カテゴリ:顕微系( 126 )

OLYMPUS AIR A01 オープンプラットフォームカメラを顕微鏡につけてみる

少し前に、発売延期に関するエントリーを書いた品が手元に届いた。すでにWeb上にも使用感などが掲載されはじめているけれども、それらで紹介されている用途は個人的な使用目的とずいぶんと異なっているので、ここでも紹介する価値がある気がする。

このブログにしては珍しく品名を書き込んだのは、検索に引っかかった方がよいかと思案したため、通常だったら、4/3システムを実質的にやめてしまったメーカーから発売された、振動要素のない顕微鏡に取り付け可能な撮像素子なんて書き方しかしていないと思う。接続、その他の話はほかのサイトをみていただくとして、ここでは顕微鏡への装着とマクロ撮影に限って話を進める。(Bluetoothが接続するのに、その後のWi-Fiが駄目な場合は、端末側が他のWi-Fiに接続してしまっていないか確認せよ)

本体は、ボディーキャップレンズにも対応しているので、cマウントアダプターのように、電気接点のないものをつけても問題なく作動する。オリンパスでもニコンでも現行機種は等倍でCマウントのポートが取り付けられるので、そこにC-μ4/3をはさめば問題なく取り付けられると思う。
残念ながら手元にあるのはOptiphotoで直接Cマウントの等倍アダプターがないので、Cマウントカメラ用の等倍プロジェクションレンズとCマウント鏡筒(前に写真で出したものだ)で取り付けてみた。
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Cマウントの等倍プロジェクションレンズは視野数が16なので、4/3では長辺の長さにも足りない。実際に試してみると、18mm程度はあるようで、長辺の中央はカバーするが対角線にはまったく不十分な状態になる。
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A01にはデジタルズームがついているので、それを使えば、見た目はけられのない画像が得られる。ただし、撮影範囲は狭くなる。
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使っている三眼鏡筒が根元部分が取り外せるので、はずして上にA01を(Cマウントアダプタはつけて)載せてみた。
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この状態でピントはほぼあっていて、そして、等倍でもけられのない画像が得られる。
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この鏡筒の焦点面位置をきちんと確認しないといけないけれど、本体が鏡筒とほぼ同じ径なので、適当なテープを巻けば十分固定できるので、焦点面さえあわせられるなら、簡便でよい組みあわせになるだろうと思う。

顕微鏡カメラとして考えた本体の使い勝手は、
1,電子シャッターなのでシャッター音はないはずだが、初期状態では内蔵スピーカーからシャッター音がする設定になっている。無音にする設定はできる。ただし、無音にするとシャッターを切ったタイミングが分からないので、最小音設定にする方がよい気がする。
2,カメラはUSB給電で、撮影時もUSB接続をしておけばバッテリー切れの心配がないと思っていた。しかし、確かめてみると撮影と充電は排他的という謎使用になっている。またUSBを通してコンピュータから画像ファイルの取り出しができるけれども、それも撮影と排他的だ。撮影時は給電も、コンピュータからのファイル参照もできない。逆に、コンピュータに繋いだ状態からは、Wi-Fi接続が出来ない。これは、ハード的な問題でソフトではどうにもならないだろうと思う。次の機種では、どうにかしてほしいところだ。なお、廃棄時にはバッテリーを取り出して捨てろという指示があり、そのやり方を見ると、交換部品としてバッテリーの供給があれば、十分に対応できそうな気がする(ただし、予備バッテリーという使い方とするのには面倒だろうと思う)
3、メモリーはμSD形状だが、取り出すためには後蓋を開けなければならず、通常のデジカメより面倒である。USBで接続して引き出すことになりそうだが、そうならUSB3に対応していてほしかったところである。
4,オプティカルローパスフィルターが入っているかは未確認。超音波フィルターは入っていないときっぱり記してあった。これは、少しばかり予定外のところである。
5,端末からの操作で、マニュアル露光が可能である。この点と完全電子シャッターなのがソニーの類似先行商品に対するアドバンテージである。撮影時に適正露光量に対する状況は示されるみたいだけれども、残念ながらヒストグラム表示はない。これは、ソフト的に対応できるのかを(自分でやるには先が長い話になるけれど)検討したいところだ。
6,画面の任意の場所を部分拡大できない。これは正確なピント合わせには必要な機能で、ヒストグラムと併せて可能なのか検討したいところだ。現在のソフトでは、2倍および3倍のデジタルズームが可能だ。等倍よりもピントあわせはしやすいけれど、もう少し倍率を上げたい気がする。
7,最長露出時間は4秒で、通常の撮影には問題ないと思うが、ライトセーバーを使った撮影ではより長い露光時間が可能な方が有り難い。顕微鏡撮影では問題ないが、天文屋さんにとっては、露光時間が足りていないと思う。また、フラッシュの同期機構はない。照明にフラッシュを使っている人にとっては使い物にならない品だろうと思う。
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by ZAM20F2 | 2015-03-28 12:00 | 顕微系 | Comments(0)

旧世代長作動対物レンズ

紹介してきた長作動の対物レンズはニコンの単独色補正が行われた世代の対物レンズなのだけれど、それが出現するまでは、ホットステージに対応できるような長作動の対物レンズは少なくとも国産では、ほとんど存在していなかった。その数少ない一本が
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で、これはニコンのユニバーサルステージ用の対物。表記は20倍だけれども、これは、ユニバーサルステージの半球レンズと組みあわせた場合で、単独では13倍程度。NAもその分小さくなっている。

もう一品はユニオン光学の対物レンズ。現時点でWeb上を探しても情報の欠片すら見当たらないので、記憶をもとにするなら、高温顕微鏡用に開発された対物レンズだという。20倍でNAが0.4。作動距離が10mm程度あるという対物レンズはこれしか存在しなかった。
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ただし、同焦距離は当時の標準からは大幅に異なっていて、そのままでは顕微鏡に装着出来ない。POHやPOSなどの単眼の顕微鏡では、ピント調整機能の粗調のラックアンドピニオンのラック部分を半分ずらせば装着可能だった。また、オプチフォトでは、ベースとアームの間にブロックを入れた改造品も存在していた。

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この対物レンズをその後に出現した20倍のSLWDと比較すると、NAは少し大きいけれど、それ以上の大きさの違いに驚かされる。ユニオンの対物の方はQuartzという文字があり、あるいは紫外も透過する設計になっているのかもしれないのだけれど、この変化には技術の進歩を感じさせる。
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ところで、オプチフォトの照明光学系の長さを変えると、照明条件は設計から狂ってしまう。また、対物レンズのNAがいくら高くても、表面観察用でカバーガラス厚0mm指定の対物レンズで、1mm厚のガラスの向こうにいる液晶を観察していて大丈夫なのかという問題もある。
対物レンズの使用条件に対する疑問は、これまでに出してきた20倍、40倍の対物にも当てはまるものである。液晶観察に問題を引き起こさないのかについては、二つの答が可能である。

一番目の解答は見えないものは存在しないということで、対物レンズの使用条件が満たされていないことにより、見えなくなった構造の存在は知られていないので、誰も問題に気がつかないということである。このバリエーションとして、擬解像による議論の誤りも認識されないと言うこともあると思う。周期構造のある液晶で、周期構造の見える深度から構造の議論をしているものがあるのだけれど、これなどは本当でないものを見ていても驚かない。
二番目の解答は液晶観察で対物レンズの分解能の限界に近い構造が問題になることは希であるというものである。液晶中の文様は連続的に変わるので分解能に近い変調は少ないし、また、欠陥線などの構造は単独で存在することが多いため、球面収差が生じていても黒い線がシャープに見えるか滲んで見えるかの違いなので、存在を見誤ることが少ない。





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by ZAM20F2 | 2015-03-17 22:01 | 顕微系 | Comments(0)

210mm鏡筒金属用10倍対物レンズなど

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20倍、40倍に続き本日は10倍。通常の品はW.D.9mm。そして左のSLWDは20.4mm。10倍にはELDWは存在していない。倍率によって、通常の品の他にLWD、ELDW、SLDWがある。
20倍と40倍は写真で紹介したELDWとSLDWの他にLDWもあり、作動距離はそれぞれ6mmと3mm。これは、ホットステージには使い物にならない作動距離だ。
ELDWは60倍と100倍もあり、作動距離は4.9と2mm。
SLDWは100倍があり、作動距離4.7mm
これらはいずれも作動距離が足りなくてホットステージには使えない。というわけで、ホットステージに使える20倍以上の対物を改めて出すと
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ELDW兄弟と
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SLDW兄弟となる。
これらは有限系だけれども、無限遠補正系でもこれに対応するようなレンズは出ている。ただし、ニコン、オリンパスとも生物用の対物ではなく工業用の対物なので、生物顕微鏡のカタログで対物レンズを探していても、見つからないのではないかと思う(ここは、凄く不思議なところだ)。
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by ZAM20F2 | 2015-03-15 15:41 | 顕微系 | Comments(0)

210mm鏡筒金属用40倍対物レンズ

昨日の20倍に続いて今日は40倍
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右から通常の作動距離1.0mm、ELDWで作動距離10.1mm、そしてSLWDは14.9mm。経験の範囲でELDWはネットオークションに結構出てくるのだけれど、SLWDは数が少ない。一方で、20倍の方はSLDWの方をよく見かける気がする。何故なんだろう。
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by ZAM20F2 | 2015-03-13 21:39 | 顕微系 | Comments(0)

210mm鏡筒金属用20倍対物レンズ

ミクロワールドサービスさんの2015年2月の本日の画像に随分と対物レンズが出ていた。最近では、少しは被るレンズもあるのだけれど、もともと使っていたのは随分と違うラインナップだった。液晶観察では試料がホットステージに入っていることが多く、市販のホットステージでは、作動距離が10mm程度以上ある対物でないと対応できない。というわけで
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写真は20倍の金属用対物レンズ3種類。右が普通のもので作動距離は2.7mm。真ん中がELDWで作動距離10.5mm、そして左のSLWDは作動距離19.9mm。SLWDは世間の評判ではELDWに比べて色収差が大きいというのだけれど、ホットステージとの組みあわせの使いやすさは抜群だ。
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by ZAM20F2 | 2015-03-12 20:54 | 顕微系 | Comments(0)

国産顕微鏡100年展

国産顕微鏡100年展は地味に行われている。何しろ、もよりの駅構内にある
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展覧会案内には影も形もないし、公園の中にある、開催しているはずの博物館の広告も、次の特別展の予告だけだ。
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その分、特別展料金ではなく通常展の料金で入れるのだけれど、通常展示は現在大幅に改装中で見られる部分が随分と減っているので、その期間は通常展の料金を安くしてもバチはあたらないと思う。
さて、中に入ると、エントランスホールには、前のエントリーで出した、張りぼての顕微鏡があり、その両脇の二つが企画展。といっても、向かって右の部屋は通常展示の顕微鏡の部分を使っているだけだ。
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というわけで、
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は毎度おなじみの顕微鏡。そして、
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もおなじみのレーウェンフックのレプリカなのだけれど、斜めじゃ無くて正面から見ようとすると
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あれれ、隠れてきた
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全部隠れてしまった…………
とすごく謎の展示体制。そして、後ろに見えている球体は
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フックの顕微鏡のレプリカの照明用コンデンサ。こちらも正面からは見えない斬新な展示手法を使っている。

この展示、どうにかして欲しい。
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by ZAM20F2 | 2015-03-09 22:32 | 顕微系 | Comments(0)

驚きの二品 国産顕微鏡100年展から

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なんていうものをやっているという話を聞きつけて覗きに行ってみた。
国産の顕微鏡が年代順に並んではいるけれども、今ひとつぱっとしていないなぁと思いながら、見ていったら
驚愕の一品に行き当たった。
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遠目には落射照明装置のついた顕微鏡だけれども、その割には下側からの透過照明系もついている。隣(正確には隣の隣)にならんでいたのは
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POH。坪井誠太郎先生が開発に関わった偏光顕微鏡。というわけで、この並びは偏光顕微鏡コーナー。そして、そこにならんでいるこの重装備の品は、レクチファイヤ付きの偏光顕微鏡。しげしげと眺めると
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対物レンズも専用らしく神々しい。そして照明系も
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鏡基の上にプリズム偏光子、そしてその上にレクチファイヤ付きのコンデンサという風情。
これは、光の鉛筆で存在を知っていたけれども、随分と顕微鏡に詳しい知り合いでも、持っていないどころか、見たことも、国内に存在しているかわからないなんていうレアな品。こんなところで見られるとは思いもよりませんでしたとも。いったい、何処に保存されていた品なのだろう。

そして、そのコーナーを過ぎて折り返しで戻ったあたりにあるのは、

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顕微鏡を覗いてみようコーナー。といっても、2台しか置いていないのだけれど。それにしても、科学館の類でも顕微鏡がこんな感じで箱に収まって調整出来ず
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な感じの窓から覗くだけというのは味気ないところだ。覗いてみると
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が見えるのだけれども、カメラのレンズが接眼レンズに接触する気がしない。よく見てみると
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と前面はアクリル板が2枚重ねで窓と見えたところは素通しではないく薄いアクリル板で蔽われていて、顕微鏡には一切触れない作りになっていた。
これが二番目に驚愕したこと。一番目の驚愕は嬉しい驚きだったけれど、こちらは……もちろんあきれ果てた驚きだ。

なんでこんな事をやるのだろうか。アイポイント位置を確保するために、薄手のアクリル板を使うなどの努力は見られるのだけれど、現場の研究者的な発想からは、けっしてこんなことはしないで、もっと自由に顕微鏡を扱えるようにすると思う。恐らくは、事故の場合の責任をどうするんだとかなどといった小役人的な発想しか持ち合わせていない人間が権力側にいるために、こんあ展示になっているのではないかと思ったりもしてしまうのだけれど、もし本当にそうだったら、科博としては完全に自殺行為というか、すでに死んでいるという状況だ。
上に記した以外の理由を思いつかないのだけれども、一体何であんなどうしようもない展示スタイルになってしまったのだろう。
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by ZAM20F2 | 2015-03-08 19:51 | 顕微系 | Comments(0)

ブレースケーラコンペンセータ Broce-Kohler compensator

オリンパスのWebにはベレックの他に微小複屈折測定用としてブレースケーラコンペンセータという物が上がっている。2種類あり、一方が20nm、もう一方が50nm程度までの測定が可能となっている。オリンパスのWebを見ると(昔に比べると随分と充実している)原理として、観察試料を偏光子/検光子の軸から45度に設定した上で、「レタデーションの小さい雲母のプリズムを光軸を中心に回転させレタデーションを変化させる。」と記されているのだけれども、雲母のプリズムと言われると平行平板でない気がするし、光軸といわれても雲母は2軸性結晶なので、雲母の光軸とすると話が混乱してしまう。しかし、Webの図をみると平行平板のものを顕微鏡の光軸を中心に回転させるようなものとなっている。

現物を調べるあてがなかったので、雲母は平行平板であるとして(なにしろ劈開性がつよくとてもじゃないけれども変な格好のプリズムは作れないだろう)、顕微鏡の光軸に垂直に平板を入れるなら、2軸性物質ではなく光軸が面内にある1軸性物質として扱っても大丈夫なので、その近似下で計算してみることにした。

セロテープの複屈折を計算するくらいなら、一つ一つのプロセスを考えて計算をすればよいのだけれど、少し複雑になると機械的に処理できる方法の方が楽だ。手軽なのはジョーンズマトリックスを使う方法だ。偏光子から45度方向においた位相差δのプレートは
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コンペンセータに相当する偏光子の軸からθだけ回転できる位相差φのプレートは
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となる。入射光と、それに垂直な軸方向の偏光子は
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なので、
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という行列のかけ算で出射電場が計算できる。計算結果は
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なのだけれど、光強度は電場の2乗なので、
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となる。コンペンセータのリタデーションを50nmと30nmの場合に、いくつかのリタデーション試料の場合のθと透過光量のグラフを描いてみた。まずはコンペンセータが30nmの場合
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試料リタデーション0
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試料リタデーション10
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試料リタデーション20。続いてコンペンセータのリタデーションが50nmの場合
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試料リタデーション0
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試料リタデーション10
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試料リタデーション20
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試料リタデーション30
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試料リタデーション40
と、ある角度で最小値をとるようになる。最小値となる角度をsin2θに対してとると、確かに直線に載ることが確認できた。

コンペンセータのリタデーションが小さい方が、微小複屈折の感度はよくなるが測定できる範囲が狭くなる。また、試料のリタデーションがコンペンセータのそれに近付くと、漏れ光が大きくなるとともに、そこが緩くなって測定感度が悪くなりそうである。実際の50nmまで測れるものは、もう少し大きめのリタデーションの板かもしれない。


ベレックとブレースケーラを比べるとブレースケラーは視野全体で均一に補償されるので、ベレックより安心して使える気がする。

ところで、オリンパスのWebによるとブレースケーラは位相差測定の他に、微小複屈折物体のコントラスト増強にも使えるという。コントラスト比が上がるかは偏光顕微鏡自体の消光がどの程度あるかにも依存するのだけれど、明暗差なら確かに上昇はしそうである。ということは、薄く剥いだ雲母板を試料に重ねれば、微小リタデーション試料が見やすくなる可能性があるということだ。雲母はそれなりの大きさなら、薄板を作れるきがするので、これは、ちっと試してみる価値があるかもしれない。


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by ZAM20F2 | 2014-09-16 21:06 | 顕微系 | Comments(0)

オリンパスPOS ベレック型コンペンセータ

箱がある。
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止め金具の犬マークがなかなか格好いい。
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蓋を開けると出てくるのはベレックコンペンセータ。
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z軸が回転軸に平行になっているので、方解石を使った品と思われる。このコンペンセータ
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とオリンパスのPOSに適合している。ベレックコンペンセータは板に垂直がある1軸性物質を回転させリタデーションを発生させ、試料のリタデーションを打ち消し、打ち消した時のコンペンセータのリタデーション量から試料のリタデーションを求める道具である。

コンペンセータを回転した時のリタデーションは、回転角とリタデーションの厚みに依存する。回転角依存性は一般式があるのだけれど、厚みは個々のコンペンセータで異なるため、そのコンペンセータの補正値が必要となる。

もちろん、写真で示したコンペンセータの補正値を記した資料は方向不明だ。このままではコンペンセータがあっても使えないので、自分で補正値を決めなければならない。補正値の決め方だけれど、粟屋 裕さんの「高分子素材の偏光顕微鏡入門」には、波長λの単色光源を用いて、消光位置を見れば、その位置のリタデーションはλ、2λ、3λ…なので、それに合うように補正値を計算するという手法が載っている。本には単色光源がなければ偏光顕微鏡の緑の整色フィルターを使うことも可能である記載があるけれども、普通の緑の整色フィルターは透過スペクトルの幅が結構広いので、消光位置の決定が少しばかり微妙になるのではないかという気もする。また、単色光源がないからといって、レーザーを光源代わりにするのは止めた方がよい。

単色光源のあてがない場合には既知のリタデーションを持った位相差板を用意して、その消光位置を確認すればよい。偏光顕微鏡には1/4波長板とリタデーション530nmの鋭敏色板が附属しているので、これを既知のリタデーションを持った位相差板として使う事が出来る。ただし、後で記すように1/4波長板は読み取り誤差が出そうなので、530nm板を使う方が結果が良いだろう。複数の鋭敏職板があるなら、重ねて1060や1590nmの位相差板として使うのもよいアイデアだと思う。
さて、コンペンセータに依存しない回転角依存性については、オリンパスのWebに式が掲載されている。この式からすると、用いる物質の屈折率に依存する部分がある。また、坪井誠太郎さんの本に1軸性結晶の光路差に関する近似式がある。

オリンパスのWebの式に方解石とフッ化マグネシウムの値を入れると、値の違いはずれるのだけれども、最大値で規格化した曲線の形は測定誤差よりも小さな差しか生じない印象がある。また、坪井さんの本の近似式もカーブの形は重なる。さらに
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という適当な近似式から出てくる値もカーブ形状としては重なるので、いずれの式を使っても、コンペンセータ側の補正係数が変わるだけで問題は生じないだろう。ただし、θはベレックのプラス側とマイナス側の読みの差を2で割った値だ。


さて、1/4波長板より530nm板の方がよい点だけれども、それは、ベレックコンペンセータによる消光を計算してみると納得がいく。50nm、137nm、530nmの位相差板をベレックで消光する場合の回転角と明るさの関係を図示する。
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これが50nm試料の打ち消し

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これが137nm(λ/4板)

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そして、これが530nm板(鋭敏色板)の打ち消しだ。

打ち消す位相差が小さい領域ではベレックの位相差変化の回転角依存性が小さいために、誤差が入りやすくなる。さらに、極小部分の非対称性が強くなるために、ベレックを回して同じ明るさになる点の中心を消光位置とするような測定をすると、傾きが緩い方の影響を大きく受けて系統的に小さな値を読むことになってしまう。
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by ZAM20F2 | 2014-09-14 20:46 | 顕微系 | Comments(0)

POSの付属品

偏光顕微鏡に特有の付属品に芯だし治具と位相差板がある。
偏光顕微鏡には普通は円形の回転ステージがついていてステージを回転させることが多い。この時ステージの回転中心と鏡筒の光軸があっていないと、ステージの回転にともない試料が視野内を移動して、ひどい時は視野の外に行ってしまう。
研究用顕微鏡だと対物レンズの芯だし機構がついたレボルバーがついているのだけれど、POSはレボルバーでなく台座ごと交換する仕組みで、芯だし機構がついた台座が2つ、芯だし機構無しの台座が1つついている。芯だし機構なしの台座は低倍率の対物用だ。

研究用顕微鏡では芯だし機構がついたレボルバーが装着されていると記したけれど、ニコンの機種は総ての場所に芯だし機構が着いているが、オリンパスでは1箇所は芯だし機構がついておらず、その代わりにステージにも芯だし機構がついている(ニコンはついていない)。このため、オリンパスの研究用顕微鏡では高倍率の対物を芯だし機構のついていない場所に装着してステージの芯だしを行い、その後に他の対物の芯だしを行う。ニコンの場合はどれから芯だしをしても良いと思う。実習用クラスの偏光顕微鏡では芯だし機構がついていない物もある。

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のステージに乗っているのがPOSの芯だし治具。とりつけると
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となる。芯だしのやり方はなどにも記載がある。

POSの場合は、マイナスドライバーがあれば専用の治具がなくても調整は出来る。でも覗きながらマイナスドライバーを回さないといけないので操作性はだいぶ悪くなる。

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は位相差板。使う時は、本体に開いている穴に入れる。
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ところで、昨日に検光子部分の固着の話をしたら、オリンパスの固着はEE3310などの溶媒を入れると外れることがあるとの情報を頂いた。で、本日に別件でオリンパスの接眼レンズの固着したのに出会いEE3310を入れたらめでたく固着が外れた。もっとも、有機溶媒を不用意に流し込み過ぎると悲惨なことになるので、経験の少ないうちはスポイトなどを使って、量に注意しながら作業をするのがよいと思う。固着を取るのに限らないけれども、取り敢えずは、駄目になっても惜しくない物や予備があるようなもので練習をして腕を磨いていくのが誰でも辿る道の気がする。
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by ZAM20F2 | 2014-06-09 20:49 | 顕微系 | Comments(0)