -模型で考えるのは便利なことだ-
8絹糸はどうしてできるか -蚕は糸を吐くのではなくて、引きだすのだ。クモの糸も同じ-
9,粘液は何のためにあるのか  -卵の白身は黄身のゆりかご-
おわりに -レオロジーとは何か-
あとがき -おとなの読者へ-

はじめにの部分では著者がレオロジーの研究を始めたきっかけが語られているのだけれど、そこに出てくる学生時代の実験装置は興味深いものだ。錘と円盤で引き上げ速度を調整出来るようにしている。
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今だと、電子仕掛けのめんどくさい構造になりそうだけれども、下手な電気仕掛けよりは、よっぽどスムーズな動きで速度の調整も容易だろうと思う。多分、こうした工夫が日本の工業製品の改善にも寄与していたのだろうと思う。

本文にはいると、バネの話から始まり、
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少しばかり怪しげな、弾性の微視的な起源をへて、
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実験も含めたゴム弾性の話へと続いていく。
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この実験など、家庭でも十分に出来るもので、写真で見せるのはなかなかよいことだろうと思う。
ゴム弾性については研究の歴史も紹介しながら
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な図や
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な図を使って説明していく。
知ったかぶり系解説だと「エントロピー弾性」なんて言葉を出してそれで終わりにしてしまうわけだけれど、そんな言葉を知ったからといって、本質が分かるわけではなく、この本の丁寧さは、きちんとした説明に必要なものだと思う。
ここまでで弾性の話を一区切りして
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粘性の話へと続いていく。

それにしても、この本、本文中の写真と図も優れている。
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by ZAM20F2 | 2015-07-17 21:11 | 文系 | Comments(7)

流れる固体

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固体と流れるという相反するような言葉がタイトルとなったこの本、まずは著者による後書きを見て頂きたい。

あとがき  -おとなの読者へ-

この本は中学生、高校生を主要な読者に設定して書かれている。しかしこれは小、中、高校の先生の参考書にもなり、科学技術者や大学生のレオロジー学習にも役立ち、さrにはレオロジー専門家の「鑑賞」にも十分堪えうるものと信じている。

中略

つぎに、この本はレオロジストの「鑑賞」にも堪えるだろう、とさっきいったことについて一言しよう。
それはこの本に出てくる写真の素晴らしさのことである。専門家にとって本文の内容はもちろん自明、かつ既知のことである。しかしこの本が「レオロジー写真集」として高い価値を持つことを否定する人はいないと思う。弾性液体の示すワイセンベルク効果、粉体系のダイラタンシーなど、数々の写真は、本文の作者である私自身がはじめ見て一驚したものである。
これらのすぐれた写真は、写真家の織田浩さんの作品である。研究熱心な彼は、これらの写真の段取りも演出も全部自分でされた。写真のなかに出てくる手や指も、大部分が彼の奥さんやお子さんのものである。東京の彼の自宅で作り出されたこれらの作品を、私は札幌でみせられて一驚し、これをみた私の友人達もまた賛歌し、「これはレオロジーそのものですね」と言った。

というわけで、まずは、その口絵写真をお目にかけることにしよう。
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1970年代という撮影時期から明らかなように、これらの写真はフィルムを使って撮影されている。使われているレンズの記述はないが、現在の非球面や新種ガラスを使ったレンズや、いわゆる産業用レンズなどに比べるとレンズの性能は劣ったものを使っているはずだ。機材が劣っているからだめかというと、そんなことはなく、今でも専門家に見せればレオロジーの写真として優れた物という評価になるだろうと思う。

撮影時にポラを引いているのかは知らないけれど、その場で出来上がりを確認するのが困難な時代の撮影には多くの経験と工夫が必要であったはずだ。実験でも便利な道具の出現によって失われていく工夫や技術があるけれども、写真撮影においても同様のことが生じているのではないかという気がする。

本の内容については改めて紹介する



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by ZAM20F2 | 2015-07-15 21:32 | 文系 | Comments(0)

分子の形とはたらき:岩波科学の本


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少国民のためにも、科学の本も化学の本が少ないと書いたけれど、科学の本に化学の話が少ないのは、分子の形とはたらきの著者も本の中で主張している。
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その、化学の本の中で著者は分子や結晶の形に関する話を展開している。この本は中高生なら一度は見たことがあるであろう、沃素デンプン反応からはじまり、包摂化合物を使ってその色を消し去る話を紹介して、いろいろな分子や結晶の話を経て、最後に種明かしがなされるというスタイルになっている。
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最初の方は立体化学的な話で、炭素の異性体の数から、四面体構造が正しいことが示され、そのあとで、エタンを例に2面体角など基礎的な概念の説明が続いている。
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シクロヘキサンの椅子型と船型の話は高校で習ったのかその後で知ったのかの記憶は曖昧だけれど、そんな話も丁寧に、分子模型も含めて書いてあって、この辺りに苦手意識を持っている人にとっては、今でも良い読み物であるように思う。立体を平面に書き表す方法もきちんと書いてあるし、丁寧な本だ。
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とはいえ、3次元を2次元の紙の上に投影するのは、どうしても理解しにくいと著者は考えていて、

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視点を少しずらした図を使って立体視する工夫がなされている。
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そして、この立体視ビュアー
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これは、まさにGoogle Cardboard に先行する工夫だ。確かに、Google Cardboard では紙に書いた2枚の図ではなく、スマートフォンの画面を2分割して使うわけだけれども、紙を使った簡易ビュアーは、まさにGoogle Cardboard そのものだ。
これを使って見る図として
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なんて変なのもでてくる。確かに、これは立体的に見ないと、中々理解しにくいかもしれない。そして
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光学異性の話の後は
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3次元結晶も取り上げている。
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そして、最後に包摂化合物で種明かしがなされる。

それにしても今だったら、それこそGoogle Cardboard を使って立体視とか、立体視しながら画像が回転していくなんてことも出来るようになっているし、画像をつくるのもコンピュータを使って簡単になっていると思う。その割には、分かりやすくする努力は十分には行われていないかもしれない。




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by ZAM20F2 | 2015-07-12 18:51 | 文系 | Comments(0)

誰が原子を見たか

山形浩生さん役の「ロウソクの科学」にファラデーによる後書きがあることは少し前に書いたけれども、その後書きの中でファラデーは「さて注意してほしいこと。ここでわたしは「原子」とか「分子」というのをはっきり持ち出してはいない。もちろんそういう概念は知っていたし、ふつうの科学者は原子とか分子が実在すると思っていたんだけれど、「見たことあんの?」といわれると困っちゃうし、ホントにそんな原子とか分子とかいうツブツブがあることをみんなに簡単に見せるのはむずかしかったからだ。その意味で江沢洋くんが「だれが原子を見たか」(岩波書店)でいろんな実験をやって、納得いく形で原子があるんだ、ということを見せようとしているのはおもしろいし、勇ましいなぁ。」と言っている。岩波科学の本シリーズは絶版になったけれどもこの本は岩波現代文庫に収められている。
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江沢洋さんは理論家で、フェルミみたいな例外はあるけれども、理論家には、そばに寄ってくるだけで実験が旨く行かなくなるという人も多いのだけれど、この本の中で江沢さんはいろんな実験を(協力者とともに)やって見せてくれている。
本はブラウン運動から始まる。
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ブラウン運動を発見したブラウンが使っていたのは単式顕微鏡で、その初代というべきレーウェンフックの顕微鏡を出しながら、ブラウン運動の話が進んでいく。
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そして、大気圧の話へ進んで行く。

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パスカルの実験の話なんかもあるのだけれども、峡谷にかかる橋を使って、10mの水柱をたてる実験なんかを行っている。
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この実験は補強の付いたホースと、アクリルパイプを使っている。身近にある物を組みあわせての実験、なかなかセンスがよい。その後、水銀を使っての実験もあり、実験後に水銀が漏れて噴水のようになっている写真も掲載されている。
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水銀は今では毒物に指定されているので、噴水になったら、えらい騒ぎなのだけれども、まだまだ時代が長閑だったわけだ。本はアインシュタインによるブラウン運動の理論で終わる。ブラウン運動から始まって、その理論で終わるというのは流れとしては良いのだろうけれども、そして、江沢さんは、どこで原子論に納得するかは読者に任されているというような書き方をしているのだけれども、物理屋さんの本だけあって、物理サイドの話題に限られているのは、少し片手落ちな気がする。
というのはアインシュタインの理論は20世紀になってからだけれども、ケクレによるベンゼンの構造提案は19世紀の話だし、19世紀の後半には化学者は分子量を決めるのに、物質を気化して体積を量るなんて手法をとっていた。化学の世界では、物質がツブツブで出来ているというのは(一部の物理化学者を除けば)常識であったように思う。化学屋さんと物理屋さんの解離は当時からも生じていたいのだろうと思う。
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by ZAM20F2 | 2015-07-11 22:31 | 文系 | Comments(0)

岩波科学の本

岩波科学の本は1972年から1979年にかけて下記の25冊が発行された。(岩波書店児童書全目録 1913-1996 刊行順 より拾っている)

1972/05/20,遠山啓,関数を考える,1 数学教
1972/05/20,森本雅樹,望遠鏡をつくる人びと,2 天文
1972/05/20,西田誠,たねの生いたち,3 生物
1972/05/20,坂倉聖宣,ぼくらはガリレオ_-落下の法則の探求-,4 物理教育
1972/12/16,森主一,動物の生活リズム,5 生物
1972/12/16,白石芳一,湖の魚,6 生物
1973/07/27,古在由秀,地球をはかる,7 地学
1973/08/28,杉村新,大地の動きをさぐる,8 地学
1974/02/08,銀林浩_榊忠男,数は生きている,9 数学
1974/02/08,小野周,温度とはなにか,10 物理
1974/05/20,岩田久二雄,ハチの生活,11 生物
1974/06/29,野崎昭弘,πの話,12 数学
1975/05/26,中川鶴太郎,流れる固体,13 物理
1975/05/26,西村純,気球をとばす,14 宇宙天文
1975/12/10,鮎沢啓夫,カイコの病気とたたかう,15 応用生物
1975/12/10,日高敏隆,チョウはなぜ飛ぶか,16 生物
1976/06/17,江沢洋,だれが原子をみたか,17 物理
1977/03/14,星野芳郎,自然と人間_-瀬戸内海に生きる-,18 環境
1977/03/14,岡野彰祐,血液のはたらきを探る,19 生物医学
1978/01/27,大谷杉士,からだを守る,20 生物医学
1978/01/27,岩堀長慶_伊原信一,数と図形の話,21 数学
1978/03/29,竹内敬人,分子の形とはたらき,22 化学
1979/02/28,日比逸郎,第二の誕生,23 医学精神?
1979/02/28,藤本陽一,アンデスに宇宙線を追う,24 天文
1979/04/27,道家達将,日本の科学の夜明け,25 科学史

比較のために少国民シリーズを再び紹介すると

1941/12/15,中谷宇吉郎「雷の話」,1  気象地学
1941/12/15,有馬宏「トンネルを掘る話」,2 工学
1941/12/15,日高孝次「海流の話」,3 気象
1941/12/15,内田清之助「渡り鳥」,4 生物
1941/12/15,宇田道隆「海と魚」,5 気象生物学
1942/06/18,武藤勝彦「地図の話」,6 工学
1942/06/25,末広恭雄「魚の生活」,7 生物学
1942/07/19,大塚弥之助「山はどうして出来たか」,8 地学
1942/07/19,小幡重一「音とは何か」,9 物理
1943/05/15,矢野宗幹「蟻の世界」,10 生物
1943/06/20,中谷宇吉郎「寒い国」,11 環境
1944/04/05,大村一蔵「石油」,12  工学
1944/07/10,平等恵了「落下傘」,13 工学

1951/12/15,長谷部言人「日本人の祖先」,14 自然地理
1951/12/15,増山元三郎「数に語らせる_-新しい統計の話-」,15 数学
1952/04/25,安芸皎一「洪水の話」,16 気象
1952/07/25,武藤勝彦「地図の話_改訂版」,17 工学
1952/07/25,細井輝彦「蚊のいない国」,18 応用生物
1952/10/01,関口鯉吉「私たちの太陽」,19 天文
1953/01/05,津田左右吉「日本の稲」,20 応用生物
1953/09/15,和島誠一「大昔の人の生活_-瓜郷遺跡の発掘-」,21 考古学
1953/09/15,小林秋男「電灯の話」,22 工学
1954/03/20,桑原万寿太郎「ミツバチの世界」,23 生物

とこちらは戦後の空白をはさんで全23冊。シリーズの規模はほぼ同等である。本の最後に記した分野名は、勝手につけたものだし、読んでいないものもタイトルから勝手につけているけれど、少国民が工学的なものも含んでいるのに対して、科学の本はタイトルが科学であるだけあって、工学的なものはない。その一方で、少国民に比べると物理的な内容が科学の本では、より扱われるようになっている。また、少国民と科学の本を通して、化学系はあまり存在していない。


シリーズの総ての本を調べたわけではないけれども、いくつかの本を見た感想としては、少国民のためにの方が関連する分野のことや、歴史的なことも含めた俯瞰的な要素が強いのに対して、科学の本の方が、テーマを絞った内容になっている。もちろん、例外がないわけではなく、中谷宇吉郎の雷の話は、非常に限られたテーマに対して科学の進み方を交えながら話をしており、「大地の動きを探る」の進み方と似た部分はある。また、少国民のためにでは、複数の本の間の連携が考えられているものがあるのに対して、科学の本は江沢さんの本に中川さんや板倉さんの本への言及がみられるものの、全体に独立性が高いようだ。

少国民が刊行された時代には、科学や工学に対しては素朴な期待のみが存在していたのに対して、科学の本が刊行された1970年代には、公害や放射能汚染などが知られており、科学や工学の負の面も意識されるようになっている。科学の本のラインアップを見てみると、これらの問題に繋がるような内容は(星野さんの本はあるけれど)含まれていないように見える。

科学の本の対象読者は少国民シリーズより上に設定されてはいるけれども、科学の本が少国民に代わるものとして企画されたのは間違いないだろうと思う。そして、内容の変化を引き起こした一つの原因は俯瞰的に物事をかける書き手の減少もあるのではないかと思う。研究方法が高度化して細分化するに従って幅広い分野を俯瞰的に扱える研究者が少なくなり、それぞれの専門に関する内容を扱うのが手一杯になっていったような気がしている。もちろん、読者側の要望もあるのかもしれないけれど、俯瞰的な内容の本は、最初の一歩として需要が有り続けるはずのもので、特にこの年代に需要がなくなったような気がしない。
書き手の変化は、自然の休刊とも関係する話になるだろうと思う。



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by ZAM20F2 | 2015-07-09 21:04 | 文系 | Comments(0)