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にわか地震談義(1)

3月11日に出先から自宅でない方に行ったのは、怪我人が出ていないか心配だったからだ。それなりに床や壁固定をして、棚に網を貼ったりもしているけれど、いくつかは固定出来ていないものもあり、それらが大きく動くと、怪我どころではすまない危険性があるのを認識していた。
幸い、怪我人はなかったけれど、かなり重量があるものが10cm程度動いているのが2箇所で確認された。

今回の経験から、今回以上の加速度となる地震が来た場合には、移動は10cmではすまないことが分かった。また、仙台市内にお住まいの知り合いが送ってくれた写真では、天井にかなりきちんと突っ張り棒をつけていた本棚が、完全に倒れていたことからすると、重量物以外にも、かなり物が吹っ飛ぶことが予想される。

Webを見ていると、今回の地震は貞観地震の再来であるという印象が強い。そしてともの技術メモなどには、貞観地震の9年後に相模・武蔵で大地震が起きているという記録があることが記されている。また、びんた切れの水晶の鉱物と自然の日記では、1年のスケールで、房総沖で最大マグニチュード8の余震が起きる可能性が指摘されている。このどちらかでも正しいとしたら、近い将来に、関東地方は今回以上の揺れに見舞われることになる。今回の地震に関する情報は、地震学会のサイトの一般向け情報リンク集などに上がりはじめているが、専門家には責任があるので、今後の地震についての予想などは、あまり出てこないだろうと思う。いずれ地震が来るのは自明なので、がたがた言わずに、備えをするべきというのが真っ当な考え方ではあるが、どのような可能性があるのかによって、やるべきことは異なるので、ここは、無責任な素人談義をしてみようと思い立った。

その前に、今回の地震から抽出できるような教訓を少しまとめてみたい。外に出ていて現場にはいなかったけれど、その後に話を聞いたところでは、揺れが始まってしばらく立って揺れが大きくなった時点で停電になったらしい。その時、地震の多い国の住人は、揺れがある程度大きくなり、停電になる前ぐらいの時点で重量物のあるような部屋から待避をしたり、は非常出口が開かなくならないようにドアを開けたりしていたようだ。一方、地震の少ない国から来ていた人々は、揺れがおさまってから、停電時に真っ暗になる部屋のドアを開けたら、奥の方から這って出てきたらしい。

この話を聞いて思い出したのは、1989年のロマ・プリータ地震のこと。ベイブリッジが落ちたあの地震の時に、サンノゼという町のある企業の講堂にいた。揺れと共に講演者は逃げ惑い、地震の少ない国の人々も叫び声を上げて床にうずくまったりする一方で、地震の多い国からの参加者は「結構ゆれてますねぇ」とか「まだまだ大きくなりますねぇ」やら「パニックになってますねぇ」などと椅子に座ってたまま会話をしていた。なにしろ、大企業の建物なので耐震設計はされているという頭があるのだ。もっとも、講堂の後ろの方に座っていた地震の多い国から来た人々は、天井の羽目板が落ちかけるのを見て、やばいと思っていたらしいのだけれど。揺れが続いて、さすがに避難した方がよいかなと立ち上がりかけたくらいで揺れはおさまってきたのだけれど、その後、建物の外に避難となって、芝生で寝転んでいたら、地鳴りがするのが何度か聞こえた。もっとも、こんな時によく寝転んでいられるとあきれられていたらしいけれども。

その後、ホテルに戻ったら、エレベータは不通。階段を上がって部屋によってはドアが歪んで開かない。それからテレビ放送は中断していて、ラジオはあるものの、まったく聞き取れず、町の人にサンフランシスコの様子を聞いても「火事で壊滅」などという結果的に不正確な情報しかなく、なかなかに不安な状況であった。

地震の少ない国から来た人の状況からは、それらの人に対しては、かなり懇切丁寧な対応を説明しておく必要がある。恐らくは、説明をしても、いざとなったときに体が動くかは別問題なのだけれど、まったく説明していないよりは、心構えが出来ると思う。もちろん、地震の多い国の住人に対しても、揺れが来たときの対応については説明しておく必要がある。

ハードウェア面では、重量物で未固定の物をさらに固定すること。停電時に暗くなる部屋に入るときは必ず懐中電灯を保持するようにすること。そして、自動的に点灯するライトを必要な箇所にそなえること。今回の地震では、揺れてからしばらくして停電しているが、房総沖でも南関東でも、今回よりは揺れ始めてから停電までの時間は短いはずで、暗くなってから身動きできるようにすることを考えておかなければならない。また、避難時を考えると、重量物等がある部屋に入るときにはサンダルやスリッパではなくきちんとした靴を推奨すべき。あと、日頃の整理整頓。

さて、それでは、何に向かって備えるべきかは、つぎに。
by zam20f2 | 2011-03-26 09:37 | 科学系 | Comments(0)
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