ezSectra 915Vの飽和感度を再確認する

ezSpectra 815Vの分光ユニットである浜松ホトニクスのC12666MAの分光特性は浜松ホトニクスのWebにあるのだけれども、楢ノ木技研さんのツイッターに、浜松ホトニクスのWebのデータは実測と合わないという話が出ていたらしい。

だいぶ前に、飽和値の見積もりをやった時は、浜松ホトニクスの図をもとに見積もりを行ったのだけれど、感度分布が違うとなると、見積もりにずれがあることになる。というわけで、再度チェックすることにした。

前回は平らなスペクトルで見積もりを行ったけれど、見積もり精度を上げるためには、単色光に近い方が望ましい。単色光源があるかというと、さらに昔に出した、干渉フィルターセットが手元にある。

楢ノ木技研さんのデータと浜松ホトニクスのデータを比べると、両方とも490nmあたりが最高感度で一致しているけれど、600nm付近の感度は、楢ノ木データの方がかなり高くなっている。そこで、490nmと600nmの2波長で比較することにした。
c0164709_13340195.gif

c0164709_13341452.gif


まず、それぞれの生データ。同じ露光時間で、同程度の値になるように、ハロゲンの電圧を調整している。これを基準値にして、露光時間を上げていって、どこで飽和が起こるかを見ることにした。

490nmで露光時間を上げていった時のスペクトル変化を示す。
c0164709_13340791.gif

露光時間が増えると、スペクトルがひずんでいるのが分かる。スペクトルの歪みはじめが、感度飽和なのだけれど、出始めは見にくい。そこで、すべてのスペクトルを最大値を1に規格化して(というか、ezSpctraの規格化を使った)、そして、基準値との差分をとってみた。
c0164709_13340715.gif

14msでは差はないが、15msで変化が始まっている。
基準とした13msの最大値は0.96。これを基準に、14msの時の最大値を求めると、1.04、15msでは1.11となる。前は15~20%で飽和すると印したけれど、どうやら、最大値の10%増しで飽和してしまうようだ。

続いて600nm。こちらも、元のスペクトルと13msを基準にとった差分を示した。
c0164709_13341980.gif

c0164709_13341999.gif

差分を見ると16msから飽和が始まっている。13msの最大値が0.97。14msで1.05、15msで1.12。16msで1.2となる。飽和値のレベルから、490nmと600nmの感度を比較すると、1.11/1.2=0.93で、600nmの感度は490nm感度の0.93倍程度と推定できる。

前に示した浜松ホトニクスの感度分布では600nmの感度は490nmの0.74倍程度。一方、楢ノ木技研さんのデータだと0.94~0.95倍程度。楢ノ木技研さんのデータより少し低いが、浜松ホトニクスのデータからは大きくずれた結果となった。

というわけで、分かったことをまとめると、
1,ezSpectra 815Vの最大値は最高感度の波長(490nm)に対して10%程度の余裕を見て設定されている。
2,浜松ホトニクスのWebにあるC12666MAの感度データは、現物とかなり違っている可能性が高い。

で、感度分布を自分で確かめたくなったら、単色光源を用意できれば、今回みたいな飽和強度測定で、どうにかなるだろうと思う。



[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-14 13:47 | 科学系 | Comments(0)

自由研究実施中

世間的には里帰りや行楽の時期なんだけれども、帰る先がなく、この混雑期に行楽に行く気力もないので、家で夏休みの自由研究をすることにした。
c0164709_13000223.jpg

久しぶりに、ホットステージをセットアップし、眺めているのは液晶の相転移。
c0164709_12595465.jpg

前にもざっくりと紹介したけれど、ホットステージ本体は数千円の下の方、コントローラも福沢さん1~2枚でどうにかなる。
観察しているのは、大昔から知られた品なんだけれど、でも、眺めていて不思議になる。

話は変わるけれど、接眼鏡筒はステージの手前側にセットされている。研究用の顕微鏡では普通のセットアップなんだけれど、今朝方見たテレビの棒SSH高では、接眼鏡筒が鏡基側にセットされていた気がする。勝手な印象だけれど、中・高の先生の中には昔の顕微鏡の図に引きずられていて、鏡基側から観察するセットアップにしている人が、ある割合でいるような気がする。

さらに話が変わると……今朝方見たテレビでは、相対性理論の提唱者の名を使った科学教室の人が子供に見せる科学実験として、室内で雨を降らせると称して、液体窒素をスタジオで吹き上げさせて、雨と称する液体を(わずかに)降らせていた。でも、私のみるところ、あれは、水じゃなくて、液体窒素。そもそも、数mの高さで、それもすぐに蒸発する微小な水滴をつくって、それが、瞬間に合体して目に見えるサイズで落ちてくるはずがない。蒸発し損ねた液体窒素が落ちてくると考えるのが素直な解釈だ。
前にも書いたけれど、小学生に液体窒素を使った実験を見せる行為は、子供の学習への意欲を削ぎかねない行為だ。それを、やってみせて、しかも現象の解釈が正しくないわけで、この科学教室、かなりだめというのが個人的判断だ。


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-13 13:18 | 顕微系 | Comments(0)

亀に悪い

頭の格好を変えてくれる学習塾の広告、これまでは、問題を眺めていて、ほんとにこの問題で良いのかなぁと感じる時に取上げてきたんだけれど、今回の問題は悪くない、というか結構気に入っている。
c0164709_07093381.jpg

亀の雌雄が孵化までの温度で決るという話の上で、1問目はデータを元に、何度が雌雄の境界になっているかを問う設問
c0164709_07093438.jpg


2問目は本土と沖縄で、沖縄の方が雄が多い理由を尋ねる問題である。

c0164709_07093355.jpg


データを眺めると、高温側で一旦雌の割合が増加した後に、割合0に戻って、その後で1へとジャンプする。

c0164709_07093376.jpg


1問目に関しては、与えられたデータをどのように読込むかが問われているし、2問目は、沖縄の方が平均気温が高いという知識と、珊瑚が炭酸カルシウムで出来ているという知識、そして、炭酸カルシウムは近赤外まで含めて透明な物質で珊瑚の砂は太陽光を吸収しにくいという知識、さらに本州の砂浜は、経験的に、白砂は少ないという知識を組合わせて答を出す必要がある。

データの読込みや、経験も含めた知識の統合がきちんとした回答には必要で、これは、なかなかの良問だと思う。というわけで、学習塾の回答を見てみると

問1の回答は29.3℃、問2の回答はサンゴ砂は白いので日光を反射しやすく、砂浜の温度が高くなりにくいから。

となっている。この回答……………、私が採点者だったら、かなり点は低い。というか不合格。

元のブラフを見ると、確かに、29.4℃以上では雌比率は1に近いけれども、29.8℃は0.84程度。一方、割合が0で無くなるのは28.1℃の0.1、28.3℃の0.35。その後、28.9℃が0.1で29.0℃で一旦0になるのだけれど、境界が29.3℃というと、28.3℃の0.35は説明つかなくなる。そうなると、29℃付近で一旦低下するのが、測定ミスなのか、意味があるのかも分らないし、28℃後半と29℃前半のデータの欠落も気になる。というわけで、1の回答は、データ欠落があり、不確定要素もあるが、29℃付近で雌雄の決定確率が半々程度になると予想される。というのが、とりあえずの回答になる。でも、さらに考え出すと、砂の温度は日中と夜間で異なるはず。沖縄の方が平均気温が高いであろうことを考えると、夜間(少なくとも明け方)の砂の温度は、沖縄の方が高いと期待できるだろうと思う。こうなると、砂の温度は、平均温度なのが、それとも最高温度なのかが気になってくる。さらに言えば、孵化寸前では、雌雄は決定しているだろうから、卵の成長のある時点での話になるのだけれど、そのタイミングが昼か夜でも変るんじゃないかという気分になってくる。

こうなると、設問の設定が不充分だねというのが結論だ。悪くない問題なんだけれど、詰めがあまい。

問2に関しては、白いので反射しやすくというより、透明なので光吸収が少なくというべきだけれども、それでも上に上げたように夜間温度の問題もあるし、前段として沖縄の方が本州より平均気温が高いと思いたいので、

「本州より緯度が低いため、平均気温は高いと考えられるが、炭酸カルシウムの太陽光吸収量が本州の平均的な砂より小さいために、日中の温度上昇が低いことが寄与していると予想される」というぐらいになりそうな気がする。

ところで、実際に海亀の雌雄が何度で決るのかをWebで調べていたら、温暖化の影響で雌比率が上昇すると、絶滅するのではないかと危惧する人々のWebにも行きあった。

いや、でも、少なくとも海亀の人たちは、ほんの7000年前の縄文海進も経験して、まだ、この島国のあたりにいてくれるわけで、温度が上がったら、その分、産卵域を北方にのばすのではないかという気がするんだけれど。絶滅を気にするのは、亀の能力を低く見た人類のおごりのような気もする……


などと書いていて思い出したのは、中学生の頃に、「今度氷河期が来たら、生残る生物はどのようなものか」という問題に対して、授業中には、ほ乳類は鳥類のような恒温動物で、は虫類は両生類は生残れないだろうと教わっていたにもかかわらず、発作的にひらめいて「これまで何度も氷河期を乗越えて現在の生物がいるので、次回も、大体全部生残る」と書いて×をつけられたこと。未だに腑に落ちていない。



[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-12 07:50 | 文系 | Comments(0)

挙動不審……

電車の液晶ディスプレイの様子がおかしい。
白表示だと、余り目立たないし
c0164709_21261929.jpg

黒表示でもあまり目立たないのだけれど
c0164709_21263314.jpg

中間調だと、文様が出現してしまう。
c0164709_21263690.jpg

これは……、どう見てもパネルの劣化。思わず、劣化見本の写真を得るべく、一心に画面を撮影した訳だけれども、端から見ると、かなり挙動不審のやつだっただろうと思う。



[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-08 21:28 | 液晶系 | Comments(0)

そんなに簡単ではない

ミクロワールドサービスさんの、本日の画像で、レイメイ藤井のRXT203を使った顕微鏡写真が掲載されている。まねをしたくなったのだけれど、同じようなものを撮影したのでは、腕の鎖が歴然としてしまうので、掲載されていないようなもの…と考えて、液晶ディスプレイを拡大することにした。

ミクロワールドさんのサイトには、簡単にできそうに書いてあるのだけれど……やってみると、とにかく、ぶれてしまってまともな画像が得られない。RXT203の上にカメラを安定しておくのも結構大変でピント合わせがしにくいし、それ以上にシャッターを押す動作によりぶれまくる。ずいぶんとなれてきたはずの1枚でも使いものにならないような画像だ。
c0164709_08545027.jpg



シャッターを押すブレは、セルフタイマーにすれば防げる。カメラを手で固定していると安定しないので、mtテープでレンズをくくりつけることにした。この方法、悪くはないのだけれど、手間取っているとオートオフでレンズが引っ込んで面妖なことになる。
貼り付けて撮影したのが下の2枚。一方は、緑、もう一方は赤の方が鮮明で他の色はぼけている。これは……見事な色収差の実例だ。
c0164709_08545610.jpg

c0164709_08545664.jpg




[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-06 08:58 | 顕微系 | Comments(0)

上方注意

c0164709_08061833.jpg

落ちてはこないとは思うのだけれど、気になってしまう……
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-04 08:07 | Comments(0)

輸送中

ピカピカのタンクローリーは液糖を運んでいることがおおいのだけれど、これは何か様子が違う。
c0164709_08093624.jpg

よっていくと、見えるのは
c0164709_08093671.jpg

おなじみの銘柄。中身はと見てみると
c0164709_08093765.jpg

とのこと。これ、何本分になるんだろう。

[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-08-02 08:10 | 街角系 | Comments(0)

シャボン膜 二光束干渉レンズ

c0164709_07150407.jpg

シャボン膜を見ていたレボルバーにたまたま2光束干渉対物がついていた。ついているからには、試してみるしかない。
c0164709_07150528.jpg

ピントを少し変えてみる
c0164709_07150504.jpg

派手な段差は分かるけれども、色が変わっているあたりは、ほとんど段差が見えていない。感度が足りていないのか、それとも、段差があるのが裏面になっているのか、どちらだろうか。

[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-31 07:17 | 液晶系 | Comments(0)

ezSpectra 815V でYujiLEDの紫励起LEDのスペクトルを測定する

ezSpectra 815Vに拡散板を挟むテストを行ったのは、スペクトルを測定したい光源があったからだ。

家の顕微鏡の光源には、写真家の新藤さんおすすめのYujiLEDの高演色性高輝度パワーLED(YJ-BC-135L-COB 9W)を用いている。この品、公称Raは95で確かに液晶の写真撮影でも変な色味にはならないように思うのだけれど、青色LEDを使っているために、400nmあたりの光は放射しておらず、分光測定の光源としては物足りない。

日本のサイトには、パワーLEDは青色励起タイプしかないのだけれど、英語のWebを見たら紫励起タイプも存在していた。UniPoさんに尋ねたら、紫励起タイプを日本国内でも販売してくれるとのこと。価格は英語Webで5ヶ135ドル、日本だと単価3200円で1個単位で売ってくれるとのこと。とりあえず、色温度2700K、3200K、5600Kを1個ずつ取寄せてみた。

青色LEDの時は、スペクトルデータのシートがついてきたのだけれど、こちらにはスペクトルデータシートがない。また英語Webにも未掲載だ。というわけで、紫励起タイプのスペクトル測定が必要になった。


リード線をつけていざ測定しようと思ったら……熱伝グリスが見当らない…………、やむを得ず、光学用グリスの粘性の高いので貼付けて、定格450mAなので、300mAで光らせてみることにした。

まず5600K
c0164709_07051187.jpg



続いて3200K

c0164709_07053558.jpg


と2700K
c0164709_07054755.jpg



いずれも、Ra98程度の値が出ている。実は、この分光器、ハロゲンランプをはかってもRa100にはならない。
c0164709_07061206.jpg


まあ、見ての通り凸凹が残ってるので、楢ノ木技研さんが校正に用いたのとは同じ入射強度分布じゃないとか、迷光のせいで、短波長側に何かがのっているとかあるためと思うのだけれど、ハロゲンの値をみれば、上のLEDはなかなか優秀である。


ついでに、今まで使っていた青色LED励起のものも測定してみた。
5500Kのものは、Raが90しか出ていない。
c0164709_07064434.jpg


これは、メーカー公称からすると低すぎる値だ。この品は青色が強く出過ぎている気がする。


3200Kの方は青色が押えられていて、Raも95が出ている。
c0164709_07070398.jpg

ただ、両者とも、短波長の青から紫のところが欠如している。

ところで、300mAで光らせてみることにした。と記したのだけれど、実際には70mA程度で光らせている。使っている電源は、ネットオークション経由でやってきた定電圧電流電源。出力は0~18V。メーター上は18.55V出ているのだけれど、紫LED励起タイプの方が、青LED励起より必要な電圧が高く、十分な電圧を供給できていなかった……

幸いこの電源には負側の出力もあるので、熱伝ペーストを入手したら、もっと電流を流すつもりだけれど、スペクトルの形状は(励起光が強くなるかもしれないけれど)、大きく変らないだろうと思う。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-28 07:07 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vに拡散板をつけてみる

ezSpectra 815Vでハロゲンの光を直接測定すると、スペクトルが凸凹になる。
c0164709_08013564.gif

前のエントリーで示したように、凸凹の位置は入射角度に依存しており、NA0.22の光をきちんと入れれば、この凸凹はなくなることが期待される。

ただ、NA0.22の光学系を組むのは結構面倒だ。通常の分光器では、レンズによる色収差を嫌うので、光学系は鏡で組んである。反射光学系でNA0.22をくみ上げるのは容易ではない。まあ、実用上は、それなりの性能のカメラレンズを持ってくれば、大丈夫と思うのだけれども、それでもレンズと815Vの位置はきちんと合わせなければならない。815Vをふらふらと持出して分光遊びをするのには、あまり妥当ではない組合わせだ。

楢ノ木技研さんのWebには拡散板で凸凹が改善するという記述がある。そして、分光器のスペクトル範囲を考えて、石英ガラスの拡散板が紹介されているのだけれども、光学屋さんに石英拡散板を発注するのは敷居が高い。というわけで、短波長側の吸収は考えずに、プラスチック拡散板をつけてみることにした。用いたのは、MWSさんで紹介された光栄堂さんのEB-04。蛍光が出るらしいんだけれども、まあ、タングステンランを光源としているなら、紫外は弱いから影響は少ないだろうと思う。

拡散板を入れると、スペクトルはだいぶなめらかになった。
c0164709_08014023.gif


まだ凸凹が、特に長波長側に残っている。楢ノ木技研さんで使っている光学系と同一にならない限りは微小な凸凹は残るはずで、完全に消滅させるのは困難だろうと思うけれど、まあ、この程度だったら、普通の測定で大きな過ちはしないで済むだろうと思う。


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-26 08:02 | 科学系 | Comments(0)

お月さん

c0164709_17423874.jpg

シャボン膜の黒膜は時間とともに広がって、大部分を覆うようになった。
c0164709_17424149.jpg

その中に、残った輝く点、拡大すると
c0164709_17424561.jpg

内部構造がある。この内部構造、時間とともに緩和して
c0164709_17425015.jpg

最後は、まん丸お月さんという風情だ
c0164709_17425466.jpg

[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-23 17:45 | 液晶系 | Comments(0)

雹が降ったらしい。残念ながら降るところは見られなかったし、暗くなってから帰ってきたので、状況はほとんど確認できなかった。
一夜明けて見てみると
c0164709_07434946.jpg

紫陽花や
c0164709_07434970.jpg

朴の木の葉っぱはぼろぼろになっている。そして、
c0164709_07434962.jpg

睡蓮や蓮もずたずたになっている。そして
c0164709_07435066.jpg

郵便受けの上にも痕跡が。
そのあたりで屋根のないところに停めてある車をみても、痕跡がないみたい。郵便受けと自動車の板の厚さの間に閾値があったようだ。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-19 07:48 | Comments(0)

穴ではない

前の写真で黒く穴が開いたようなところ、
c0164709_09080801.jpg


黒く見えるのは穴ではなく、薄い部分。膜の両側が空気で膜より屈折率が低いため、膜厚が薄くなると反射率は0に漸近していく。
状態は時間とともに変化していく。


c0164709_09081112.jpg


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-16 09:12 | 液晶系 | Comments(0)

ライオトロピックスメクチックフリースタンディングフィルム

c0164709_21193799.jpg

日常用語で言うと、「シャボン膜」だったりする。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-12 21:22 | 液晶系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの迷光(III) 縦方向の角度依存

前回のエントリーは光が横方向に外れる向きに回転したけれども、今回は、回折格子の異なる場所を照射しながら外れていく方で回転している。
まず、0度、これは基本的には前回と同じ。
c0164709_16283620.gif


続いて5度。分光器をUSB端子を上に置いて入射側からみて向かって右側が奥に動くような方向の回転になっている。
c0164709_16283699.gif

前回の横方向への回転と違うのは、600nmあたりにあったくぼみの位置が短波長側にずれていることだ。逆方向に5度回したものでは、長波長側にずれている。
c0164709_16283804.gif


この窪みは回折格子分光器によく見られる話なのだけれども、普通の平面型の回折格子では、平行光線が入射した場合には、場所によらず同じ波長に対して構造が出るはずだ。窪みの位置が光の当り場所で変ってしまうのは、凹面型回折格子のためなんだろうと思う。この窪みみたいな構造は、入射光のNAが小さいと出現するので、NAを大きくすれば目立たなくなると楢ノ木技研さんのWebには書いてあるけれども、照射場所により場所が移るので平均されるという話のようだ。

10度回転すると、窪みの位置の動きは大きくなるけれども、全体のスペクトル形状はあんまり大きくは変化していない。
c0164709_16283793.gif


15度回転で、信号強度はさすがに弱くなり、そして方向によって随分と違う値となった。ここは、NA0.22より外側になているわけで、こちらの入射でも、15度までは拾わないようにした方が安全そうな気がする。0度と比較すると、短波長端が増加に転じているのは迷光だ。
c0164709_16283713.gif


20度になると信号レベルは小さくなる。

c0164709_16283703.gif


迷光は30度でほぼ出なくなるけれども、
c0164709_16283746.gif

37度付近で復活する。
c0164709_16283760.gif

ただし、横方向への変化とは異なり、長波長側に強い波長分布だ。反対側に回転した場合は、20度で赤領域に迷光が出て30度で消滅したあと、約37度で長波長側の方がレベルが高い迷光が出現する。

40度にすると迷光は消え、これ以上の角度にすると、どちらに回した場合も迷光は出なくなる。
c0164709_16283840.gif


NA0.22より外側の光による迷光については、本来の光学系以外の場所での散乱が原因なので、基本的に波長無依存だろうと思う。今回はハロゲンを使ったけれど、レーザー光を使って行っても同じ傾向を示すと思う。なお、二つ前のエントリーで示したように、分光器の測定範囲外の波長の光でも、検出器に感度があるなら迷光となる。シリコンを使っていることを考えると、1ミクロン程度までは感度が伸びていても驚かない。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-09 16:34 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの迷光(II) 横方向の角度依存

前のエントリーでLEDは大体40度の入射角に設定してあると記したけれど、この角度には意味がある。
分光器の指定NAより外側の光を入れたら、どの程度迷光がでるのかと迷光の角度依存性を確かめてみたら、40度弱のところが妙に迷光レベルが高いのだ。

使った光源は顕微鏡用のハロゲンランプ。分光器との距離は60cmとしたので、ハロゲンのフィラメントサイズを5mmとするとNA0.004程度の光束となっている。

分光器の積算時間は120msで一定として、分光器を横倒しにして回転している。回折格子は分光ユニットの長辺方向に伸びているので、この回転だと回折格子の横方向に光が外れていくことになる。

まず垂直入射。全体に波打っていて、特に600nmあたりに目立ったへこみがある。
c0164709_07272896.gif

続いて入射角度10度。上側(USB端子の反対側)から光があたる状態になっている。信号強度は大幅には小さくならない。また、スペクトルの形状も大きくは変っていない。600nmのへこみは少し短波長側に移っているけど、そんなにはでに形状は変っていない。角度を反対側に10度傾けても、ほぼ同じ傾向が得られる。
c0164709_07272961.gif



入射角を15度にすると、分光器の入射NAの外側の光になっているはずだけれども、そこそこの信号が出ている。
c0164709_07272909.gif

反対側に15度傾けても、同じ程度の信号が出ているので、これは、0点調整が悪いためではなく、回折格子にあたった光が検出器に到達していると判断出来る。試みに、0度の入射光で10度と15度を規格化してみると、両者で様子が少し違う。
c0164709_07272815.gif

元の振動構造による凸凹は割切れていないのだけれども、10度は割とフラットなにの対して、15度は長波長側が信号が弱くなっている。これは、長波長光の回折角が大きく、回折格子から検出器までの光路が長いので、検出器に届くまでの横のずれ量が大きくなって検出器に到達する光量が減っているためと解釈できる。

おそらくはNA0.22までは、入射光はすべての波長で検出器に届くのだけれど、それを越えると、長波長側から光が検出器に届かなくなっていくのだろうと思う。ということは、横方向でNA0.22以上の入射があると、本来のスペクトルより短波長側が強く測定されてしまうということになる。定量評価はしていないけれども、前のエントリーに出したフードのようなもので、NA0.22以上の光は入らないようにするのは、迷光レベルを押える以上の意味がありそうだ。


入射角度を20度にすると、信号はほぼ出なくなる。
c0164709_07272937.gif


30度で、少し短波長側が目立つかなという気分になる。
c0164709_07361663.gif

そして、38度でかなり目立つ迷光が出る。入射角が0度で短波長端の信号強度は0.05程度なのに、38度では0.1と2倍にもなっている。全方向から光が入るような測定条件では、短波長側の結果はぼろぼろだと思った方がよさそうだ。

c0164709_07272964.gif

この迷光、分光されていない光が検出器に到達しているので、個々の検出器が実際に感じている強度分布を見積るには、分光感度で補正をかけてやる必要がある。補正すると400nmあたりがピークで、長波長側には実質単調減少のカーブとなる。短波長側の受光素子がスリットに近い側であることを考えると、400nmより短波長の落ち込みの原因は分からないけれども、長波長側の実質単調減少の挙動は納得いく結果だ。

c0164709_07272858.gif


この迷光は40度で減少する。。
c0164709_07273086.gif

そして、50度ではほぼ消滅する。
c0164709_07273060.gif

これ以上の角度での入射では問題になるような迷光はない。


反対側に回転しても、同様に、垂直から38度付近で目立つ迷光が生じている。この点は対称性はよい。


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-07 07:37 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの迷光(I)

分光測定で、きちんと分光されずに検出器に届いてしまう光を迷光と言う。迷光には大きく2種類あって、一つは入射設定が悪くて、内部の光学素子の外側に当たってしまい反射を経て検出器に到達してしまう迷光。もう一つは、きちんと入射されて光学素子に当たっているのだけれど、光学素子の欠陥や汚れなどにより散乱などを起こして検出器に到達してしまう光である。

ezSpectra 815Vにも、この両方の迷光が存在している。

まずは一番目の入射設定が悪い場合を検討しよう。815Vの入射NAは0.22。NAは分光器より顕微鏡対物レンズで出てきそうな言葉だけれども、光軸に対して、どれだけの角度で光束が入るべきかの指定。0.22だと光軸に対して角度θ=asin(0.22)=12.7゜以内の角度で入った光が光学系に到達し、それ以上の角度で入射した光は光学系の外に当たる。なお、NA0.22というのはF2.2程度で、これは分光器としては非常に明るい。

さて、入射設定の悪さによる迷光の実例をお見せしよう。
c0164709_07170873.gif

蛍光灯のスペクトルを測定しているつもりなので、本来は蛍光が見られるところ以外は光強度は0であってほしい。このスペクトルをどのように測定したかを次にお示しする。
c0164709_07170917.jpg

天井の蛍光灯からの光を受けているのだけれど、斜めの方に妙なものが写っている。これは840nmのLEDで、40度ぐらいで入射するように置いてある。NA0.22より外側の光線(それも、分光器の測定波長範囲外)だ。こうすると、本来は信号強度が0であるべき波長に有限の信号が出ている。これは極端な例なのだけれども、十分に明るい室内で蛍光灯を測定すると、光がないはずの紫外部分が浮くのが容易に見られる。本来の入射角範囲以外からの光は迷光にしかならないので、この手の光は分光器に入らないようにした方がよい。

そこで、黒い発砲ポリエチレン板などを切り刻んで簡易的なフードを作ってみた。使う時は両面テープで正面に貼り付ける。
c0164709_07170920.jpg

効果は一目瞭然。でフードをつけると浮き上がりは消える。
c0164709_07170974.gif

蛍光灯からの信号も1割程度落ちているのだけれど、これは、上下方向のNAが少し制限されているか、置き方が悪いかのいずれかのためだと思う。どちらにせよ、大勢に影響はない。このスペクトルもLEDは点灯したままで、当たり前の話だけれども、フードに遮られて入射されなくなっているために、迷光が消えている。
ディスプレイ画面などの測定をするときも、本来の入射角以外からの光は悪さをするので、このようなフードをつけて使うようにした方が良いだろうと思う。








[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-05 07:24 | 科学系 | Comments(0)

ネジバナ

c0164709_07390455.jpg

このあたり、昔はネジバナは咲いていなかったと思うのだけれど、ある年、1株か2株生えたと思ったら、土地にあったのか、年々勢力を拡大している。
前にはツインタワーの写真を出した記憶があるけれど、今年はトリプルタワーができていた。
c0164709_07390533.jpg

どこからやってきたのかは不明。ひょっとすると、群馬天文台そばの空き地からかもしれないと思っている。ネジバナのある草原で遊んだ覚えがあり、ひょっとするとそのときに種がついてきたのかもしれない。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-04 07:43 | 植物系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの偏光依存性(II)

少し前のエントリーでezSpectra 815Vの感度分布は偏光方向により異なることを紹介した。その時には液晶ディスプレイの測定例を紹介したのだけれど、それでは元のスペクトルが不明なので、改めて無偏光と思われる光源と偏光子の組みあわせでの評価をおこなった。光源はハロゲンランプだけれども、赤外側が強くなりすぎるので熱線吸収と、色温度変換フィルタを入れて、長波長側を押さえている。そのためか、ハロゲン光の演色性が90という値になってしまっている。

c0164709_19084393.jpg


この測定では偏光子の透過スペクトルが問題となる。偏光子はニュートラルグレー(総ての波長の透過率が同じ)であることが望ましいのだけれど、実際の偏光子には透過率の波長分布がある。今回用いた偏光子のスペクトルは評価していないけれども、そのへんに転がっていえる中では、ニュートラル性の強い偏光子を使っているつもりでいる。

まず、偏光は短辺に平行と長辺に平行、および45度で入れている。スリットは短辺に平行に設置されているので、回折格子の溝は短辺に平行なはずである。すると、短辺に平行な偏光は溝に平行な偏光、長辺に平行な偏光は溝に垂直な偏光になる。

スペクトルは、高さが同じになるように、露光時間を変えている。偏光子なしが83ms、垂直が148ms、平行が331ms、45度が257msで、垂直の方が格子の回折効率が高いようだ。
c0164709_19085390.jpg

c0164709_19084926.jpg


平行偏光の方は短波長が強く長波長が弱くなっているのに対して、垂直偏光は長波長が強くなっている。測定された色温度の値も両者で大きく異なっている。
c0164709_19085723.jpg

偏光子を45度にすると、2つの偏光方向の効果が相殺されて、元のスペクトルと類似した形状となる。色温度も、大きくはずれていない。

元のスペクトルからの変化をより明確に見えるように、元のスペクトルで、それぞれのスペクトルを割ってみた。
c0164709_19090131.gif

何れのデータも400nmより短波長で妙な形になっているけれども、これは、元のスペクトル強度が弱いことや偏光子の問題が重なっている可能性がある。

45度のデータは真っ平らにはなっていない。これは、偏光子の特性由来か、角度が正確に設置出来ていないためだろうと思う。

幾つかの細かい問題はあるけれども、大枠として、入射偏光が45度方向になるように設置すれば、可視領域のスペクトルを大きく見誤ることはないだろう。


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-07-01 19:12 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの分解能

ezSpectra 815Vの波長分解能は半値幅10nm程度とされている。線スペクトルを観察すれば、本来はシャープな線であるものが10nmの半値幅のピークとして観察されるはずである。

そこで、その辺に転がっていた殺菌灯のスペクトルを測定してみた。
c0164709_07203776.gif


まっとうな分光器で測定したスペクトルがどうなるかというと、スペクトル色々が参考になる。

比較してみると、本来線であるものがどよんと広がって、なだらかな山になっているし、600nmの少し短波長にある2本の線は分解出来ずに一つの山となっている。

ezSpectra815Vは256素子で大凡500nmの領域をカバーしており、データは約2nmおきとなっている。このデータ間隔を考えると、分解能10nmというのはいい線であるように思う。分解能がもっと高いと、線スペクトルを測定したときに、1素子しか信号を拾わず、ノイズか信号かの区別が付かないなんて状況も出現しかねない。

ところで、半値幅には全半値幅と半半値幅があり、両者では実質的な値が倍ことなっている。どちらなのかとスペクトルを横に広げてみると、どうやら、全半値幅であるようだ。



[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-29 07:21 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの表示最大値にたいする検出器余裕量と、透過スペクトルの閾値

前のエントリーではハロゲンランプのスペクトルを検出器の生出力に変換した図をしめした。検出ユニットの感度分布は浜松ホトニクスのカタログから拾って作ったものだ。
c0164709_08405203.gif

この分布図を見ると、490nm付近が感度最大で、ハロゲン光でのスペクトルが最大だった長波長側では4割程度に落ちている。ただし、この感度分布は、回折格子の回折効率の波長依存性も含まれたもので、光検出素子自体の波長感度特性は、この図とは異なることは注意しておく必要がある。

700nmあたりは、最大感度の5割強程度。自動露光時間調整の250msの倍の500msあたりから700nmの飽和が始まったのが納得できるところだ。

感度分布を眺めていると、ezSpectra815Vのスペクトルの縦軸の目盛りは、相対感度が最大の波長での飽和値を元に設定しているであることが予想できる。そこで、どの程度の余裕をもって最大目盛り設定しているか、確かめてみることにした。

フィルターを組み合わせて、500nmあたりに最大強度が来るように調整する。この時点で自動露出をすると、露光時間はほぼ50ms。
c0164709_08425404.gif

露光時間を56msまでふやすと、500nmあたりの値が1になる。
c0164709_08432444.gif

露光時間60msではまだスペクトル形状は乱れていないのだけれども、65msにすると500nm付近にへこみが生じる。56msで最大値になっていたことを考えると、15%程度の余裕を見込んだ設定になっているようだ。
c0164709_08412673.gif


eZSpectra815Vの透過モードでは、参照光の強度が弱い部分は測定範囲対象外となる。どの程度まで強度が落ちると測定範囲から外れるのかを荒く見積もってみた。

前のハロゲンでの吸収スペクトル測定では露光時間250msの時に415nmが境になっており、この波長での発光スペクトルの強度は9.4%程度。浜松ホトニクスのデータから相対感度を拾うと、約0.79。上に記した、フルスケールに対する15%程度の余裕も考えると、この時のこの波長での信号の生強度は6%程度。他の波長では5%程度の値がでてきており、だいたい、5~7%あたりに閾値があるようだ。






[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-25 08:45 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの露光オーバーによるスペクトルの歪み発生位置

ezSpectra 815Vのスペクトルデータから検出器の実際の信号強度を求めるのには、波長ごとの感度分布が分かっていればよい。スペクトルデータは、生信号を感度分布で割って補正しているはずなので、スペクトルデータに感度分布をかければ生信号に比例する分布が得られる。
装置ごとの校正データを読み出せるかは試みていないけれど、浜松ホトニクスのカタログに、典型的な感度分布の図がある。さすがに、波長ごとの数値データは出ていないので、図から値のデータを起こす必要がある。
とりあえず、手作業で10nmごとに適当に値を拾った。そのデータを使って、ハロゲン光のスペクトルに掛け合わせて見た。
c0164709_20520216.gif


図を見ると、スペクトルデータは長波長側が強くなっているが、検出器の出力は、少し短波長よりの700nmあたりが最大になっている。まさに、前のエントリーでスペクトルの形状がおかしくなり始めたあたりだ。


では、元のスペクトルはどうなっているのかと、最大強度を1に規格化して重ねてみた。自動露光調整では、露光時間はほぼ250msだったので、そこから50msずつふやして行っている。実データは、前のエントリーで出したように、完全にオーバーフローしている。でも450msまでは250msとぴったり重なっていて、スペクトルデータとしては問題がない。
c0164709_20520185.gif

露光時間が500msになると、700nmあたりにずれが生じ、露光時間をさらに長くすると、その幅が広がっていく。広がり方が短波長の方が広いのも、元の強度分布の傾向と一致している。ただし、どこまでオーバーフローさせても大丈夫かは、スペクトル形状とスペクトルのピーク波長に依存するので、一概には決められない。

どこまでオーバーフローしても大丈夫かは、補正していない信号を見られれば一目瞭然だ。透過測定が中心的な使い方になる身としては、いちいち補正して考えるのはめんどくさいので、未補正信号が見られるほうがありがたい次第だ。


[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-21 20:53 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの透過測定と検出器飽和

ezSpectra 815Vの透過測定モードでは、最初に参照信号を測定して、その後に試料の信号を測定する。これは、シングルビームの分光測定では普通のやり方だ。

ezSpectra815Vの測定範囲は320nmからのはずなんだけれど、参照信号の測定をすると信号強度が弱い領域にアミがかかって、その領域は測定対象外となる。これは自動設定で、現状では、S/Nが悪くてもスペクトルを見たいというわがままは許されない。

ハロゲンランプを光源に使って、黄色フィルターのスペクトル測定を行った。黄色フィルターは、20世紀の白黒写真が普通だった頃に、空に浮かぶ雲をハッキリと撮影するのに使われていた品だ。だいたい500nmより短波長の光を吸収して、長波長側はほぼ透過する。

参照信号の測定時間を自動調整にした状態で、測定範囲は415nmからになる。透過モードでは参照信号を記録できないので、発光測定モードで測定した参照信号を規格化しないで表示している。
c0164709_21175917.gif


c0164709_21175905.gif





測定結果を見ると、吸収の最大が1.6程度なんだけれど、黄色フィルターだったら余裕で2は超えて3以上にはなってほしいところだ。短波長側の参照光強度をあげれば状況が改善するかなと、長波長側がオーバーフローするまで積算時間を上げて、スペクトル測定を行ってみた。
c0164709_21180065.gif

c0164709_21180027.gif




短波長側の測定範囲は400nmより短波長になったけれど、スペクトル形状はあまり変わっていない。全うに測定できている。そこで調子にのって、さらに積算時間を上げて測定すると、さらに短波長まで測定できた。
c0164709_21180056.gif

c0164709_21175913.gif



でも、650~700nm付近がへこんでしまってまともにスペクトルになっていない。これは、この領域で検出器の信号が飽和してしまっているためだ。

自動設定の参照信号を見ると、この領域よりさらに長波長の方が信号強度が高い。このため、飽和は長波長側から起こりそうなものだけれど、表示されているのは生の信号強度ではなく波長ごとの感度補正を行ったデータであり、生データは650~700nmあたりから飽和していておかしくない。生の信号強度を表示するモードがあれば、飽和しているかとか、どの波長が飽和しそうかなどが一目瞭然なので、生の信号強度が見られるモードがあると、透過測定にはありがたいところだ。

今回の参照光の波長分布では650~700nmあたりが最初に飽和するであろうことは、浜松ホトニクスのカタログから、ざっくりとは確認できる。それは、改めて。

[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-20 21:26 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra815Vのスペクトル強度校正について

ezSpectra 815V用のソフトウエアは楢ノ木技研さんのWebからダウンロードできる。ソフトウエアには発光測定モードと、透過率測定モードがあり、発光測定モードでは、スペクトルの他、演色性も、照度も計測できる。偏光依存性のエントリーで演色性や色温度は発光測定モードで行っている。

多くの人にとっては、これらの測定が出来るのは当り前の事なんだろうと思うけれども、普通の分光器を使ったことのある身としては、演色性や照度が計測出来てしまうのは驚きだ。これらの値を出すためには、分光器のそれぞれの波長毎の測定感度補正が行われていないといけないからだ。

大昔に分光測定を習ったときに言われたのは、分光測定は相対強度測定が基本だということ。光源にも、分光器にも、光検出素子にも波長依存性がある。このため、測定で得られた信号値は、そのまま光強度にはならない。透過率測定では、試料を入れない状態を参照基準として、それに対して試料を入れるとどれだけ光量が減っているかを測定する。これなら、光源やら分光器の装置係数は参照と測定で相殺して問題にならない。

透過測定ではなく、蛍光の強度分布を求めたい時などは、標準電球という校正された光源の測定を行い、分光システムの感度分布を測定して校正値を得て、それをもとに強度分布を描き直す。それでも、強度分布が相対的に正しいだけで、縦軸の絶対値を求めるようにするには、さらなる注意が必要になる。

演色性や照度計算が出来ているということは、メーカー側で校正を行った時のデータを内部に持って、生データを演算処理していることになる。浜松ホトニクスのカタログには、波長の絶対値は校正データを出しているが、感度分布のデータは出していないと記されているので、感度分布校正データを作っているのは楢ノ木技研さんだ。

校正用のシステムはかなり高価だ。ezSpectra 815Vを数十台売っても元が取れるとは思えない。開発費や校正のための設備投資をどうやってまかなっているのか不思議だったのだけれど、どうやら、Web販売の他にOEMでの提供をおこなっているようだ。(というか、OEMの方の数が多くて、その予備をWeb販売しているぐらいじゃないと元が取れる気がしない。)
ソフトウエアはOEM先も使っているようで、測定ソフトウエアが親切なのは、OEM先の想定用途が分光素人さんのだからかもしれない。でも……、普通の分光器も使っている身からすると、透過測定モードは、もっと不親切にしてほしい。透過測定モードは、センサーから出てきた生の信号ではなく、強度補正をした後のデータを使って計算をしていると推定出来るのだけれど、そのため、センサーの飽和値が読みにくく、測定全域でS/Nをあげるための光源波長分布を定めにくいのだ。といっても、何を問題にしているのか分りにくいと思うので、次回は測定データを元に、この話題をもう少し展開しようと思っている。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-19 20:33 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの偏光依存性

一般に回折格子分光器の特性は入射偏光により異なっている。楢ノ木技研のezSpectra 815Vの分光ユニットは回折格子分光器なので、ezSpectra 815Vの出力特性には入射偏光依存性があると予想される。そこで、入射偏光による特性の違いを眺めてみることにした。手近にある偏光光源としては液晶ディスプレイが使える。液晶ディスプレイでもスマートフォンやタブレットでは出射が直線偏光でないものもあるが、テレビやコンピュータディスプレイはまず直線偏光である。

c0164709_20555065.gif

c0164709_20555066.gif



測定例は、ノートPCの白色にした画面を測定したもの。分光器を90度回している。この測定で一つだけ注意が必要なのは、TNタイプのディスプレイだと偏光が45度方向なので、分光器を0度と90度で測定すると、ほぼ同じスペクトルが得られてしまうこと。測定の前に、その辺に転がっている偏光素子で偏光の向きを確認しておく必要がある。偏光子がないなら……ディスプレイに白色画面を広げてハイディンガーのブラシを見ればよい。

ezSpectra 815Vのスペクトル測定では、ピーク値を1に規格化してくれる親切モードもある。しかし、それだと2つの測定結果の相対感度比が分らなくなる。ここでは、規格化なしのモードで表示している。図をみると、青色付近は感度は同程度だが、長波長側はだいぶ異なっている。

長波長側の感度が低い偏光では色温度が高く測定されているはずである。そこで、演色性評価モードで2つの方向で色温度を測ってみると、赤のスペクトルが強い方で5900K、弱い方で8200Kだった。他のディスプレイでも試してみたけれど、それぞれ5300Kと8300K、4800Kと6700Kという結果になった。いずれも、誤差とは言えない大きな違いとなっている。この分光器で液晶ディスプレイの色温度を評価する時には注意が必要だ。

色再現域の評価に関しては、はR、G、Bの一つの色だけ点灯してそのスペクトルから色座標のxy値を求める。この時は、xy値の計算に関わるスペクトル範囲は狭いので偏光方向による誤差は小さく問題にならないだろうと思う。

色温度にしろ、色再現域にしろ、誤差を減らしたいなら、分光器の一辺を偏光に対して45度方向に傾けて測定すると良いだろう。この角度で最初のディスプレイの色温度は6700Kと出てきた。このやり方は分光がらみの実験技術の本にも書いてある話だ。こうすれば、両方の偏光特性の影響が平均される。ezSpectra 815Vの校正は無偏光で行われているだろうから、入射直線偏光を2方向に同じだけ振り分けてやれば無偏光の時と同じ結果を与えるはずだ。

偏光による測定誤差を防ぐもう一つは、入射口の前に偏光解消光学系をつけること。たとえば、光ファイバーで入力するUSB接続分光器は光ファイバーで偏光が乱れるために、ファイバーに偏光を入れても大丈夫であることが多い。ただ、一般に偏光をきちんと解消するのは楽ではない。

ところで、スペクトル測定データを注意深く眺めると、短波長の端と長波長の端の浮上がりレベルが、偏光方向で異なっている。一方の偏光ではほぼ見られないことと合わせて、これらの浮上がりは、実際にこの波長の光によるものではなく、「迷光」(他の波長の光の影響)によるものと考えられる。測定結果は迷光にも偏光依存性があることを示している。実は、非偏光で迷光について、少し測定していたのだけれど、この結果を見て、偏光で測定しなおさないといけないかなぁと思案している。

[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-16 20:59 | 科学系 | Comments(0)

ezSpectra 815Vの分光ユニット

ezSpectra 815Vの写真を最初に見たときには、どうやって分光しているのか想像できなかった。
c0164709_17105770.jpg

銀色の箱の穴が受光部分だけれど箱のサイズは1×1×2cm程度。MEMS技術を使ったという文言から思い浮ぶのはMEMS駆動のlamellar回折格子を使ったFT分光器なんだけれども、それならセンサーは1個のはず。256素子のアレーセンサーは回折格子を使ったポリクロメータを意味しているはず。

分光器の機構とは別に疑問だったのは、銀の箱の作者が楢ノ木技研さんかどうか。もちろん、ベンチャー企業がコンパクトな分光器を作ってはいけないということはないんだけれども、楢の木技研さんの住所を地図で調べると山の中の一軒家。一軒家の様子が見られないかとストリートビューを試して見るも、だいぶ手前の林道で終わっているような所。山の中の秘密研究所というとわくわくするものがあるけれども、密かにクリーンルームを持っていて、MEMS技術を使った品物を開発しているとは思えない。もちろん、ファブレスで外注の可能性はあるけれども。ちなみに、所在地の周りの林は、現在の航空写真では葉っぱが茂っていて樹木の特定ができないけれど、前の秋や冬撮影の写真からすると落葉樹中心の模様。技研の名前とあわせて、ミズナラ林と想像している。ただ、何故か頭の中では「樅ノ木技研」となっていた、さらに技研さんのツイッターを眺めているうちに「やまねこ技研」に変換されるようになり、頭の中では「やまねこ技研の分光器の仕組みは……」なんて具合になっている。

これらの疑問は、浜松ホトニクス(こちらは、フォトニクスと頭に入っていたよ。そういえば、だいぶ前、浜松さんの商品のパッケージに、Photon is our business. とか書いてあるのを見て蘇格蘭人が「こいつら光子を一個一個売ってるのか」と笑い転げていた。)のWebでマイクロ分光器C12666MAを見つけて解消した。見た目も分光範囲などのスペックも同じで、この分光ユニットか、その特注品を使っていると考えるのが素直なところだ。

浜松テレビ(これは旧社名だ)のカタログには光路図がある。穴の奥にはスリットがあり、そして、ベースの上に凹面のブレーズ回折格子が作り付けてあり、そこで分光した光がスリットの横にあるラインセンサーに結像する仕組みだ。穴の部分にはガラス窓が付いているので、埃が内部に入り込む心配はない。実物が届くまでは埃がスリット部分に集ったり、内部に入るとまずいので、測定しない時はテープで窓をふさがなければと思ったいたけれど、それは杞憂に終った。

でも、光路図を見て、えっと……、どこが動くのでしょうか?動作部分が見当たらないんですけれども……と不審がっている。まさか、凹面回折格子の曲率を変えてるとも思えないし、ブレーズ角がMEMS技術で可変とも思えない……。

どうも、MEMS技術というのは機械的駆動という意味ではなく、深掘りのエッチングでスリットを作っているというあたりの話のような気がする。
c0164709_17105702.jpg


個人的には、MEMS技術を用いてと書かれると動きがないだけに違和感があるところだ。

それでも、可視領域の分光ユニットがほぼ2立方cmで実現できていて、5万円もしない価格で販売されているのは、256素子で、分解能が10nm以下だとしても驚異なことで技術の進歩の有難みを感じている。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-14 21:20 | 科学系 | Comments(0)

短信:オタマジャクシ不在

5月末にわらわらと上陸活動をしていた人々、まだ足がでてないのが残っていた気がしたのだけれど、その後一向に見かけない。
ここ数年、7月頃まで足も出ていないのが泳いでいて不思議だったのだけれど、今年は、あるべき姿に戻ったような感じだ。春先に、なかなかオタマジャクシが見られずに異常な年だと思っていたけれど、上陸後の様子はあるべき姿になったようだ。
などと書いていると、4月の記事の後のように、明日あたり、うようよと足も出ていないのが泳いでいるかもしれないけれど……
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-12 20:25 | 動物系 | Comments(0)

予告編:楢ノ木技研USBスペクトロメーター ezSpectra 815Vで遊んで見る

分光測定というと、机の上を占拠する自記分光光度計を使うか、分光器やら光源やらを組み合わせるのが普通だったのだけれども、ファイバー入力でUSB接続可能なポリクロメータが出現して大きく様変わりした。大きさ的には、一家に一台あっても邪魔にならない位なんだけれども、値段的には一家に一台とはならないような価格なので、さすがにふらふらと買い込めず、このブログでも回折格子フィルムとデジタルカメラの組み合わせでの分光器を作ってみたりしていた。
数日前、何かの弾みでディスプレイのスペクトル計測の頁に行き着き、そこで使われている分光器のメーカーである楢ノ木技研さんのWebをのぞいてみたら、入門クラスの一眼デジタルカメラ程度で買える分光器を売っている。
さすがに、ファイバー入力の分光器が2000から4000チャンネルあるのに対して、256チャンネルで、分解能もそれなりだけれども、一家に一台の分光器としては十分な性能を持っている。最初に見たサイトには、すぐに売り切れになるようなことが書いてあったのだけれど、そんな様子もなく、普通に売っていたので、気軽に一台発注してみた。その後、品切れになっているので、危ないところではあった。

ezSpectra 815Vは基板の上に実装されているだけなので、取り扱いに注意が必要。そこで、一緒にezSpectra 815V用簡易ケースも注文している。ケースにくるまない写真は楢ノ木技研さんのWebにもあるので、ここでは、ケースに収めた様子。
c0164709_17105793.jpg

銀色のところの真中が受光窓。横からだと
c0164709_17114157.jpg

と、なかなかにコンパクト。簡易ケースは側面はあいているので、毎度おなじみのmtテープを貼って側面は塞いでいる。
接続はμUSBのAタイプ。

やってきて数日遊んだ範囲で、ディスプレイ画面や、LED電球のスペクトルや演色性を評価するにはこのままで十二分の性能。でも、顕微鏡に取り付けて顕微分光をしたり、あるいは、簡易な透過スペクトル測定装置なんかにするのには、癖を理解して最適化する必要がある。たとえば、「ディスプレイのスペクトル計測」記事の白熱電球と太陽のスペクトルは紫外に迷光がのっているし、長波長側に機器由来の振動構造が生じており、その低減が分光測定には重要だ。


このユニット、発売から1年以上たっているのだけれど、Web上の情報が多くはない。価格と性能を考えると、高校なんかの課題研究の道具としてもすごく使える気がする。ので、不定期連載で、取り上げていくつもりでいる。

※このシリーズ、プロジェクトTタグをつけることにしました。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-11 17:22 | 科学系 | Comments(0)

大違い

ゾウリムシ、顕微鏡で眺めてみる
c0164709_09120916.jpg

前のエントリーの図のようなやつが見える訳だけれども、でも、図からのイメージとは大違いだ。
いや、図を眺めた時点では、ゾウリムシの体は平べったくて、図の面を保ったままずりずりと進んでいくと思っていた。でも実際のゾウリムシはなめらかだけれども、単純な体型ではなく、長軸周りの回転をしながら動いていく。これは、静止画には反映させにくい。
記憶の限りで、ゾウリムシを直接眺めるのは初めて。動画は見たことはあるかもしれないけれども、そんなのは、あまり注意して見ていないわけで、自分の目で見るとずいぶんと違った印象になる。
とりあえず、位相差で眺めてみた
c0164709_09120909.jpg

確かに単純な透過では見づらい組織も写っていて、この手の生物研究には位相差が強力なのは実感できる。透過の微分干渉は手持ちがないのだけれど、偏光で見てみると
c0164709_09120974.jpg

組織中に複屈折のある部分が見られる。でもこれじゃ全体の輪郭などが見られないので、鋭敏色板を入れてみた。
c0164709_09120971.jpg

動きは速いので、対物の倍率を上げると視野の中で止められないので、とりあえず、PVAの粉末を散らしてみると、その近辺では、動きが悪くなって、対物の倍率を上げても、視野の中にとらえられるようになる。
c0164709_09120942.jpg

c0164709_09121003.jpg

一部の組織が大きな複屈折を持っていることから、そこそこ複屈折性のあるものが集中していて、しかも、向きによっては、ほぼ複屈折を与えないので、並んでいる構造であることがわかる。
いや、なかなかおもしろいんだけれど、この個体、この後破裂した……
つまり、お亡くなりになってしまった訳で、カバーガラスの外にいた個体も、水の蒸発でひからびていて……
毎日意識せずに、数え切れないほどの微生物を殺しているし、動物の死骸を食べているわけだけれども、目の前で破裂されると悪いことしたなぁという気分になってしまう。
生物系の研究者には向いていない気がする。
[PR]
# by ZAM20F2 | 2017-06-11 09:26 | Comments(0)