ON-OFF制御の話から時間が経ってしまったけれど、ON-OFF制御では制御点の周りで、温度が上下するわけで、一定の温度にとめるのには適した方法ではない。
一定温度で安定させるのには、ヒーターにかけるパワーを連続して調整することが、必要になる。標準的に用いられている手法は、比例制御で目標温度の上下のある幅(比例帯)の範囲で、ヒーターパワーを連続変化する。例えば目標温度が100℃で比例帯が上下10℃なら、室温から90℃まではヒーターはフルパワー。90℃以上になると、ヒーターパワーは(100-T)/20+0.5で変化し、目標温度の100℃で50%出力、110以上で0%出力となる。
次のグラフはヒーターパワー160、目標100℃、室温80℃、放熱係数1での計算である。
拡大すると
とぴったりと100℃で一定になっている。のだけれど、これは、ちょうど50%のヒーターパワーでの安定温度が100℃になる条件だからで、目標温度を200℃にすると
と、目標温度から遙かに低いところで落ち着いてしまう。この状態はヒーターパワー100%で比例帯にも入っていない。
一方、目標温度100℃で、ヒーターパワーを下げると
だし、上げると
となる。
つまり、単純な比例制御だと、温度は一定値になるけれども(もちろん、周囲の温度は一定として)、目標値に等しくなるのはそれが50%出力での平衡温度と一致した場合で、それ以外は目標温度とは異なったものになる。