![]() 簡易測量器だと思う品物である。 写真からはよく見えないが、手前のアームには小さな穴が開いており、奥のアームには、スリットの中央にワイヤーが貼ってある。穴から目標物とワイヤーが重なるように方向を調整して線を引く。別の目標物でも同様のことをすれば、目標物間の角度が紙の上で再現できるのである。もちろん、その前に紙の上に基準線を引いておいて、その一端で線が交わるように角度の測定をしなければならないのだけれど、とにかく、三角測量の原理を実際に試すことができる道具である。 こんなものがなんで家にあるかというと、少し前にネットオークションに出ていたからである。というのは、嘘ではないけれども、真実からはほど遠い言い方で、何しろ、こんな事を言い出したら、ネットオークションに出ているすべてのものを落札しなければならなくなる。この品は、小学校(だと思う)理科系教材を随分と放出していた人の出品物の一つで、私以外には入札はなかったところをみても、上の言い方がいかに真実からほど遠いかが分かるというものだ。 では、何故応札してしまったのかというと、大昔、小学校の算数の時間に、これを使って、校舎の屋上から運動場を挟んだ建物の側面の長さを求めようとしたことがあったから。側面の長さを求めるのには、こちらの屋上の上に適当な長さの基線を作り、その両端で向こうの建物の両端へ向かう線を引いて、台形を作り出して、その辺の長さを測った後に、紙の上の基線の長さと実際の基線の比をかければよい。そうして、ちびっ子たちが出した値は、その作業を見ていた大人が目測で推定した値よりも実際の値から外れていて(測定後に運動場の反対側まで行って、巻き尺で長さを実測した)、「何やっているんですか」とお叱りをうけたのだった。 そんな記憶がよみがえった結果として、まじめにやったら、どの程度の精度がでるのだろうと思って、ぽちってしまったわけだけれど、考えてみれば、下の製図板やら三脚のないと測量ができないわけで、使う当てがない状態になっている。 話は変わるけれど、最近の初等・中等教育では、測量ごっこなどはやるのかしら。図形の相似の応用としては面白い課題だとおもうのだけれど、高等学校の課題研究での測量などを見ていると、GPSやらレーザー測距儀なんかを使っているような印象が有り、こんな素朴な道具でやっているような気があんまりしていない。もちろん、それは、裏を取っていない勝手な思い込みではあるかもしれないのだけれど、一般論として、学校教育で使われる道具類も、随分と進化して使い勝手がよくなっている気がする。 それは、悪いことではない面をもちろん持っているのだけれど、その一方で、やっていることの具体的な中身を見えにくくしているような気がする。たとえば、GPSやらレーザー測距儀を使えば、こんな素朴な道具を使うよりは、はるかに正確な測定が可能になる。そして、レーザー測距儀を使えば、3辺測量という原理の理解には問題はないのだけれども、ボタンを押して出てきた値をメモして、それで終わりとしていると、測定ということに対する何か重要な要素が欠落してしまっているような気がするのだ。その何かは、「楽しい科学教室」に欠落している何かと同じようなものである気がする。 ※箱には島津製作所納入と記してあるけれど、本体に丸十のマークがないので、恐らくは島津さんが代理店としてまとめて納入した品なのだろうと思う。 ■
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by ZAM20F2
| 2012-06-20 21:38
| 物系
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Comments(3)
こんにちは。=^_^=
たぶんですが・・・こちらで紹介させていただいている、『水準器』に似てませんか?
FBページだと、下記にほかの画像も置いています。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.164448563675792.34122.120846574702658&type=3&l=c41af62f95 お持ちのものがあったりして。!(^^)!
そっくりさんの写真有難うございます。筑波はたまに行くことがあるのですが、国土地理院に行ったことはありませんでした。機会があったら、のぞいてみます。
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