前回は技術的指向性が時間を経ても変わらないことを取り上げたけれども、それ以外の精神性や社会システムも残念ながら変わっていない気がする。慮人日記には
和知閣下の印象 台湾軍兵器部長や児玉中佐の紹介状を持って和知閣下のところに行く、十四軍司令部の奥の間に大きな机を置いて、どかりと座っているところは正に武将型の軍人という感じだ。外出するとかで話ながら服を着替えだした。当番兵にズボンをはかせる。エムボタンを掛けさせる。靴を履かせる。まるで昔の殿様然としたものだ。ご自分は扇風機に吹かれている。軍人も閣下になるとたいしたものだ。 閣下だって唯の軍人だ。軍人は自分のことは自分ですべきだ。公私混同。国家の干城として招集された兵にエムボタンまではめさすとは、はやあきれかえったものだ などという閣下の話が出てくるのだけれど、少し前に、私用のゴルフに行く時にハイヤー代を所属機関に支払わせかけた会長がいる。そのことが問題になって、最初から自分出払うつもりだったと主張したけれども、そもそも、私用のハイヤーの予約を部下にやらせたために組織に請求が行くことになった。つまり、払う、払わない以前のレベルとして、公的な人間を私用に使っている。この時点で、人間として駄目なわけである。ただ、それが当たり前として通っているということは(この点は問題にならなかった)、和知閣下は今でもそこら中の組織に存在しているのだろうと思う。 また、 無理な命令 命令の中には無茶なものがたくさんある。できぬといえば精神が悪いと怒られるので服従するが、実際問題として命令は実行されていない。「不可能を可能とする所に勝利がある」とえらい人は常に言うが。 などというのを見ると、チャレンジと称して、実現不可能な利益を部下に要求した社長の話を思い出す。具体的な方策なしに、部下に不可能な要求をしながら、それを実現するために必要な不正行為は指示していないなどというのは、人間性か知能のどちらかが非常に劣っているはずである。そんな人間が何代か続いて大企業の社長になれるわけだから、大企業の社長になれるかどうかの大きな部分は人として優れているかではない別物で決まっているのだろうと思う。 そしてまた、 女を山へ連れ込む参謀 兵団の渡辺参謀は妾か専属ガールかしらないが、山の陣地へ女(日本人)を連れ込み、その女の沢山の荷物を兵隊にかつがせ、不平を言う兵隊を殴り倒していた。兵団の最高幹部がこの様では士気も乱れるのが当然だ。又この参謀に一言も文句の言えぬ閣下も閣下だ なんていうのは、ここまではいかないけれど、似たような印象の議員さんもいるわけだ。 世の中には、戦後民主教育は失敗だったという人がいるけれども、こうした人々が社会的地位のあるところにいる現状を見ると、確かに失敗だったと言わざるを得ない気がする。 付記:部下に私用をさせた会長については、その会長を選んだ委員の一人は苦言を呈したあとで「あんな人だと思わなかった」というような事を発言していたような記憶がある。このことは、面接で人間性を見る事が如何に困難であるかを示している。なにしろ、大きな組織の会長なので、面接といっても10分やそこらではなく、時間をかけて行われていると思う。そして、面接官もかなり社会的経験を積んだ人々のはずだ。それが、こんな結果になるのだとしたら、大学入試における面接にはとても選別能力を求めることは出来ないだろう。
by ZAM20F2
| 2015-08-15 16:44
| 文系
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