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流れる固体

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固体と流れるという相反するような言葉がタイトルとなったこの本、まずは著者による後書きを見て頂きたい。

あとがき  -おとなの読者へ-

この本は中学生、高校生を主要な読者に設定して書かれている。しかしこれは小、中、高校の先生の参考書にもなり、科学技術者や大学生のレオロジー学習にも役立ち、さrにはレオロジー専門家の「鑑賞」にも十分堪えうるものと信じている。

中略

つぎに、この本はレオロジストの「鑑賞」にも堪えるだろう、とさっきいったことについて一言しよう。
それはこの本に出てくる写真の素晴らしさのことである。専門家にとって本文の内容はもちろん自明、かつ既知のことである。しかしこの本が「レオロジー写真集」として高い価値を持つことを否定する人はいないと思う。弾性液体の示すワイセンベルク効果、粉体系のダイラタンシーなど、数々の写真は、本文の作者である私自身がはじめ見て一驚したものである。
これらのすぐれた写真は、写真家の織田浩さんの作品である。研究熱心な彼は、これらの写真の段取りも演出も全部自分でされた。写真のなかに出てくる手や指も、大部分が彼の奥さんやお子さんのものである。東京の彼の自宅で作り出されたこれらの作品を、私は札幌でみせられて一驚し、これをみた私の友人達もまた賛歌し、「これはレオロジーそのものですね」と言った。

というわけで、まずは、その口絵写真をお目にかけることにしよう。
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1970年代という撮影時期から明らかなように、これらの写真はフィルムを使って撮影されている。使われているレンズの記述はないが、現在の非球面や新種ガラスを使ったレンズや、いわゆる産業用レンズなどに比べるとレンズの性能は劣ったものを使っているはずだ。機材が劣っているからだめかというと、そんなことはなく、今でも専門家に見せればレオロジーの写真として優れた物という評価になるだろうと思う。

撮影時にポラを引いているのかは知らないけれど、その場で出来上がりを確認するのが困難な時代の撮影には多くの経験と工夫が必要であったはずだ。実験でも便利な道具の出現によって失われていく工夫や技術があるけれども、写真撮影においても同様のことが生じているのではないかという気がする。

本の内容については改めて紹介する



by ZAM20F2 | 2015-07-15 21:32 | 文系 | Comments(0)
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