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きわもの未満

麦秋の畑のあたりは、古代には牧があって西の方に馬を献上していた場所に近い。曲がりくねった道を抜けて出た幹線道路は昔の街道に沿って走っている。出たところは間の宿に続く交差点。宿に下りると、二軒の造り酒屋が並ぶという酒飲みにはたまらない場所。もちろん、若山牧水も尋ねて逗留していたようで、一軒は牧水銘の日本酒を出している。
宿にはよらず、幹線道路を都の方へ。流石に、旧道からは少し外れているので次の宿をかすめて峠を越えて、もう一つの峠は峠の上から湿原に出たかったので有料トンネルの手前で曲がりくねった旧道を登る。街道として人が行き来していた時は難所の一つだっただろうと思う。
峠のちょっと下りたところに、石榴石やら黒曜石を売っている餅屋があるのだけれど、日曜日の昼というのに閉まっていた。どうやら、ご主人が脳梗塞を患って、万一のことを考えて昨年末で閉店してしまったらしい。
峠で幹線道路を離れて観光道路へ。少し車を走らせると湿原脇の駐車場がある。道路の下のトンネルを抜けて歩いて行けば湿原を一望できる場所に出る。創文社から出ていたアルプなんかを読むと、地元の子供が底なし沼があると怖れている湿原(池じゃなくてね)に、いつ沼に吸い込まれるかという好奇の目を後ろに感じながら足を踏み入れるなんて話があるけれど(もちろん、天然記念物に指定される前の話だ)、随分と昔から湿原内は立入禁止で、遊歩道も立派に整備されていて、野鳥の鳴き声を聞きながら色々な草花を楽しめる場所になっている。
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不安定な空の元、青空も一寸見えている
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この季節、ツツジとニッコウキスゲの端境期なのだけれど、今年は季節の進行が遅いのか、ツツジが結構残っている。
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こっちはまだつぼみ
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一方、キスゲさんの方は
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とまだまだのご様子。でも
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もいたし
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もいるし、なかなか良い季節だ。もう少したつと
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も咲くと思う。

その良い風情にそぐわないのは
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謎の石碑。埋め込まれているのは
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だ。
えーと…………
よく分からないのだけれど…………胡散臭さ満載だ。なんか、不純に金を儲けようとする臭いが漂ってくる。
とりあえず、こんな所にこの石碑を建てたこの町のセンスは嘲笑されるべきだとして、問題はNPOの方。調べると、お役人上がりが理事長で、ウエディングドレスデザイナーが理事……。少子化対策と地域興しなどと謳っているけれども、お役人様が天下り先のNPOを造って、ウエディングドレスを売りたい人を呼び込んで、役人時代のつてでも頼って有名人を引き込んで、妙なプレートで上納金を納めさせる(毎年だぜ)という商売を始めたらしい。こんなくだらないことに乗っかる自治体はこの町だけかと思っていたら、全国津々浦々にプレートが埋め込まれたものがあるらしい。
少子化対策を考えるなら、安心してやっていける社会システムの構築を目指すべきで、プロポーズ場所をつくるなんていうのは(それも全国にこれだけあったら、ありがたみのかけらもない)余計なお世話だ。

それにしても、全国で結構な数の組織が前世紀的な、この活動に載っているは頭の痛いところだ。ひょっとすると、それだけ疲弊していて、藁にでもすがりたいところなのかと思ってしまうが、どうみても、これは藁にすがるのではなく、どぶに手を突っ込むような行為。その区別もつかない人々が、それらの組織で幅をきかせているとなると、それらの組織の行く末が限りなく心配になってくる。

少し前に、天文古玩さんで「思いつきくふうと工作」をきわものとして紹介して頂いて、その記事にはきわものには「一時的な流行をあてこんで売り出す品物」という意味もあるそうなのだけれど、こちらのプレート、一時的な流行にすらならない品物だと思う。というわけで、うさんくさい品だけれど、きわものまですら到達してないので、きわもの未満としてみた。


※追記 それほど遅くない時間に高速に乗ったつもりなのに、最後の山越えのトンネルの手前から渋滞が伸びていたので、下りて久しぶりに大垂水峠を越えた。今までは手前で下りて一般道を南下していた人々が、トンネルの向こうの分岐から高速道を南下するようになったためではないかと思う。渋滞箇所が3車線化されて渋滞が随分と減ったと思っていたけれど、もう一本トンネルができない限りは、山越えトンネルは未来永劫の渋滞箇所となりそうだ。
by ZAM20F2 | 2014-06-30 22:05 | 風景系 | Comments(1)
Commented by 玉青 at 2014-07-01 19:38 x
(笑)しょうもないですね。
まあ、とりあえず平和なのは良いかな…という最近の心模様です。
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