タグ:プロジェクトLC ( 40 ) タグの人気記事

3D 液晶表示パネル

N社のポータブルの3Dゲーム機は、特殊なメガネをかけなくても立体的に画像が見られるようになっている。3D効果の程度は調整でき、3Dでなく普通の2Dの表示素子としても使う事ができる。どうやっているのかなと思って10倍のルーペで覗いてみたら、2組の画素があって、角度により一方が見えるような作りになっているようだ。で、顕微鏡で写真を撮ってみることにした。
c0164709_18281047.jpg

これは、液晶画素にピントがあう位置からおよそ0.6mm手前にピントを合わせた状態。ここから0.2mmずつピントをずらしていくと
c0164709_18281328.jpg

c0164709_18281658.jpg

c0164709_18281983.jpg

となる。
一応、ピントを合わせ直して
c0164709_18282799.jpg

それから、対物レンズの直前に黒い紙を入れて、対物レンズを半分だけ隠すようにした。
c0164709_18283028.jpg

逆の半分を隠すと
c0164709_18283344.jpg

となる。液晶画素より手前にあるストライプ状のマスクのために、角度をつけてみると、2組の画素のうちの一方しか見えないようになっている。
対物はNA0.13の4倍を使っている。画面自体が発光体なので、普通の低倍率の顕微鏡でこんな遊びができると思う。科学教室の題材としては悪くないかもしれない。
[PR]
by ZAM20F2 | 2013-04-27 18:33 | 顕微系 | Comments(0)

メモ 備忘録として(2)

しばらく前に、備忘録として、世界で初めてTFT液晶を実用化したのがホシデンというメーカーであったという話を記したけれど、たまたま、ホシデンにいた方と話をする機会があったので、少しばかり話を伺った。といってもお酒の席だったし、時間も限られていたので断片的なものであるし、きちんと複数のソースから確認したものではないのだけれども、備忘録その2として上げておくことにした。内容に関しては、そんなわけで、必ずしも正しくないところが含まれていると思う。

TFT(薄膜トランジスタ)駆動液晶を最初に実用レベルにしたのは、ホシデンであるという点はOK。当時、ホシデンは太陽電池などはやっておらず、TFTの液晶表示をやったのは、当時の上層部の判断によるもの。先見性があった。TFTの液晶表示に関する発表をSIDで行ったところ、米国B社からコックピットの表示装置としての引き合いがあった。B社の求める仕様はレベルが高く、それを満たすための技術開発から生まれたものが、ホシデンの普通のTFTのレベルアップに寄与している。
TFT液晶では、液晶に電気を流す不純物があると性能が低下するので、それが少ないフッ素系の液晶が使われているが、M社がそれを開発する以前に、ホシデンではそれに掃討する品を見つけて使っていた。それは、某国内メーカーが車載用の液晶として開発した物で、M社が最初にTFT用として開発した液晶より優れた特性を持っていた。
ホシデンがその後、液晶業界で生き残れなかったのは、会社の規模が小さく、大型の投資が出来なかったため。第5世代のラインを自社のみでは作れず、フィリップスと提携することになった。

前に聞いた話では、ホシデンの液晶が立ちゆかなくなったのは、阪神淡路大震災で工場が被災したのが切っ掛けだったという話だけれども、今回は、それは関係なく単に会社の規模故であるという話であった。ストーリー的には大震災由来の方が、ドラマチックなわけだけれども、正直なところ、どちらなのかはもう少し色々な人の話を聞かなければ分からないだろうと思う。今回話を伺ったのは、ホシデンにいたエンジニアの方で、前回は外部の方。単純には今回の方が内部情報であるのだけれど、前回の方の方は上層部の話を直接聞きうるし、外から状況を見ることもできるので、そういう意味で客観性が高い可能性もある。
今回の話でもう一つ面白かったのは、TFT駆動用の液晶として、日本メーカーが意識することなく(多分)使える製品を作っていたということ。だいぶ前に液晶関連の講演会で、上記の車載用の液晶を作っていたのではない方の国内の液晶メーカーの人が、当時はSTN用の液晶材料の開発に注力していたために、TFT用液晶の開発に遅れを取ったという話をしていた。それとは違うメーカーとはいえ、すでにTFT用に使える液晶を作っていたメーカーがあったにも係わらず、その後は、M社の独擅場になっているのは、先見性の違いというやつなのかもしれない。
もっとも…、もとH社の人に聞いた話では、当時のM社はSTN用の液晶開発で遅れをとっていて、もはや液晶材料から撤退するかという状況に追い込まれていて、次世代の液晶ということでH社に相談にも来て、そこで、TFT用を薦めたという。このあたり、誰がTFTの将来はいち早く(どのような理由で)認識して動いていたのかは興味がある。ただ、TFTについては、サンシャイン計画でTFTにつながる技術に大金が投入されていたことが、その発展に寄与したのは間違いないのだろうけれども、今回の話からすると、ホシデンは、その投入された大金の外にいた模様で、それは面白いところだ。
[PR]
by ZAM20F2 | 2012-07-13 06:10 | 液晶系 | Comments(0)

LWDコンデンサ(自宅で出来る液晶観察:番外編)

液晶観察では試料を室温以上に保持するためにホットステージを用いる。そうなると、顕微鏡ステージから試料面までの位置が10mm程度は高くなる。一方、市販の普通のコンデンサレンズは作動距離が1mm程度しかないため、ホットステージ組み合わせだときちんとしたケラー照明ができない。
ニコンでは作動距離10mmのコンデンサを出しているけれど、この前作ったホットステージは、試料面まで13~14mmはある。また、ニコンの長作動距離コンデンサはネットオークションにめったに出てこない。現行商品なので定価で買うことはできるので、最終手段はそれだとしても、もう一声作動距離が欲しいのである。
などという話をしていたら、ご近所さんが「それなら倒立顕微鏡用のLWDコンデンサが使えますよ」と教えてくれて、また、オークションの出品情報も伝えてくれた。
という事情をへて、家にやってきたコンデンサを顕微鏡につけてみたところ。
c0164709_834285.jpg

その状態で、視野絞りを開いた画像
c0164709_834030.jpg

と視野絞りを閉めた画像
c0164709_83331.jpg

きちんと視野絞りの輪郭が出ていて、幸せな気分になりますね。
ご近所さんから教えていただいた情報は、人によっては数十万円の価値がある。それを、教えて下さった方に断りなく、Webに上げてしまったわけだけれども、こんなWebを見てその情報を生かせる人は、かなり顕微鏡についての知識を持っている人に限られるので、良いかなと考えた次第。
ちなみに数十万円という意味は、偏光顕微鏡用のホットステージに対応できる作動距離のコンデンサは、米国のホットステージメーカーが出しているのだけれど、その価格。昔、人に相談されて教えたことがあり、その人はそれを買ったようなのだけれど…。今回のことがばれませんように……………
[PR]
by ZAM20F2 | 2012-02-27 08:25 | 科学系 | Comments(0)

加熱ステージ図面 (自宅でできる液晶観察:36)

しばらく前に写真を出したホットステージ(昇温ステージ)の中心部分の図面
c0164709_745352.gif

外側の6箇所の穴は上下の板を止めるためのもの。図ではφ4になっているが、これは下の板をM4にしたため。バカ穴にしてナットで止めるならφ3で良いと思う。
ちゅうしんお穴は最初はφ3で貫通して明けて、下はその後φ8程度のドリルで貫通し、上は一面をφ3に残して下から穴を拡げた。これは、照明光が穴の側面に当たって妙なフレアーを出さないようにするため。なにしろ、側面での反射では偏光が乱れるので偏光顕微鏡では大きなフレアーとなる。
φ3の穴は、ドリルであけると、どうしても微妙に周りが盛り上がる。ので、開け終わってから、細かめの紙やすりやラッピングフォイルで平になるように処理した方がよい。穴の大きさは、経験的には4だと大きすぎて、穴の中心と周囲で結構な温度差ができる気がする。
この2枚の板に80Wのハンダごてヒーターを挟んでいる。結構悪くない。
[PR]
by ZAM20F2 | 2012-02-03 07:56 | 科学系 | Comments(0)

スパチュラを削る (自宅でできる液晶観察:35)

液晶材料をセルに入れる時、室温で固体の物質の場合はセルをホットステージに載せて、等方相になる温度にしておき、そこにスパチュラで液晶を置く。すると、液晶は溶けて、毛細管現象でセルに吸い込まれていく。
この時、のせる液晶試料の量はかなり少ない。何しろ、セルの厚さは場合によると数ミクロンなのでセルサイズが1cm平方の場合は、mg程度以下で十分なのである。人によっては、針の先などで液晶の粉を拾うみたいだけれど、個人的にはスパチュラを使っている。のだけれど、普通のスパチュラは幅が広すぎて、使い勝手がよくない。
そこで、ヤスリで削って、細身にする。
c0164709_1856852.jpg

これは、もとのスパチュラと削ったスパチュラ
c0164709_1856698.jpg

尻尾のところを見ると、随分と努力した跡がみえると思う。
c0164709_1856393.jpg

頭の方も削っているけれど、角度がわるくてちょっと見にくいかもしれない。
削るのは普通の鉄鋼ヤスリを使って適当なサイズまで狭めて、後は、耐水ペーパーで傷を消していく。最近は、体だものなので、途中からミニルーターを使って、磨きをかけている。
結構、幅を狭くしてしまってよい。また、少し薄めにした方が使いやすいように思う。
[PR]
by zam20f2 | 2011-07-17 19:03 | 科学系 | Comments(0)

MBBAの小分け(自宅で出来る液晶観察34)

・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

ここのところ、液晶の組織写真をアップしながら、自宅でできる液晶観察のタイトルをあげていないのは、MBBA/Cho-Mysをのぞいては、そこらでは手に入りにくいものがどこかで使われているためである。そして、MBBA/Cho-Mysに看板を掲げていないのは、液晶の組織写真というよりは、なんか、おもしろいパターンだなぁという意識で撮影されたもので、これをもとに課題研究論文などを書いたりはできないものだからである。
これまでに出している組織写真は、手に入りにくいものが使われていると記したけれども、fingerprintやOily streaks組織は、MBBAとCho-Mysの混合系でも作り出せるはずで、そのうちに(いつになるかわからないけれど)その写真は「自宅でできる」シリーズであげる予定である。
そのためには、MBBAとCho-Mysを適当な分量で混ぜ合わせないといけないので、近日中に何種類顔混合を試みようと思っている。とはいえ、気温も高くなり、湿度も高い季節となってきたので、元の瓶からMBBAを取り出していると、あける度に忍び込む湿気によって、劣化する危険性がある。そこで、MBBAを小分けにすることにした。こうすれば、一本が使用中に劣化しても、残りはましな状態で保てる。
瓶は、ガラスの試料瓶。茶褐色の方がよいのだけえど、Cho-Mysと混ぜる時には中の色が素直に見えた方がよいので、透明なのを買ってしまった。もとの瓶から移すと約3本。
c0164709_1745286.jpg


口にビニールテープを巻いて機密性をあげる。
c0164709_1745084.jpg


さらに光を遮るためにアルミ箔を巻く。あとは、シリカゲルとともに、密閉容器で保存だ。
c0164709_17445793.jpg


ところで、元の瓶から移す作業中に結構はでに手にMBBAをぶちまけてしまった。プラスチックの使い捨てのスポイトを使っていたのだけれど、それが裂けて吹き出したMBBAが手に掛かったのである。いやぁ、驚きました。

このシリーズの記事では一番上に、手袋をしろと記しているにもかかわらず、自分では手袋をしていなかったわけだ……………。

というわけで、このような作業の時に手袋をしていなかった言い訳と、その後にどのような処置をすべきかについて、少しばかり記しておく。

まず手袋についていうと、ラテックスなどの手袋をしていれば、手の甲にMBBAをぶちまけるのは完全に防げた。そういう意味では手袋をしていなかったのは油断していたといわれてもしょうがない状況だ。ただ、手袋の傷などから薬品がしみこんで被害が拡大することなどもあるし、どうしても操作性が悪くなるので、事故率は少しは増えるだろうと思う。また、手袋自体がアレルギーなどを引き起こす可能性もある。
学校などでMBBAを扱う時には上にも記すように、手袋は必ず着用すべきだけれど(そのときには、ポリエチレンベースの滑りやすいものでなく、すべりにくく、操作性の良いものをえらぶこと)、家で作業する場合には、使っている物質の危険度を承知しているならグレーくらいかと思っている。
ちなみに、プラスチックのスポイトが裂けた翌日に、ガラスの駒込ピペットを買ってきて残りの液晶の移し換えを手袋なしで行っている(反省がない…)。

手に着いたMBBAの処理だけれど、流水と石鹸で洗い流すのが最善の方法である。石鹸は液体石鹸の方が扱いが楽なので流しに用意しておくとよい。まず、水でざっくり流して、それから多めに石鹸をつけて洗い流す。石鹸で洗い流す作業は複数回繰り返す。MBBAは特有の臭いがあるので、それを感じなくなるまでが一つの目安である。
今回は、その後で小指の外側に小さな発疹が見られたので、そこを含めて、ステロイド軟膏を塗った。
気になるなら、皮膚科を受診する方がよいとおもうのだけれど、経験的には皮膚科に行っても、それ以上のことをやってもらえることは少ない。もちろん、医者の方がステロイド含有量の高い軟膏を処方できるので、本気でかぶれた場合には医者にいくべきだけれども、液晶化合物の名称を教えたところで、症状が既知の化学薬品ではないために、一般的な対処しかしてもらえないことが多いように思う。今回は、翌日ぐらいまでステロイド軟膏を塗って様子をみていたけれど、短期的には症状がでることはなかった。
[PR]
by zam20f2 | 2011-05-29 17:46 | 科学系 | Comments(0)

液晶試料をながめてみる(自宅で出来る液晶観察33)


・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

まず、MBBAの様子を見てみることにしましょう。MBBAは融点が20℃程度ですので、それ以下の気温になると、かたまった固体になっていることがあります。このような時は体温で暖めれば液晶状態になります。未開封の試料でしたら、ポケットにでも入れて暖めてもかまいませんが、一度開封した試料では、瓶の外側に試薬が付着していないとは限りませんので、体温で暖めるにしても、瓶をポリ袋に入れるなどして不用意に試薬が皮膚や衣服についてしまわないように気をつけて下さい。
液晶状態や液体の試料は、ピペットなどで取り出すのですが、その後の洗浄(ピペットの内側の洗浄は廃液等の問題もありますので、家ではあまり行わない方がよいかもしれません)の問題などがありますので、ガラス棒やスパチュラを浸して、周りに付着した液体を使えばよいと思います。何しろ、実験に使う量は、一度にはわずかですので。棒やスパチュラなら、その後はティッシュやキムワイプで拭って、ポリ袋にいれて捨てれば大丈夫だと思います。また、固体のままの試料をスパチュラで取り出すのでもかまいません。

取り出した液晶をスライドガラスの真ん中に置き、両側に比較のために、水とレモン果汁を垂らしてみました。水は普通の液体の代表として使っています。レモン果汁は濁った液体の代表として使っています。最初は牛乳を使おうと思ったのですが、見た目の感じがよりMBBAに近いレモン果汁があったので、それを使ってみました。
c0164709_21173414.jpg


3種類とも液体ですから、表面張力により丸く盛り上がっています。水だけは透明ですので、この状態で仲間はずれが何かを考えたら、水という答えが一番多くなるのではないかと思います。

では、これら3つの液体を偏光顕微鏡で見ることにしましょう。偏光顕微鏡は、普通の顕微鏡の光源側に偏光子、接眼レンズ側に偏光子が入っていて、両方の透過容易軸が直交状態になっている顕微鏡です。2枚の偏光子の軸を直角に配置すると、1枚目の偏光子でつくられた直線偏光は2枚目の偏光子を通過できないので、この状態で視野は暗くなります。

まず水を見てみましょう。画面はほぼ暗いままです。
c0164709_21172787.jpg

この状態では、何が何だかわかりにくいので、鋭敏色板と呼ばれる板を対物レンズの上、検光子の下に入れます。この板を入れると画面は赤紫になります。鋭敏色板を入れた画面では、水滴の境界線が明確に確認できますが、水滴のある部分とない部分での色の違いは見られません。
c0164709_21173014.jpg


続いて、レモン果汁を見てみます。結果は水と同じで、鋭敏色板がないと、ほぼ暗視野です。
c0164709_21172247.jpg

鋭敏色板を入れても液適の境界は見えるようになりますが、色調に変化は生じません。
c0164709_21172495.jpg


最後にMBBAです。水やレモン果汁と違い、偏光子と検光子の軸が直交した状態でも、液晶部分は明るくなっています。
c0164709_21171653.jpg


これは、この状態が液体であるにも係わらず、複屈折(屈折率が光の進む方向や偏光状態によって異なる)を持っていることを示しています。MBBAは見た目は単なる濁った液体で、コレステリック液晶のような色調を示していませんが、この複屈折性こそ、普通の液体と液晶を区別する大きな違いなのです。ちなみに鋭敏色板を入れると、MBBAの有る部分とない部分では色調が変化します。
c0164709_21171650.jpg


これは、鋭敏色板による偏光の変化が、液晶によりさらに変わるためです。

液晶は、そもそも、偏光顕微鏡によって複屈折を持つ流体であることが確認されて液体や結晶とは異なる状態として認識されました。そう言う意味でも、複屈折性の確認は液晶が何であるかを理解するためにも、見た目の着色より遙かに重要なことです。偏光顕微鏡がなくても、2枚の偏光子の間で液晶を見れば光の透過が確認できますし、普通の顕微鏡に偏光子を加えた簡易的なものでも、光の透過は確認できると思います。是非確かめてみて下さい。
[PR]
by zam20f2 | 2011-03-07 21:20 | 液晶系 | Comments(0)

試料の保存(自宅でできる液晶観察32)

・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

化学薬品の中には空気中の酸素や水分で劣化するものがあります。今回購入した物質では、MBBAは水分で劣化しますし、CMも酸素で劣化するだろうと思います。ただし、CMの方は、室温付近では固体ですので、劣化はそれほど早くは進行しないだろうと思います。
さて、薬品の保存ですが、MBBAを固体で保つためには、少なくとも日本の大部分の地方では夏には冷蔵庫に入れる必要がありますが、すぐ上にも記したように、たとえ密閉性の高い容器等にさらに入れたとしても食品用冷蔵庫には決して入れてはいけません。
うちには食品用以外の冷蔵庫も冷凍庫もありませんので室温で試料を保存することになります。この時、薬品に空気中の水分が入らないように試薬瓶の口をきちんと閉めるのは当然のことですが、それに加えて密閉した乾燥容器に入れるようにすれば、劣化を遅くすることはできます。
c0164709_2265666.jpg


密閉できる乾燥容器として、食品用と区別がつくように、ペリカン社の容器でも準備しようかと思ったのですが値段を見て、普通の食品用容器にしました。もちろん、試料と一緒に乾燥剤を入れるようにします。
c0164709_2265717.jpg


なお、液晶試料を廃棄した後は、この容器を食品用に転用したりはせずに、実験用の非食品の保存容器に使うか、使わないのなら廃棄するようにして下さい。
[PR]
by zam20f2 | 2011-03-02 22:07 | 液晶系 | Comments(0)

MBBA(自宅でできる液晶観察:31)


・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

MBBA(N-(4-Methoxybenzylidene)-4-butylaniline)は、前にも記したように、最初の室温液晶です。もちろん、石けんなど、溶液型(ライオトロピック)の液晶になる物は、その前からあったとは思いますが、室温でネマチック液晶となることを意識して合成された化合物はMBBAが最初だと思います。
MBBAは1969年にKelkerとScheurleによる論文(A Liquid-crystaline (Nematic) Phae with a particularly low solidification Point, Angwvande Chemie, International Edition Vol.8, 884(1969)で報告されました。
c0164709_8523879.jpg


液晶表示デバイスが発表されたのは1960年代の中頃です。RCAのグループによってデモンストレーションされた最初の液晶ディスプレイは、液晶になる温度が80℃程度以上の物が使われていたようです。それを液晶状態にして使っていたわけですから、文字通りホットな表示装置だったのです。さすがに、それでは実用性がないので、室温で液晶となる物質を探す努力がそれから始まり、そして、69年になって初めて室温で液晶になる物質が報告されたのです。

Kelkerらの論文ではMBBAは20~41℃で可逆的にネマチック液晶になると記されています。MBBAのネマチック相-等方相転移温度は論文によりかなり幅があり、48、47.3、47、45.9、45.8と様々な値が報告されています。同じ物質なのに、これだけ報告が分裂するのは、MBBAが空気中の水分によって容易に加水分解し、その劣化により転移温度が低下するためです。このように、報告された転移温度がばらつく場合は、高めの方が正しい可能性が高いことが多いように思います。

MBBAは誘電率の異方性の符号が負であるという特徴があります(確かそのはずです)。このため、いわゆるTN型の液晶表示を作る場合にはMBBAは使えません。また、上にも記したように劣化も早いのですが、何と言っても、液晶になる化合物としては、安価なものです(そう言っても、25gで5400円します)。もし、TN型の液晶セルを作ってみたいのでしたら、MBBAではなく4-Cyano-4'-pentylbiphenyl(5CB)を使う方が良いでしょう。但し値段は1g5100円で、25gパッケージだと5万円です。TNセルを作るだけでしたら、1gで大丈夫だと思いますが、今回はTNセルを作るつもりはないし、混ぜ物をして遊びたかったので、MBBAを選んでいます。

MBBAの瓶の裏側をみると、安全に関する注意が記してあります。
c0164709_8524520.jpg

皮膚刺激と重篤な目への刺激性の2項目が記されています。取り扱いには十分に注意して下さい
[PR]
by zam20f2 | 2011-02-26 09:02 | 液晶系 | Comments(1)

試料の廃棄方法(自宅でできる液晶観察30)

・薬品の取り扱い時にはゴムやプラスチックの手袋をして、薬品が皮膚につかないように注意して下さい。
・風通しのよい場所で作業して、蒸気を吸い込まないように注意して下さい。
・薬品の保存は要冷蔵の物であっても、食品と一緒の冷蔵庫には入れないで下さい。

実験の後で、液晶試料のついた物品を廃棄することになります。まだ、観察の話も始まっていなのに廃棄の話をするのは気が早すぎると思われるかもしれませんが、何かをやるときには、終わりまできちんと考えておかなければなりません。
企業や研究教育機関で液晶試料を扱う時には、試料は有害物質付着産業廃棄物として、きちんと区分けして処理業者に渡されます。しかし、家で実験をする場合には、産業廃棄物業者を見つけ出して処理を依頼するのは、あまり容易なことではないと思います。そこで、産業廃棄物業者に処理を依頼できなかった場合にどうするかについて、一つの考え方を次に記すことにします。一つの考え方と記しましたのは、以下の考え方は、いくつかの前提条件の下に成り立っているので、それが成り立たない場合には、おすすめできない手法となるからです。その場合には、考え方をヒントに、ご自身で処理方法を決定されるように御願いいたします。

まず、考え方の前提ですが今回扱っている物質は、毒性が高くなく、かつ、有害元素を含んでいません。MBBAもコレステロール誘導体も毒物にも劇物にも指定されていませんし、炭素、水素、酸素と窒素(MBBA)のみから構成されています。このことは、これらの物質は焼却しても、問題がないことを示しています。続いての前提は、このWebの情報を元に、自宅で液晶観察をする人の数は非常に少ないだろうということです。このことは、一般家庭ゴミに対する試料の付着したゴミの量がわずかであることを保証します。

以上の二つの前提が満たされるなら、試料を焼却すれば環境負荷なしの処理できると考えられます。ですから、液晶のついたセルを、ティッシュ等でよく拭って、液晶試料のついたティッシュをポリエチレン袋に入れて口を閉めて可燃物として家庭ゴミの処理ルートに流せば、まず問題は生じないと思います。ここで、ポリエチレン袋に入れるのは、低い確率ですが、ゴミ収集作業中に作業をされる方の皮膚等に付着するのを避けるためです。もし、ポリエチレン袋を可燃物としては処理できない場合には、ロー引きの耐水性のある紙袋などを使うことを考えてみて下さい。

残ったガラス板は、さすがに燃焼できませんので、不燃ゴミとして処理して下さい。この時、できれば、拭い切れていない試料を中性洗剤+クレンザーで洗って除去するとよいでしょう。ただし、洗うときに食物を調理する流しを使ってはいけません。また、洗うときに試料が手につかないように手袋をして下さい。

家庭ゴミとして出された、試料付きのティッシュは焼却炉で燃されます。しかし、塩素や水銀といった有害な元素を含んでいないので、燃焼後に問題になるような物は原理的に発生しません。まあ、窒素が含まれていますので、二酸化窒素は生じる可能性はありますが、窒素を含んだ可燃ゴミは食べ残しのタンパク質などもあり、それらに比べれば試料の量は無視できる程度なので、大丈夫だと思います。

ガラス板を洗うのは、液晶試料が高い濃度で一箇所に存在する状況を作らないためです。確かに板を洗うと、下水中に液晶試料が流れ出すことになりますが、洗う前にきちんとティッシュで拭っていれば、その量はかなりわずかになります。家庭からは液晶試料の他にも、水溶性の塗料の残渣とか、食品着色料とか、いろいろな有機物質が下水に流れ込みます。ここでも、やはり、液晶試料を流す人は、極めて限られているし量も少ないので、全体の中で無視できる量になると思います。

ところで、今回の瓶は10gと25gですが、これらが不要になって処分したい場合にはどうするかというと、考え方は同じで、液体のMBBAはそれなりの量のティッシュにすわせて、ポリ袋にくるんで可燃ゴミとして処分して大丈夫だろうと思います。また、コレステロール誘導体は、粉ですので、やはり飛び散らないように袋に入れて可燃ゴミとして扱うのが、一番不安の少ない方法であろうと思います。液晶セルの時に比べると一回あたりの廃棄量は格段に多いわけですが、それでも、ご近所から出てくる可燃物の量の合計に比べれば、非常にわずかな量でしかありません。

残った瓶は、中性洗剤と水をいれて栓をしてよく洗って下さい。洗浄液は地面に撒くよりは下水に流す方がよいかと思います。ただし、下水道がきちんとしていなくて、簡易処理場しかない場合には、慎重に振る舞われますように。

そして、瓶についている薬品のラベルははがしてから、瓶は不燃物として処理して下さい。薬品のラベルをはがすのは、誤解を避けるためです。基本的には毒性の少ない物質を、中身を洗って安全にしてからゴミとして出すのですが、ラベルを見ても普通の人には何であるのか、そして危険かが分からないので、ラベルがついたままだと誤解を与える可能性があるのです。無用な誤解を避けるためには、瓶のラベルをはがしてから廃棄すべきでありましょう。

この項目は、本当にこれで大丈夫か不安なこともあります。化学に詳しい方のコメントを頂ければ有り難くお願いいたします。
[PR]
by zam20f2 | 2011-02-23 21:53 | 顕微系 | Comments(0)