少し前のステージの写真で、熱電対が試料の場所ではなく、ヒーターの脇にあるのに疑問を感じた方もいるかもしれない。
確かに、ある温度にしたいのは試料であって、ヒーター付近ではない。そう考えると、温度センサーは試料のそばにあるのが筋であるような気にもなる。 しかし、熱電対をステージのそばに置いてしまうと、大きな問題が生じる。というのは、ヒーターから熱電対が離れると、熱電対がある温度となったときには、ヒーター付近はより高い温度になっており、熱電対が目標温度を示した時点で電源を切っても、ヒーター付近の余熱でさらに温度が上がってしまうのである。 それをシミュレートするために、エクセルファイルに変更を加えた。 今までは F103=IF(H103>=0,1,0) E104=E103+$B$5*(F103*$B$15-G103*$B$11)/$B$9 と、一つ前の温度を使って次のステップでヒーターを焚くかを決めていたのを E104=E103+$B$5*(OFFSET(F103,-$B$6,0)*$B$15-G103*$B$11)/$B$9 とOFFSETというコマンドを加えた。これは、F103から、$B$6の数字文だけ上のセルを参照するというコマンドで、$B$6に入れた数の文だけ遡ったセルを参考にする。 まず、値が0で遅れがない場合は ![]() なのだけれど、5セル分の遅れがあると ![]() と、温度が振動するようになる。遅れを10にすると、振動の振幅は ![]() と拡がり、20でさらに ![]() となっていく。 というわけで、温度センサーは、なるべくヒーターの側において遅れを少なくした方が、凸凹を少なくできる。 この話を最初にしったのは、大昔にロゲルギストの第三物理の散歩道の防寒夜話を読んだときだった。該当する部分を下に引用しておく。 A 寒い地方-東北だったかな-で、ハダカで寝るというところああるんだってね。もちろん、ごろ寝じゃない。ハダカでふとんにもぐりこむという意味だ。その方がねまきを着るよりあたたかいという…。 中略 C さっき、誰かが枕の話をしていたけれど、日本では大体ふとんというものは肩口をたたいておさえて寝るものだろう。ところで、寝がえりでも打って肩口にすきまができたとする。ネマキを着ていると、肩が冷えるまでに時間がかかるから、なかなか気がつかない。やっと気がついて直しても、ネマキだの、その附近のふとんだのがみな冷えきっているから、温度を回復するのに時間がかかる。ハダカで寝ていれば、肩口がすけばすぐ肩が冷えてきがつくからチョイと直す。温度の回復が速い。要するに応答時間の問題だと思うんだ。 中略 C 電気炉の自動温度調整と同じことなんだ。試料を炉のなかに入れて一定温度に保とうとする。温度計にリレー(継電器)を接続して、温度が上がりすぎたら壁のヒーターのスイッチを切り、下がりすぎたら入れるようにするのだが、この温度計を試料のそばに置くと失敗する。というのは、こうすると、ヒーターの電流が切れてから大分たってはじめて温度計の示度が下がり、リレーがはたらき、ヒーターに電流が流れはじめる。ところがそのときには炉の外側の方は冷えてしまっているからなかなかあたたまらない。試料の温度はまだ下がり続けるというわけだ。 うまくやろうと思ったら、ヒーターのすぐ内側に温度計をおいて、それでリレーを働かせるのだ。 後略
by zam20f2
| 2010-05-08 17:06
| 科学系
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