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比例制御の実装(自宅でできる液晶観察26)

比例制御では、ヒーターへのパワーを0~100%で連続調整する必要がある。一番素直な方法は、フルパワーの電圧VをV*(SQRT(パワー比率))で下げる事である。例えば、パワーを50%にしたかったら、0.5の平方根は0.71なので、電圧を100%時の71%にすればよい。そうすれば、流れる電流量は最初の71%になり、電圧も71%なので、電力は50%になる。(ここでは、ヒーターの抵抗に電圧依存性はないとしている)
もちろん、このような制御もできるのだけれど、装置が大がかりになる。出力電圧を変えるより、出力をON-OFFする方が遙かに小振りのシステムですむ。しかし、出力のON-OFFは0か100%でしかない。そこで、50%出力を擬似的に達成すべく、ある時間範囲の中で半分の時間だけ100%出力をして、残りの半分の時間は0%出力にする。こうすれば、時間平均として50%出力になる。この方式を時間比例制御と呼ぶことにする。
平均出力を50%にするもう一つの方法は、1周期の波の半分だけ出力をONにして残りの半分はOFFにすることである。(この2番目の方法では制御周期という概念は不要に感じるかもしれない。でも1周期の波の中で何%の時間だけ出力をONにするか決めているので、交流の1周期が最低の制御周期で、制御周期はその整数倍の値になる)この方法は位相制御と呼ばれている。
続いて10%出力の場合は10個に1個のみONにするか、それぞれの波の一部のみをONにするようにする。以下に、2つの方法の出力イメージを示す。
比例制御の実装(自宅でできる液晶観察26)_c0164709_8294284.gif

それぞれ上から完全なパワーコントロール、時間比例制御、位相比例制御である。時間比例制御と位相制御を比べると、位相制御の方が、平均してパワーがかかっているので、温度揺らぎが少ない。
by zam20f2 | 2010-05-30 11:02 | 科学系 | Comments(0)
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